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まだまだ見つかる! 理系シゴトに進む道 Vol.2(免疫療法・細胞培養士)

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世の中には、たくさんの“理系シゴト”があります。でも、就活ではついつい、メディアなどでよく見かける企業や仕事にばかり目が向きがちではありませんか? やりがいと誇りを持って働ける職場は、想像以上にたくさんあります。身近な製品の開発から、縁の下の力持ちまで、役割もさまざま。実際に現場で活躍する方たちのお話から、そんな“理系の選択肢”を見つけていきましょう。

Vol.2は、東京ミッドタウン先端医療研究所で細胞培養士として働く、加藤弘道さん(入社8年目)のインタビューです。

東京ミッドタウン先端医療研究所
総合医療施設「東京ミッドタウンメディカルセンター」内に位置し、最新の免疫療法を中心としたがん治療提供施設。メインの治療法として提供しているのは最先端・新世代の免疫療法といわれる「樹状細胞ワクチン療法」。血液に含まれる細胞を培養して効率的にがん細胞を攻撃するためのワクチンをつくり、投与する。患者自身の細胞を使って治療するため、副作用が少ない。同フロアには内科、整形外科などの外来診療や、人間ドッグを行う東京ミッドタウンクリニックがあり、各分野の専門医と連携を図りながら患者をサポートしている。
http://www.midtown-amc.jp/

夢を感じて飛び込んだ、医療業界

私は大学時代、水産学部に所属していました。その後、新卒で化粧品会社に就職。正直なところ、当時はなんとなく海が好きで水産学部を選んだり、メジャーな業界だからという理由で化粧品会社を希望したり……自分がどんなことをやりたいのか、いまいちイメージできていなかったんです。けれど、化粧品会社で扱っていた原料のひとつに、やけどを負った肌の再生などにも活用されているEGF(上皮細胞成長因子)というものがあって、そこから再生医療の存在を知り、初めて積極的な興味が芽生えました。当時はちょうど、iPS細胞が話題になって、医療業界が盛り上がっていたころ。調べるほどに、自己由来の細胞で治療できる再生医療に魅力を感じ、自分も関わってみたいと考えるようになったんです。

あらゆる病気で悩む人が、少ない副作用でさらに適切な治療を受けられるなんて、とても夢がありますよね。そこで、重いやけどを治療するための培養皮膚を研究する会社に転職したのち、東京ミッドタウン先端医療研究所で細胞培養士として働くことになりました。医療の専門知識を持たないまま臨床の現場へ飛び込むことになったけれど、期待感のほうが大きかったこともあって、それほど不安は感じませんでしたね。わからないことはどんどん教わりながら成長していこう、という気持ちでした。

病気で苦しむあらゆる人に、副作用の少ない適切な治療を届けたい

現在担当しているのは、細胞を培養する仕事です。培養には、細胞を“増やす”イメージが強いかもしれませんが、当施設でメインにおこなっている「樹状細胞ワクチン療法」では、細胞を“育てる”必要があります。患者さんの血液から取り出した「単球」という細胞を「樹状細胞」に成長させ、がんの特徴を覚えさせるんです。成長した樹状細胞をワクチンとして投与すると、体内の免疫細胞たちにがんの特徴が伝わり、効率的にがん細胞を狙い撃ちできるようになります。患者さんご自身の細胞からつくったワクチンなので、副作用の心配が少ないのも大きなメリットです。

細胞が育つと、見た目の変化も一目瞭然。成長を促すために加える物質は、ほんの数マイクロリットルなのに、目に見えて形が変わっていくのが面白いと感じます。生き物を育てているような感覚は、大学の研究で貝や魚に触れていたときと似ている部分もあるかもしれません。水産学部はいまの仕事に直接の関係はないけれど、授業で習った分子生物学や有機化学の基礎知識が、免疫療法や培養の理解を深めるうえで役に立っています。無菌操作なども身についていたので、手技の面でもかなり助かっていますね。

「単球」の数は、患者さんの健康状態にも左右されるため、もともとの数が少ない場合は失敗できません。工程で迷ったり、知りたいことがあれば、当施設の医師に相談する場合も。患者さんは、ここでの治療に希望を持ってくださっているので、そのぶん責任も重大です。細胞がちゃんと育っていることを確認できたときに感じるのは、何よりも安堵感が大きいですね。

免疫療法は、まだまだ発展の余地がある治療法です。だからこそ、たくさんの症例を集めていくことが大切だと思っています。自分が培養士としてその一端を担えることは、大きなやりがいですね。件数を重ねたぶんだけ知識や技術も磨かれるので、引き続き丁寧に仕事をしていきたいです。

そしていずれは、当施設でできる治療の可能性をさらに広げていけたらうれしいですね。再生医療は、皮膚や関節、角膜、歯茎など、本当にいろいろな治療に活用することができるんです。上手に取り入れて、体への負担を最小限に、もっとたくさんの病気を治療できたら素晴らしいですよね。まだ、世の中の情報や症例からぼんやりとイメージを膨らませている段階ですが、日ごろからできることをどんどん模索していこうと思っています。

就活生へのメッセージ

私は就活のころ、いまいちやりたいことが見つかっていませんでした。でも、きっかけひとつで再生医療にめぐりあい、一気に夢が広がったんです。目の前のことに着実に取り組んできた結果、出会いを逃さずに済んだのだと思います。もし、いまはまだやりたいことが見つかっていなかったり、うまくいかないことがあっても、自分ができることを頑張っていけば納得いく道が見つかるはずです!

 

編集部より

最先端のがん免疫療法を提供し、治療の可能性を最大限に追求する東京ミッドタウン先端医療研究所。その裏側には、患者さんの希望を背負い、一人ひとりの細胞を大切に育てる培養士さんの姿がありました。目の前の課題に好奇心をもって真剣に取り組んできたからこそ出会えた最先端医療の世界。その魅力にみるみる引き込まれ、自分の道を見つけた加藤さん。読者のみなさんの中には、今、これと言ってやりたいことが見つからずに焦っている方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、加藤さんのケースのように、思いがけないきっかけで天職に巡り合えることも実は多いのです。みなさんも、やりたいことのヒントを逃さないようアンテナを張って、いまできることを頑張ってみてください。素敵な道が拓けることを願っています!

著者プロフィール:

リケラボ編集部

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