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「継続することの大切さを教えてくれる理系の名言・エピソード」(リケラボまとめ)
成果が出ない日々に焦り、つい道半ばで諦めたくなることも、研究の世界では決して珍しくありません。けれど、目に見えない積み重ねこそが、ある日突然、大きな成果となって花開く──そんな先例は、実際にいくつも存在します。
今回のリケラボまとめでは、取材の中で語られた「継続することの大切さ」を感じさせる言葉をご紹介します。挫けそうな心にそっと差し込む言葉の力を、ぜひ受け取ってください。
“分析は基本的に、思ったようには進みません。最近論文にまとめることができた研究は、結局開始から10年かかりました” ――宮原 ひろ子
宇宙気候学という新しい領域に挑む、宮原ひろ子先生の言葉です。すぐには成果に結びつかないように見える地道で困難な分析作業も、結局は避けては通れない一番の近道。10年越しで論文にまとめられたという事実が、研究における継続の力の大切さを物語っています。
出典:美術大学で宇宙気候学に取り組む異色の研究者、宮原ひろ子教授が開発した世界初の解析手法とは
“実験は、9割以上は思い通りにいきません。ですが、それは失敗ではないんです。結果を素直に受け止めて、なぜ思い通りにいかなかったのか、どこを間違えてしまったのか考えて次の実験につなげることが大切で、絶対にムダな実験はありません。まさに、継続は力なりです” ――小笹 徹
医薬学研究の第一線に長年携わる横浜薬科大学・小笹徹先生のこの言葉は、長い時間をかけて結果を出す研究の世界において、何よりも強い支えとなる信念を表しています。思い通りにいかない実験の繰り返しでも、見方を変えればもとよりそのこと自体に諦めず続けることの価値があると、気づかされます。
出典:その研究、私も理解したい!! 文系女子が最先端の理系研究室に突撃取材(その4 生化学/創薬研究編)Gタンパク質共役受容体(GPCR)と創薬
“基礎研究をやるならば、長い年月一つのことに取り組む覚悟が必要だと思います。同じところをひたすら叩き続けることでしか得られない成果が絶対にあるからです” ――山内 悠輔
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)の研究者として多孔体の基礎研究に長年取り組み、最先端のナノ材料研究を牽引してきた山内先生。「同じところを叩き続けることでしか得られない成果が絶対にある」という言葉は、一つのテーマを徹底的に掘り下げる姿勢を表す比喩であり、流行に流されず信念を貫いて成果を積み重ねてきた研究者としての哲学がにじみ出ています。華やかな成果の背後にある地道な継続の大切さを伝える力強い名言です。
出典:環境・エネルギー分野をはじめ様々な応用が可能なナノ材料を次々と創成。多孔化技術が地球を救う。SDGsのための科学技術イノベーションvol.4
“ひらめくための絶対条件が一つあって、それはずっとその問題を考え続けることです” ――坂本 雅典
赤外光を利用した革新的なエネルギー変換技術の研究に挑む坂本先生は、多くの“失敗”を重ねながらこの未知の領域を切り拓いてきました。周囲からは斬新な“ひらめき”に思える画期的な発想の数々も、実は問題を考え抜き続ける継続の力と執念の裏打ちなしには成し得ないことを示すその言葉には、研究の本質が凝縮されています。
出典:太陽の赤外光から水素を生成し、新たなエネルギー源に。 地球の未来を変える京大・坂本准教授の挑戦
“「これは人類の共有財産にすべき発見だ、なんとかしなければいけない、ほかの人の名前で出ても構わない」と思い、色々な方に相談したんです” ――野田口 理孝
研究の継続が困難に思われかけた状況に直面した際、「自分の名前でなくても構わない」と発見を他者に託すことすら厭わない覚悟で動き続けた植物学者・野田口先生。その執念と強い使命感はやがて周囲を動かし、多くの支援を引き寄せ、結果的に従来の常識を大きく覆す成果の発表に至りました。その姿勢には、「続けること」の力と意義とが詰まっています。
出典:2000年にわたる常識が覆った!タバコはなぜいろんな植物と接木できるのか?発見者、名古屋大学野田口理孝准教授に聞いてみた。
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リケラボ編集部より
ここで紹介したのはほんの一例。リケラボにはまだまだ多くの名言、金言、心に刺さるメッセージが満載です。気になったら、ぜひ元のインタビュー記事も読んでみてください!