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江崎グリコ株式会社の採用担当者と、研究・開発担当者へのインタビュー。 【前編】では、採用担当の村脇舞さんから、求める人財像、基礎研究に携わる池原遼平さんから仕事のやりがいなどについてお話ししていただいた。今回の【後編】では、商品開発を担当する近藤可奈子さんに、仕事内容や就活生へのアドバイスをいただいた。前編と読み比べれば、基礎研究職と商品開発職の違いについても理解できるので、就活にのぞむ理系の学生のみなさんにぜひ参考にしてほしい。(※所属などはすべて掲載当時の情報です。)
企画から量産体制の確立までを担う商品開発職
——近藤さんが所属されている商品開発部の概要について教えてください。
近藤:弊社で商品開発に関わっている部門は、「商品技術開発研究所」と「商品開発部」の2つがあり、私は商品開発部に所属しています。弊社には4つの事業部があり、それぞれの事業部に商品開発部が入っているという感じです。私は栄養菓子・補食事業部の商品開発を担当しています。
商品開発部の仕事内容としては、新商品を生み出す、既存の商品をリニューアルするという一般的なイメージ通りだと思います。商品のアイデア出しや企画に始まり、素材や成分の配合設計、何度も繰り返す試作。さらに、工場での量産体制を確立するところまでを担います。企画段階では、社内で行われている基礎研究や技術研究の成果をふまえ、さらに世の中のニーズやトレンドを把握しているマーケティング部などとも連携しながら考えます。
——もうひとつの「商品技術開発研究所」ではどんなことを行なっているんですか。
近藤:その名の通り、技術的な研究を推進しています。たとえば、カカオという素材そのものが持つおいしさや栄養的なポテンシャルを引き出す研究、ヨーグルトに使える有用な微生物の研究などですね。研究を進めるうえでは社内外での連携が多く、社内では基礎研究チームや私たちの商品開発部とタッグを組むこともあれば、社外の学術研究機関とコラボすることもあります。
ニーズ・シーズの両面で発想できるのが江崎グリコの強み
——これまで担当された中で、達成感が強かったのはどんな商品開発ですか?
近藤:昨年まで開発を担当していた『植物生まれのプッチンプリン』ですね。シリーズ初の、卵や乳などの動物性原料を使わないアレルゲンフリーの商品です。豆乳やアーモンドペースト、きび砂糖などの植物原料だけで仕上げました。
ご存知の通り、このシリーズは “プッチン”して、お皿に乗せて食べるのが最大の特徴になっています。だから、容器をひっくり返してプリンが落ちたらダメ、でもプッチンしたら落ちないとダメ(笑)。絶妙な物性が求められるんです。少し配合を変えるだけで物性は変わるので、本当に苦労しました。さらにラボレベルで配合が決まっても、工場の大きい設備で作る(スケールアップ)とまた条件が変わるので、配合を見直したり…。出荷後の輸送も含めて安定した品質を叶えるには、たくさんのクリアすべきポイントがあり、これをやり遂げることができたのは、本当に感慨深かったですね。やっぱり工場に導入する段階がいちばん難しくて、失敗も多いけれどやりがいも大きいです。
——『植物生まれのプッチンプリン』は、アレルギーを持つ方のニーズから生まれたものだと思うのですが、他の商品もニーズ起点で考えることが多いのでしょうか。
近藤:基本的にはニーズを起点にするのですが、開発中にすごい素材を見つけたとか、偶然面白いものが生まれたなど、技術的なシーズから発想することもあります。どちらも可能なのは、基礎研究部門や技術開発部門を持ち、一気通貫で研究開発を行なっている弊社の強みだと思います。
また、すでに顕在化しているニーズだけでなく、インサイト(潜在的なニーズ)から商品アイデアが生まれることも少なくありません。まだ消費者の方々が自覚していないニーズに対して「欲しかったのはコレでしょうか?」と、先回りして商品を出すことを大切にしております。
お客様のインサイトは、CR部(コンシューマーリサーチ)やマーケティング部と協働して発掘しており、互いに情報交換や提案をするために、定期的に合同ミーティングを行なっています。
「未病」の段階から関われることが魅力だった
——学生時代はどのような研究をされていたのですか。
近藤:私は農学部出身で大学院まで進みました。ただ、私はちょっと変わっていて、農学部でも扱っていたのは「皮膚」。ゼミの教授が医学部の方だったので、皮膚が老化するメカニズムや紫外線の影響などについて研究していました。
——そこからなぜ、食品メーカーである江崎グリコに?
近藤:自分の中ではしっかりつながっているんですよ(笑)。当時、母が病気がちだったこともあって、私は「健康」を就活のテーマに据えていました。それで最初は製薬会社や大学での学びに直結した化粧品会社に目を向けていたんです。
企業研究を進めていく中で江崎グリコに出会い、「病気を治す」のではなく、「病気にならないようにする」という考え方に心から共感できたことが一番の志望動機になりました。
想像以上だった「健康」へのこだわり
——皮膚から食品へ、専門分野の違いによる苦労はありませんでしたか。
近藤:私が研究していたのは皮膚でしたが、同僚には学生時代に海産物の研究をしていた人もいます。食品に関わるのは科学なので、大前提として科学の知識がなければ厳しいと思いますが、ある程度の知識を備えていれば大丈夫だと思います。弊社は入社後の教育制度も手厚く、いくらでもキャッチアップできるからです。
それに、皮膚についての知識も、たとえば「肌をキレイにするドリンク」のような商品開発に活かすことができますし、アウトプットの方向はさまざまで、可能性が広がっているので、特にコレ!といった専門性の縛りはないですね。
——江崎グリコの「健康」への取り組みについて、入社前のイメージや期待とのギャップはありましたか?
近藤:入社前にイメージしていたよりも、遥かに健康へのこだわりは強いなと感じています。弊社では砂糖ひとつとっても、使用できる適正な量を独自の社内基準として定めています。健康のために少なめの使用量、なのに美味しい!という健康とおいしさの追求についてノウハウを徹底して磨いています。また、チョコレートならポリフェノールをどれくらい配合するかなど、成分へのこだわりも想像以上でした。
今はモノがあふれている時代なので、食品は「おいしい」だけでは選ばれにくくなっています。今後も、おいしさにプラスαを求める傾向はますます強くなっていくでしょう。グリコは常に、食べることを通して、お客様にどうなっていただきたいのかを考えています。美味しく食べていただいたその後のポジティブな変化についてもこだわった製品を提供していきたいのです。中でも特に「健康」の部分を重要視していることは、商品開発の現場にいてもヒシヒシと感じますし、そこに関われているのはとても幸せなことだと思っています。
江崎グリコに興味のある就活生へのメッセージ
——再び、採用ご担当の村脇さんにお伺いします。選考の中で重視していることはありますか?
村脇:弊社には、創業時から社員の行動や考えの指針としている「七訓」というものがあります。奉仕一貫、協同一致、積極果敢などいずれも四字熟語なのですが、その中で特に強く求めたいのは「創意工夫」です。
お客様のすこやかな毎日を支える日常必需食品企業となるために、弊社は変革の真只中にいます。変革を成功させるには、創意工夫を凝らして世の中に新たな価値を提供しなければなりません。
そのため、入社後も創意工夫を発揮していただくためにも、常に現状に満足することなく、新しいものを生み出してきたご経験について、お話を聞かせていただいています。
——持っていると望ましいスキルはありますか。
村脇:弊社では、入社以降、学生時代の専攻分野とは異なる領域を学び、新たに専門として開拓していただくケースが多いです。そのため、自分の知らない分野に対しても抵抗感なく学ぶ姿勢や、自発的に考えて動ける「研究においての自走力」を持っている方は、長くご活躍いただけると思います。
——最後に近藤さん、あらためて村脇さんからも、江崎グリコに関心を持った理系学生の方へのメッセージをお願いします。
近藤:お伝えしたいことは2つあります。1つ目は、これは自分自身の反省も込めてなのですが、学生時代に同年代の仲間との交わりだけで終わってほしくないな…と思います。企業に入るといろんな年代・専攻の人と出会うので、戸惑うことなく協働するためにも、今のうちからできるだけ多様な人と関わっておくとよいと思います。
2つ目は、就活はゴールではなくスタートだということです。「どんな会社に入りたいか」だけでなく、そこでどのようなことをしていきたいかなど、ビジョンがあるとより実りある就活になると思います。私の場合は、「どんな人のどんな幸せを実現したいか」まで考えていましたし、今もずっと貫いている考え方です。
村脇:採用担当者は、ぜひ皆様ご自身の言葉で、皆様ならではの話を聞かせていただきたいと考えております。何故その活動をする決断に至ったのか、活動を行う中での思いの変化、やり遂げた後に学んだことをお話いただくことで、その方の「らしさ」が伝わります。ぜひ自信をもってご自身の「らしさ」を表現し、教えてください。
もし本記事を通して、弊社に興味を持っていただけた方がいらっしゃいましたら、是非ご応募いただけますと幸いです。皆様にお会いできることを楽しみにしています。
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