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理系すぎるお料理レシピ:第18回「鯛の煮こごり」

理系すぎるお料理レシピ:第18回「鯛の煮こごり」

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私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。

今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「鯛の煮こごり」。鯛のアラを使い、旨味が凝縮されたプルプル食感の煮こごりを再現します。失敗せずに固めるポイントをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!

煮こごりの再現方法とその考察

目的

鯛の旨味が詰まった、プルプルの煮こごりを作る。

方法

〈材料〉※作りやすい分量

・鯛のアラ 1尾分
・塩 小さじ1
・水 200ml
・料理酒 60ml
・醤油 30ml
・みりん 30ml
・生姜(千切り) 30g


〈手順〉

■下準備

  1. 鯛のアラのうろこを、包丁でこそげるようにして取り除く
  2. 全体に塩を振り10分ほど置く
  3. [2]をザルに乗せて沸騰した湯を全体にまわしかける
  4. [3]を水で洗い、残ったうろこや血を取り除く



■煮る工程

  1. 水、料理酒、醤油、みりん、下処理済みの鯛のアラ、生姜を鍋に入れる
  2. 落し蓋をして中火にかける
  3. 沸騰後、弱火にしてさらに10分煮込む
  4. 落し蓋をはずし、煮汁の量が2/3程度になるまで煮詰める
  5. 鯛のアラを取り出して身をほぐす

タップして全体を表示

■冷やし固める工程

  1. ほぐした身と煮汁を容器に入れ、粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やす
  2. ゼリー状に固まったら完成

タップして全体を表示

結果

鯛の旨味を存分に楽しめるプルプルの煮こごりが完成した。

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考察

煮こごりを失敗せず作るには、以下を心がけるとよい。

■食材の選び方
煮こごりは、食材に含まれるゼラチン質によって煮汁を固める料理である。そのため、ゼラチン質を多く含む食材を選ぶことが重要だ。今回は、皮や骨、ヒレの部分など、ゼラチン質が豊富な部位が含まれる「アラ」を使用した。なお、煮こごりができやすい食材は以下。

魚…うなぎ、カレイ、タイ、フグ、ぶり、かつお、まぐろ、アジ
肉…手羽先、牛すね、豚足

■煮汁の量
煮汁の量が多いと、ゼラチン質が薄まり冷やしても固まりにくくなる。煮こごり作りを成功させるには、煮汁を煮詰めてから冷やし固めるとよい。今回のレシピでは、煮汁を2/3程度まで煮詰めた。(使用する魚の種類や量によってどれだけ煮詰めるかは異なる)

■固まりにくい場合にプラスする食材
煮汁だけでうまく固まらない場合や、短時間で仕上げたい場合、確実に失敗なく固めたい場合は、ゼラチンや寒天を併用するとよい。上品な口どけを楽しみたければゼラチン、早く固めたければ寒天の使用をおすすめする。

結論として、プルプルの煮こごりを再現するには

  1. ゼラチン質を多く含む食材を使用する
  2. 煮汁を煮詰めてから冷やし固める
  3. 確実に固めるにはゼラチンや寒天を併用する

ことが重要である。


食材の旨味が凝縮された味わいと、プルプル食感を楽しめる煮こごり。「煮こごりを作ろう!」と思って挑戦するとうまく固まらなかったり、何の気なしに作った煮物の煮汁が翌日プルプルに固まっていたり……と、再現するのが難しいイメージのある料理ですが、今回ご紹介したポイントをおさえればきちんと成功させることができますよ。ぜひ試してみてくださいね。

フローチャート作成参考:
『応用自在な調理の基礎 フローチャートによる系統的実習書 西洋料理編』
河内一行ほか/家政教育社

(記事監修/管理栄養士 棚橋伸子)

リケラボ編集部

リケラボ編集部

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