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新時代に求められるリーダーシップとは?自信がない人にこそ読んでほしいリーダーシップ開発法

新時代に求められるリーダーシップとは?自信がない人にこそ読んでほしいリーダーシップ開発法

研究職出身キャリアコンサルタントが解説!

製薬会社の研究職、採用担当を経て、国家資格キャリアコンサルタントとして「大学院生に特化したキャリア支援」を行っている板倉氏による、理系学生が知っていると得するキャリア講義 第5弾です。

前回は、就活で最も求められるスキル「リーダーシップ」を正しく理解するための<入門編>をお届けしました。今回はその続編として、これからの世の中で求められている「新時代のリーダーシップ」についてわかりやすく解説いただきます!

昔ながらのリーダーシップ像とはかなり異なり、これなら自分にも取り組めそう、と共感できる人も多いこと間違いなしです。

リーダーなんて自分には無理、と思っている人も、是非読んでみてください。

【企業研究職】×【採用担当】×【大学院生のキャリア支援】すべて経験したキャリアコンサルタント 板倉氏による理系のためのキャリア講義

こんにちは、企業研究職(11年)×採用担当(5年)×大学院生キャリア支援者(2年) という3つのキャリアを歩んだ、ちょっと変わったキャリアコンサルタント板倉です。

前回の記事では、「就活で最も求められるスキル」としてのリーダーシップについて、
リーダーシップは才能ではなく、仕事であり、誰もが発揮できるものだという考え方をお伝えしました。

今回はその続編として、
「変化が激しい今の時代=新時代において、リーダーシップはどう変わったのか?」
という点を、さらに深く掘り下げてみたいと思います。

私たちは「正解のない時代」を生きている

今の時代は、よく VUCA(ブーカ)時代 と呼ばれます。

VUCAとは以下の4単語の頭文字を取った言葉です。

  • 変化が激しく(Volatility)
  • 将来が読めず(Uncertainty)
  • 物事が複雑で(Complexity)
  • 白黒つけられない(Ambiguity)

これを私なりにシンプルに説明すると、
誰も「これが正解」と断言できない時代だと感じています。

象徴的なのがコロナ禍でした。
社会・研究・教育・採用のすべてにおいて、
前例は役に立たず、教科書にも答えはありませんでした。

このような時代において、
従来型の「強いリーダー」「答えを知っているリーダー」は、
むしろ機能しにくくなっています。

新時代でリーダーシップが問われる場面

新時代にリーダーシップが強く求められるのは、
主に次の 2つの場面です。

① 新しいことを任されたとき

新規プロジェクトや未経験の挑戦では、
価値・目標・進め方・人の育て方をゼロから考える必要があります。

② 想定外のトラブルや危機に直面したとき

時間も余裕もなく、
目標・戦略・メンバーすら定まらないまま判断を迫られる状況です。

VUCA時代において本当に難しいのは、
後者──「想定外=未知」への対応が必要な状況です。

よってVUCA時代では、リーダーに求められる要素が変容してきています(以下図参照)。

VUCA時代となり、組織に求められることは利潤の追求だけでなく、社会課題解決と事業性の両立に変わってきました。今現在の社会課題解決を達成するためには昔ながらの「強いリーダー」「答えを知っているリーダー」が正しい答えを導くとは限りません。誰が答えを導きだせるか分からないのが新時代です。つまり、新時代では図の赤枠で示すように「個よりも、集団としてのリーダーシップ発揮」が求められるようになっています。

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そして、この未知に対応するためには勇気が必要です。

この記事では、「未知に対峙する際に役に立つ心構え」もお伝えします。

「未知」を恐れるのは、人として自然な反応

まず大前提として知っておいてほしいことがあります。
未知を恐れるのは、能力不足ではなく、人間として自然な反応であるということ。

人は本能的に、
「知らないもの」「分からない状況」を危険と感じます。

  • 自分の無知が露呈する不安
  • 失敗するかもしれない恐怖
  • 正解がない状況で判断する怖さ

これらを感じるのは、
学生でも、社会人でも、どんなリーダーでも同じです。

つまり新時代のリーダーシップとは、この恐れを「なくすこと」ではなく、
恐れを抱えたまま行動できる力だと私は考えています。

勇気をもって行動するために、第一歩、第二歩を踏み出すためのコツもお伝えしますね。

第一歩:「自分の未知は、他人の既知かもしれない」

未知に向き合うとき、
多くの人は「自分が何とかしなければ」と考えがちです。

しかし、新時代のリーダーシップの第一歩は逆です。

「自分が分からないことは、他人が知っているかもしれない」と一歩引いて俯瞰的に考えてみましょう。

私が講義で紹介している
「未知に一歩踏み込むための考え方」は、以下の通りです。

  • 先入観で判断しない
  • コントロールを手放し、人を信頼する
  • 「わからない」と言ってみる
  • 不確実性や無知を認める
  • 既存の知識を疑うことを楽しむ

特に重要なのが、
「わからない」と言えることです。

「わからない」は、無能の証明ではありません。

むしろ、新しい知恵を集めるためのスタートラインです。

「わからない」と口にしたことで他人に助けられた経験、皆さんもありませんか?

リーダーになっても同じように「わからない」と言ってよいのです。

私自身が直面した「未知」との向き合い方

ここで、私自身の経験を一つ紹介します。

私は以前、製薬企業で新卒採用を担当していました。

ちょうどその時、コロナ禍に襲われました。

当社の採用活動の強みは「社員の人間的な魅力」でした。
その為、有効な採用戦略は、「社員と就活生が直接会う場を提供する」ことでした。

しかしコロナ禍により、
対面で社員と会うことが困難となったため、私たちのやり方は、
一瞬で通用しなくなりました。

誰に聞いても正解は分からない。
上司も、他社も、学生も答えを持っていない。

そこで私は、
「だったら、やったもん勝ちなのでは?」
と発想を切り替えました。

ただ、私一人では「何を」やったらいいのか、見当がつきませんでした。

そこで私は、自分が主導するのではなく、
内定者や若手社員を中心に「採用チーム」を作り、私は徹底してサポート役に回ることにしました。

そのチームの中で私は、「わからない」ことは「わからない」と言い、
何かチャレンジしようとするメンバーにリーダーシップを発揮できる環境・権限を与え、
自走してもらうようにしました。その時の取り組みを図で示します。

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結果的に、
採用チームのメンバーは一人ひとりが主体的に考え、動き、
それまで以上に学生と近い距離で採用活動を進めてくれました。

この経験から、私は「新時代に求められるリーダーシップとは何か?」をさらに深く考える機会が増えました。その中で学んだ1つのリーダーシップ哲学をご紹介しましょう。

新時代に有効な一つの例:サーバントリーダーシップ(奉仕型リーダーシップ)

サーバントリーダーシップとは、
「リーダーが先に立って引っ張る」のではなく、まず相手に仕え、支え、結果として人を導く
という考え方です(下図参照)。

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命令や管理ではなく、

  • 相手に関心を持ち
  • 話を聞き
  • 強みを見つけ
  • 自立を促す

こうした姿勢が、
不確実な状況でも、メンバーが主体的に行動し、チームを前に進める事につながります。

参考までに、サーバントリーダーシップで発揮されるメンバー行動を紹介しましょう。

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VUCA時代では、
リーダー一人だけが正解を知っていることはほとんどありません。

だからこそ、
メンバー一人ひとりの知恵と主体性を引き出すリーダーシップが重要になります。

私がコロナ禍で偶然実践したのも、
まさにこのサーバントリーダーシップでした。

最後に:新時代でも変わらないリーダーシップの本質

ただどれだけ時代が変わっても、
リーダーシップの本質は驚くほどシンプルです。

  • 信頼されているか
  • 誠実に向き合っているか
  • 行動から逃げていないか

新時代に求められるリーダーシップとは、
強さや正解を示す力ではなく、信頼し合い、寄り添い、支え、共に進む力です。

完璧である必要はありません。
分からないことがあっても構いません。
それでも考え、対話し、一歩踏み出す。

その姿勢こそが、
新時代のリーダーシップだと、私は思います。

そして、私がいつも講義の最後に伝えるメッセージを皆さんにお届けして、2部に渡ったリーダーシップの記事を締めくくろうと思います。

「We are the Leaders!(私たちは皆、リーダーである)」

私自身も、まだまだリーダーシップを理解しきれたとは言えません。

きっと一生かけたライフワークになるのではと思っています。

ぜひ一緒に「We are the Leaders!」の精神で、学び続けていきましょう!

板倉朋宏

板倉朋宏

大学院まで薬学部で学び、東証一部上場の製薬会社に研究職として入社。
11年間の研究生活を経て、同社の人事部に異動し、理系・大学院生の採用を担当(博士採用も含む)。採用職種は、研究職、開発職、生産技術職、データサイエンス職等。
担当業務は、ES審査、GD審査、1次・最終面接の審査官など、すべての採用業務を担う。
5年半の採用担当を経て、大学に派遣され大学院生(主に博士)に特化したキャリア支援業務に従事。現在は企業及び大学での経験を活かし、日本全国で「大学院生に特化したキャリア支援」を行う。国家資格キャリアコンサルタント、薬剤師。資格:データサイエンティスト(リテラシーレベル)

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