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まだまだ見つかる! 理系シゴトに進む道 Vol.3(医薬品研究開発)

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世の中には、たくさんの“理系シゴト”があります。でも、就活ではついつい、メディアなどでよく見かける企業や仕事にばかり目が向きがちではありませんか? やりがいと誇りを持って働ける職場は、想像以上にたくさんあります。身近な製品の開発から、縁の下の力持ちまで、役割もさまざま。実際に現場で活躍する方たちのお話から、そんな“理系の選択肢”を見つけていきましょう

Vol.3は、株式会社ナノエッグの医薬品研究開発部で研究員として働く、志村七子さん(入社5年目)のインタビューです。

株式会社ナノエッグ
独自の皮膚研究、ナノテクノロジーを基盤に、皮膚からアプローチする負担の少ない治療法の確立と、注射針を使わない医療社会の実現をめざす。難治性皮膚疾患をターゲットにした医薬品の研究開発から、新しい発想で効果的なエイジングケアを追求する機能性化粧品の開発・販売まで、常識にとらわれないチャレンジを続ける。
http://www.nanoegg.co.jp/

 

就職サポートサービスを通じて研究職として企業へ就職

大学院在学中に、「そろそろ就職先を探さないと……」と考えていたタイミングで、博士人材の就職サポートサービスがあることを知り、登録しました。そこで紹介してもらったのが、ナノエッグでした。

私は小さいころから動物が大好きだったため、大学では獣医学を専攻していました。ですが、勉強を続けていくうちに、動物の病気を治療することよりも、生き物が生きている仕組みを知りたいという想いが大きくなり、大学卒業後は就職ではなく大学院へ進学しました。大学院時代は分子生物学を専攻し、「生命の設計図」である遺伝子の発現機構についての研究に携わりました。大学院時代のさまざまな経験を通じ、研究成果を商品として社会に還元できる企業研究に魅力を感じたので、大学院修了後の就職先としては、研究機関や大学ではなく企業を希望していました。

私が就職活動を始めた当時、ナノエッグでは獣医師資格のある研究員を募集していました。私も「企業での研究に自分の力や資格を活かせそうだから」と思い、応募を決めました。ナノエッグでの研究内容は、当時の私にとっては異分野でしたが、就職活動も始めたばかりだったので、先ずは応募書類の作成や面接に慣れるためにも受けてみよう、というような気持ちで準備を進めた記憶があります。会社の企業理念やイメージなどは、ホームページで何となく確認していた程度でしたが、面接の際に、社長と研究員の人達が同じ目標に向かって、それぞれがやりがいを持って働いている様子など、会社の良い雰囲気を感じることができました。それからは、「ここで働きたいです」と社長に手紙を書くほどにナノエッグの研究員になりたいと考えていました。社長は今でもそのことを覚えていて下さり、「あのとき手紙くれたよね」と、たまに言われることがあります(笑)。

 

幅広い業務を通して新たな才能も発見できた

私が所属しているのは、医薬品研究開発部です。将来的に医薬品の開発につなげられるよう、主に皮膚での疾患発症メカニズムの解明など、基礎研究をメインに行なっています。当社では研究員一人ひとりが、実験計画の立案から、関連する文献の調査、実験の実施、そして結果の総括までの一連の過程を担当することがほとんどです。責任も大きいですが、そのぶん成果を上げられたときのやりがいもひとしおです。

研究テーマについても、同時期に複数のテーマを掛け持ちすることが多く、だいたいいつも3件くらいの研究に携わっています。それぞれの研究にかかる期間は、数ヶ月〜数年単位と、内容によって大きく異なることもあります。研究テーマは、「◯年後にこんな病気の治療薬を作りたい」といった事業計画に沿って設定される場合や、マーケティング部門との商品企画会議で決まることが多いですが、研究中に想定外の発見があったときには、それをもとに新たなテーマが生まれることもあります。

研究員どうしのコミュニケーションも盛んで、大学の研究室のように、日ごろから頻繁にディスカッションが行なわれます。研究員たちの専門分野も、薬学・理工学・農学・物理化学・獣医学など多種多様です。そのため、ひとつの結果に対してあらゆる視点から意見を出し合うことができます。研究の可能性を広げることにもつながりますし、個人的にも気づきを得る機会が多く、とても刺激になっていますね。

また、基礎研究に加え、当社では自社開発の化粧品販売も行なっているため、化粧品の研究開発部門と連携しながら、新製品のモニター試験を担当することもあります。新製品や、もとになる成分をモニターの方にお試しいただいたうえで、お肌の状態を機械で測定するなどしています。ほかにも、学術担当として化粧品の展示会に参加して、ブースでの呼び込みや接客をすることも。このように、柔軟に他部署と協力して働くうちに、「私、意外と接客も好きかも」というように、眠っていた可能性に気がつくこともあるんですよ。

 

どんなことも「発見」だと、前向きにとらえることが研究を続けるコツ!

私は、大学ではヒトと動物の共通感染症について勉強し、大学院では遺伝子やタンパク質の研究、そして現在は主に皮膚科学……というように、さまざまな分野を転々としてきました。そのため、「専門性を確立できなかった」と、コンプレックスを感じていた時期もあって……。でも、いまでは生物学という広いくくりのなかで複数の分野を学べたことが発想の引き出しを増やすことにつながったと感じています。「そういえば、大学時代に勉強したことでこんなことがあったな」と仕事中に思い出して、現在の研究に活かせる場面も多いんですよ。

日々実験を進めるうえで新しい発見があったときは、本当に研究の面白さを感じます。論文にするような大きな成果が頻繁に上がるわけではなくても、“昨日までわからなかったことが今日わかる”ということが面白いんです。たとえ自分が立てた仮説と結果が違っていたり、実験が一回でうまくいかなくても、そこから新しい仮説や検証方法を考えることが前進だととらえています。予想通りにいかないことも含めて大小さまざまな発見があるたびにテンションが上がるし、次の実験に向けたモチベーションになるんです。

研究って、頑張らないと絶対にうまくいかないけれど、頑張ってもうまくいかないことが多々ありますよね。そんなとき、マイナスな気持ちに引っ張られてしまうと、研究にとって大切な「考える」ということがどんどんつらくなってしまう。だから私自身も学生時代から研究を重ねるうちに、日々の小さな積み重ねに喜びを感じたり、どんな結果からも前向きな要素を見つけられるように自然と習慣づけてきたように思います。やっぱり、ポジティブじゃないと研究って大変なんですよね。

 

5年働いてみての心境の変化「会社の成長とともに、自分が持つものを成熟させていきたい」

入社したばかりの頃は、新しい研究分野や日々の業務に慣れることで精一杯でしたが、5年経った現在では、少しずつ研究や仕事に対する姿勢が固まってきたと思います。そうは言っても、研究者としての自分も会社もまだまだこれから広がっていく時期なので、今は「会社の成長に貢献しながら、自身も成長していきたい」というマインドが強くあります。私たちがひとつひとつの研究で着実に成果を上げることで、病気の治療につなげられればいいなと思っています。

就活生へのメッセージ

私自身、会社に入ってから気づいたことでもあるのですが、就職活動中の人には、やりたいことを決めすぎてしまっている人と、逆に何も決めていない人の2パターンが多いように感じています

企業での研究テーマは市場や顧客のニーズによって変化していくため、研究員にも柔軟性が求められます。もし、やりたいことが決まりすぎている場合は、万が一ほかの研究をすることになったとき、モチベーションを保つのが難しくなってしまいますよね。反対に、何も決めていなくて「何かしらの理系職に就ければ……」という考えだと、面接の際に自分を十分にアピールできないと思います。個人的には、就職活動中は自分がやりたい最低限のことだけ決めておき、そこから大きくはずれない範囲で最大限に選択肢を広げて就職先を探すのがいいのではないでしょうか。私の場合は、「企業で研究をしたいけれど、テーマは問わない」ということが軸だったように思います。

就職はゴールではなくあくまで始まり。募集要項やホームページ等で得られる情報は、本当に一部分です。そのため、就活中だけでなく内定後や就職してから、自分で思い描いていたイメージと現実とのギャップに戸惑うこともあるかもしれません。しかし、企業にとっては内定を出すということは、その人に対して「戦力として期待するものがある」ということだと思います。なかには想像していた仕事と違うこともあるかもしれませんが、軸にある“最低限のやりたいこと”から外れてさえいなければ、まずは3年くらい頑張ってみるのがいいのではないでしょうか。素直で前向きな気持ちを大切にしていけば、きっと大丈夫。良い就職先に出会えるといいですね。

 

編集部より

皮膚研究から生まれたオリジナルのナノテクノロジーを基盤に、人々の美と健康のため挑戦を続ける株式会社ナノエッグ。研究開発の現場には、柔軟な姿勢で研究に取り組む志村さんの姿がありました。お話を聞いていると、大学進学から今日まで、いろいろな葛藤や紆余曲折があったことがわかります。ですが、ご自身のなかにしっかりと軸を持つことで、物事を前向きにとらえることができ、結果として充実した毎日を過ごすことにつながっていました。「“やりたいこと”を限定しすぎずに“最低限のやりたいこと”をきちんと自覚する」という志村さんの言葉は、言い換えれば、自分が大切にしたい「価値」を明確にすること。職種や研究テーマそのものではなく、その仕事が持つ「価値」に着目すると、やりがいを感じられる仕事(キャリアの選択肢)が格段に増えますね。思うようにいかないことがあったら、そんなときこそ“自分の軸”を再確認してみてください。きっと志村さんのように、キラキラの笑顔になれるはず!


 

著者プロフィール:

リケラボ編集部

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