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理系すぎるお料理レシピ:第22回「ステーキ」

理系すぎるお料理レシピ:第22回「ステーキ」

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私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。

今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「ステーキ」。つい焼きすぎて固くなってしまったり、レアすぎて「大丈夫かな…?」と不安になったりと、程よい焼き加減でおいしく仕上げるのがなかなか難しいですよね。この記事では、おいしくミディアムレアに焼き上げるコツをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください!

ステーキの再現方法とその考察

目的

ミディアムレアに焼き上がった、ジューシーなステーキを作る。

方法

〈材料〉2人分

・牛ステーキ肉 1枚(2cm程度の厚さのもの)
・牛脂 1個
・塩 少々(約0.2g〜)
・コショウ 少々(約0.2g〜)


〈手順〉
※以下は2cm程度の厚さの肉を使用する場合の作り方です。厚さが異なる場合は焼き時間などを調整してください。

■下準備

  1. 肉は30分ほど前に冷蔵庫から出し、常温に戻す。

  2. キッチンペーパーで肉を優しく包むようにして水分を拭き取る。

  3. 片面に塩とコショウを振り、手で撫でるようにして均一にのばす。

■調理工程

  1. 強火で熱したフライパンに牛脂をひく。

  2. 塩コショウを振った面を下にして、肉を乗せる。1分ほど強火で焼いて焼き目がつき、表面に肉汁が浮いてきたら、弱火にしてさらに1分焼く。

  3. ひっくり返して強火で30秒ほど焼き、弱火にして1分焼く。

  4. 火を止めてフライパンから取り出す。そのまま3分ほどあたたかい部屋に置いて休ませてから焼き加減を確認する(焼き加減の確認方法は次の【考察】で解説する)。焼き足りなければ両面を再び強火で30秒ずつ焼き、フライパンから取り出し3分休ませる工程を繰り返す。

  5. お好みのソースをかけて召し上がれ。

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結果

ジューシーで柔らかな、ミディアムレアのステーキが完成した。

画像引用元:shutterstock

考察

ステーキをおいしく焼き上げるためには、以下を心がけるとよい。

■肉の選び方

ステーキに使用する肉は、2㎝以上の厚さがあるものをおすすめする。薄い肉だと焼き過ぎによる失敗が起こりやすくなるためだ。スーパーで売っているステーキ用カットの肉は薄いものが多いが、できるだけ厚みのある肉を選ぶと良い。

ちなみに、牛の品種は世界に200種類以上あると言われている。日本固有の肉専用種の牛として、黒毛和種、日本短角種、褐毛和種、無角和種が認定されており、「和牛」と呼べるのは、この4品種と4品種間の交雑種のみである。乳用種であるホルスタインや、ホルスタインと和牛の交雑種は、和牛ではなく「国産牛」と表示しなければならない。中でも高級な牛肉のイメージがある黒毛和種は「黒毛和牛」と呼ばれ、和牛の95%を占める。黒毛和牛は、筋肉に脂肪が交雑しやすい特性があり、飼料により霜降りやサシと言われる脂肪交雑が変化し、柔らかさやコクがある肉質になる。黒毛和牛には「松坂牛」、「神戸牛」、「前沢牛」等、多くのブランド牛がある。日本ではサシの多い霜降り肉が珍重されてきたが、近年では赤身の味わいを求める声も高まっている。

また、日本にはオーストラリア、米国、ニュージーランド等から外国産の牛肉も輸入されているが、品種や育て方の違いから肉質も異なり、味の個性も異なるため、自分のお気に入りの肉を探してみるのも面白い。

■焼き方

まず、強火で表面に焼き色をつけることにより、アミノ酸と糖が反応しメイラード反応が起こる。これによって褐色の焼き色がつくとともに香気成分も生成され、ステーキらしい香りが出る。つまり、適度な焼き色をつけるのがおいしく焼き上げるコツの1つとなる。また、脂身がある部位を使用する場合は、脂身の側部もしっかりと焼き、余分な脂を落とすと良い。

ステーキは焼き過ぎず、肉汁を逃がさないように焼き上げるのが柔らかくおいしく仕上げるコツになる。そのためには肉の内部にゆっくり熱を伝え肉汁を閉じ込める必要があり、今回のレシピでは焼いた後でプライパンから取り出した肉を休ませるという工程を加えた。また、短時間で焼いてから肉を休ませる工程を好みの焼き加減になるまで繰り返すことで、焼き過ぎを防ぐことができる。

ミディアムレアに焼き上がったかどうか見極めるには、休ませた肉の表面を触ってみて弾力をチェックすると良い。薬指と親指を合わせて円を作った際の親指の付け根の部分と同程度の柔らかさになっていれば、程よい焼き加減になっているということになる。

■薄めの肉を使用する場合

万が一厚さが2cmに満たない、薄い肉を使用する場合は、焼く前に常温に戻す工程は省略する。薄い肉の場合、焼いている間に肉が反り返ってしまわないよう、筋切りをするのも見た目を美しく仕上げるコツになる。

結論として、おいしいミディアムレアのステーキを再現するには

  1. 厚さ2cm以上の肉を選ぶ
  2. 強火で表面を焼くことでメイラード反応を起こす
  3. 焼き過ぎず、内部までにじっくりと熱を伝えるために、焼いたら休ませる工程を繰り返す

ことが重要である。


ごちそうの定番「ステーキ」。"肉を焼く"というシンプルな料理だからこそ、焼き方や焼き加減が味を大きく左右します。ついつい焼きすぎて固くなってしまう……と悩んでいた人も、今回ご紹介したポイントをきちんと押さえれば、自宅でおいしいステーキを味わうことができます! ぜひお試しください。

フローチャート作成参考:
『応用自在な調理の基礎 フローチャートによる系統的実習書 西洋料理編』
河内一行ほか/家政教育社

(記事監修/管理栄養士 棚橋伸子)

リケラボ編集部

リケラボ編集部

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