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シャーペンの芯で白熱電球を作ってみた!│ヘルドクターくられの1万円実験室
科学を愛する読者のみなさま、ごきげんよう。くられです。
使える予算は1万円以内。「高価な実験機器は使えない」という制約のなかで知恵と工夫を凝らして実行可能なおもしろ実験を紹介する本企画。
第53回目のお題は「電球」です。今回も、私が主宰する秘密結社「薬理凶室」のメンバーであり化学に造詣の深いレイユール氏の協力のもと、お届けします。それではお楽しみください!
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皆さんこんにちは。レイユールです。
今回は白熱電球について実験を行ってみたいと思います。現在はLEDの普及とともに一般的な用途での生産が減少・終息傾向にあることからあまり見なくなりつつある白熱電球ですが、エジソンが開発してから現代まで様々な進化を遂げてきました。今回は実際に白熱電球のモデルを作りその構造について調べてみたいと思います。
電球とは
現在の明かりの主役はLEDですが、LEDが普及する前まではよく白熱電球が用いられていました。白熱電球はフィラメントと呼ばれる細い金属線に電気を流し、金属線が熱せられることで発光します。電流が光に変化する仕組みは2段階になっています。まずはフィラメントに電流を流すことで、フィラメントの持つ抵抗と電流の作用で熱が発生します。この熱はジュール熱と呼ばれ、IHクッキングヒーターの発熱原理と同じです。細い金属線はすぐに2000℃以上にまで加熱されます。(温度は電球の種類による)この高温になった金属線は熱放射により光を出します。熱放射は鉄を熱して赤くなるのと同じ原理です。電気コンロの電熱線が赤くなる原理と全く同じで、より高い温度まで加熱して光を取り出す設計にしたものが電球です。
電球は発明された19世紀後半当時、非常に画期的で優れた照明でしたが、効率が悪いという問題がありました。実際に可視光として取り出せる光エネルギーは投入した電力の1割にすぎません。残りは熱や赤外線へと変化してしまいます。
エジソンの電球
エジソンは実用的な電球を開発した人物です。エジソンの電球は、竹を蒸し焼きにした細い炭(炭素フィラメント)を真空のガラス球に封入したものでした(1879年)。炭素は当時最も熱に強い材料で、同時に電気を流すフィラメントとして最も良い選択肢でした。しかし、空気中では酸素と反応してすぐに燃えてしまいます。そこで、エジソンは電球内部を真空にしたのです。真空にすることで酸素が取り除かれ、フィラメントの燃焼は抑えられました。
その後、炭素よりも扱いやすいタングステンのフィラメントが開発されましたが、ここで問題が発生したのです。タングステンは真空中で高温に熱せられると一部が蒸発(昇華)してしまうのです。これによりフィラメントは徐々に細くなり、電球内部には煤のように黒い汚れがついてしまいました。そこで、現在は窒素、アルゴン、クリプトンなどの不活性なガスを充填することでこの問題を解決しています。
電球を作る
それでは、いよいよ電球を作ってみたいと思います。フィラメントにはシャーペンの芯を用います。シャーペンの芯は炭素(グラファイト)を固めたもので、導電性があり、熱にも強い材料です。
一方で弱点は、空気中ではすぐに燃え尽きてしまうことです。そこで、これをガラス瓶で覆い、内部の酸素を取り除きます。酸素を取り除く手段として真空にするのは機構的にも難しいので、ここでは別のガスで置換する方法を採用しました。まずは電球本体の加工を行いましょう。
1 ガラス瓶を用意する
ガラス瓶としては、口が広いもので蓋がプラスチック製の物を選びます。金属製の蓋のものは使えません。
2 蓋の加工
蓋に約3cmほど離れた位置に2つの穴を開けます。穴は気密性を保つため、ケーブルが通る程度の必要最小限の大きさにしてください。ドリルがあれば簡単に穴を開けられますが、ドリルがない場合には熱した釘などを押し当ててプラスチックを溶かして穴を開けても良いでしょう。この際には煙が出るので換気を十分に行ってください。
3 フィラメントの設置
コードを穴に通しワニ口クリップをはめ、テープで蓋にしっかりと固定します。できるだけ密閉されるように貼り付けてください。完全密閉でなくても実験は行えますが、できるだけ密閉した方が成功率は上がります。
クリップに慎重にシャーペンの芯(ここでは0.3mm)を挟みます。
【※通電実験を行う際の注意事項※】
本実験では9V電池を使用してシャーペンの芯をショート状態にし、意図的に高温を発生させます。実際に試す場合は、火傷や火災などの重大な事故を防ぐため、必ず以下の安全対策を守ってください。
火傷・火災への注意:通電中のフィラメント(シャーペンの芯)やワニ口クリップは非常に高温になります。絶対に直接手で触れないでください。また、実験を行う際は周囲に燃えやすいものを絶対に置かないでください。
電池・ガラス瓶の破損への注意:長時間の通電は、電池の異常発熱や液漏れ、高温によるガラス瓶の破損(割れ)を招く危険があります。長時間の点灯は避け、数秒〜数十秒程度の短時間の通電に留めてください。
これで電球本体が完成しました。つづいて電源の用意です。電源には9Vの角形電池を使用します。今回はワニ口クリップを電池に直結しました。
一度、瓶内部の空気を置換しないまま電源を入れてみます。すると、電球のように輝き出すはずです。しかし数秒から数十秒で焼き切れてしまうことでしょう。
では次に、内部を炭酸ガスで置換します。炭酸ガスを充満させることで酸素を追い出しフィラメントが燃えるのを防止するわけです。炭酸ガスは発生が容易、少量であれば比較的扱いやすい上、空気より重く効率的に瓶に貯めることができます。炭酸ガスの発生方法はどんなものでもよく、例えばドライアイスを入れる、発泡入浴剤を砕いて水と共に入れるなどの方法が考えられます。今回は重曹とクエン酸を各大さじ2杯ずつ入れてここに水を注ぐことで二酸化炭素を発生させました。水を注いだら蓋を被せ反応が落ち着くまで待ちます。反応が落ち着いたら蓋を閉めて完了です。これにより内部から酸素がほとんど追い出されました。
空気を置換した電球は、置換していない電球に比べて長く点灯します。もし置換前後で点灯時間に差が出ない場合は、空気中の酸素が十分に取り除けておらず、置換がうまくいっていない可能性が高いと考えられます。ただし、点灯時間は空気の置換の度合い、電池の残量、接触状態、装置の密閉性などによって変わるため、今回は具体的な時間差までは記載していません。なお、点灯時間が延びるのは、空気の置換によってフィラメントが傷みにくくなるためであり、明るさを抑えて点灯時間を延ばしているわけではありません。そのため、点灯時間が延びた分だけ照度が大きく下がる(暗くなる)ということではありません。
このように電球は古い技術ではありますが、色々な問題を解決するために時代と共に進化してきました。LEDが普及した現代ですが、電球を見かけた際にはその裏にある技術をぜひ思い出していただきたいと思います。
実験にかかった費用
・ガラス瓶 200円程度
・シャーペンの芯 100円程度
・電池 500円程度
・重曹 500円程度
・クエン酸 1,000円程度
・ワニ口クリップ 1,000円程度
・小型ドリル 5,000円程度
画像はすべてレイユール氏提供
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レイユール 薬理凶室のYouTubeチャンネルでは、化学実験をコミカルな動画で紹介する「ガチ実験シリーズ」を不定期更新している。 |
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