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実験レシピ プラスミドDNAの電気泳動1/3 (事前準備 編)

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遺伝子クローニング、人工遺伝子の合成、遺伝子組換え、そして、流行りのゲノム編集・・・。今も昔も、遺伝子工学の主役はプラスミドDNA。そこでは、いつも、「プラスミドの電気泳動写真を正しく読み取ること」が、成功のカギをにぎっています。しかし、遺伝子工学の入門実験でもあり、今さらそのイロハを教えてもらうのも・・・という本音も耳にします。ここでは、そんな「プラスミドDNAの電気泳動」の手順はもちろん、泳動結果を正しく・より深く読み取るための隠れたヒントをご紹介していきましょう。

 

電気泳動をはじめるまえに

・そもそも電気泳動って?

電解液に浸したアガロースゲルなどのマトリックス(不規則なあみ目をもつ繊維性物質)に電圧をかけると、正に荷電した粒子は陰極方向に、負に荷電した粒子は陽極方向に、ゲルのあみ目を泳ぐように動きます。まるで「荷電粒子の障害物競走」。これが電気泳動です。核酸(DNA, RNA)やタンパク質などの生体高分子は、分子の大きさ(分子量)・かたち(立体構造)・電荷によって決まる、分子ごとに異なる速さで泳動されるので、泳動速度(単位時間での泳動距離)をもとに試料中の分子を分析することができます。

・電気泳動するDNAの「鎖長」と「構造」に注目する!

2重らせん型の2本鎖が環構造をつくったDNA分子(環状2本鎖DNA)は、プラスミドDNAと呼ばれます。DNA分子をかたちづくるヌクレオチドは負電荷のリン酸基をもつので、プラスミドDNAは負電荷を帯びています。DNA1分子あたりのリン酸基の数(負電荷量)は、ヌクレオチドの数(DNAの分子量・鎖長)に比例します。また、同じかたちの2本鎖DNAでは、高分子量(長鎖)DNAは泳動速度が遅く、低分子量(短鎖)DNAは泳動が速くなります。同じくらいの走力の大人と小人が、狭い障害をすり抜ける競走をしたときと似ていますね。一方で、かたちが異なる2本鎖DNAを同時に電気泳動するときや、1本鎖DNAやRNAを電気泳動するときには、分子量のほかにも立体構造、塩基組成、分子内の水素結合などが泳動速度に大きく影響します。

 

実験の準備

  • 三角フラスコ、ラップフィルム、ゲル成型トレイ、コーム、マイクロピペット、マイクロピペット用チップ、DNA分子量マーカー、トランスイルミネーター(UV光照射機)、カメラ付き撮影装置
    • DNA溶液(電気泳動試料)
      TEバッファーまたは精製水に溶解してあるもの。
  • アガロース(電気泳動用)
    精製度、融点、溶解性、ゲル強度、DNA分解酵素(DNase)フリー、RNA分解酵素(RNase)フリーなどの点から、電気泳動の目的と価格をもとに選ぶ。
  • 電気泳動装置とパワーサプライ(電源装置)
    電気泳動槽とパワーサプライが独立したサブマリン型の電気泳動装置やこの両者が一体となったミューピッド型の電気泳動装置などがある。
  • エチジウムブロマイド/臭化エチジウム溶液(DNA染色液)
    組成:10 mg/mL エチジウムブロマイド (w/v)、溶媒:精製水
    *強い変異原性があるので、皮膚・目・粘膜などに直接触れない。触れてしまったら、流水で洗う。
    *エチジウムブロマイドを泳動前にゲルに入れておくと、後に染色の手間が省ける。その反面、実験条件によっては、エチジウムブロマイドがDNAの泳動(荷電状態)に干渉する。分子量を厳密に推定するための電気泳動では、泳動後に染色をすることが推奨される。
  • 6 xゲルローディングバッファー(6 xゲルローディングダイ)
    組成:0.12 % (w/v) ブロモフェノールブルー (BPB), 0.12 % (w/v) キシレンシアノールFF (XC), 50 mM EDTA, 15 % (w/v) フィコール400, 2 % (w/v) サルコシル、溶媒:精製水

次回は、アガロースゲルの作り方と電気泳動の手順について解説します!

 
*監修
パーソルテンプスタッフ株式会社
研究開発事業本部(Chall-edge/チャレッジ)
研修講師(理学博士)

著者プロフィール:

リケラボ編集部

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