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「研究と就活、どちらも諦めなくていい!」企業研究職×採用担当が教える、理系・学生生活の過ごし方│ リケラボ

「研究と就活、どちらも諦めなくていい!」
企業研究職×採用担当が教える、理系・学生生活の過ごし方

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【企業研究職】x【採用担当】x【大学院生のキャリア支援】
すべて経験したキャリアコンサルタント、板倉です。

はじめまして。板倉です。

この度、「『研究と就活、どちらも諦めなくていい!』企業研究職×採用担当が教える、理系・学生生活の過ごし方」というタイトルで記事を書かせていただきます。

「え? 企業研究職×採用担当ってどういうこと? あなた何者ですか?」と思われる方もいると思うので、まずは自己紹介させてください。

私は皆さんと同じ普通の大学生活を送り、普通に就活し、11年間企業研究職をしていた、ごくごく普通の理系人材です。しかしその後、ちょっと不思議なキャリアチェンジがありまして……

ある日、会社の上司に呼ばれ、

「板倉君、人事部で理系人材の採用担当やってみないか?研究職の経験を活かして、優秀な理系学生を採用してきてくれ!」

と言われ、採用担当を5年半してきました。その間、主に理系大学院生の採用担当として、トータルで100名以上の理系大学院生を採用してきました(そのうち博士も40人ほど)。そして、またまた不思議なキャリアチェンジが……

「板倉君、某大学で博士学生のキャリア・就活支援制度を立ち上げる話があるんだけど、きみ、やってみないか?」との話が。

つまり、「学生を採用する立場」から「採用される学生を育てる立場」という全く逆の仕事にチェンジしたんです。大学では、博士学生のアカデミアや民間企業への就活を支援したり、大学院生向けの「就活・社会で役立つセミナー」を企画・実施しました。(参考:https://science-career-support.amebaownd.com/pages/7202221/profile

時には大学院生のエントリーシートの添削、グループディスカッションの模擬練習、模擬面接などもやっていました(採用担当とは逆の仕事でおもしろかったです(笑))。

このように、企業研究職x採用担当x大学院生キャリア支援者 という独自の3つのキャリアを歩んだことで見えてきたことがあります。それは、「研究でも、就活でも、成功する学生は同じ過ごし方をしている」ということ。この記事では、「理系学生が、研究と就活の両方で成功するための過ごし方」を伝えたい!と思い執筆しています。少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。ただ伝えたいことが溢れすぎていて、3本の記事になる予定です(笑)。

理系学生が、研究と就活の両方で成功するための過ごし方:記事1
『「自分らしさ」がブレない学生は最強!』

今回の記事では、『「自分らしさ」がブレない学生は最強!』というお話をします。私の実感として、「自分らしさ」の軸がブレない学生は、研究でも就活でも良い成果を残していると感じています。

「それって、たまたまその学生が優秀だっただけじゃないの?」

と思われるかもしれませんね。しかし私なりに様々な角度で調査してみると、今の日本全体で「自分らしさ」が際立っている学生が高評価を受け、求められていることが、論理的に分かってきました。他の人のマネではなく、あなたが持っている「自分らしさ」を発揮して、成功するための秘訣、紹介させていただきます!

なぜ、「自分らしさ」が大事なの?

はじめに「自分らしさ」の重要性を感じていただきましょう。実は皆さんも相手の「自分らしさ」を軸に評価しているんですね。

突然ですが皆さん、筋トレするならA,Bどちらの動画を見ますか??

筆者作成

断然Aですよね(笑)。じゃあ次の質問です。

筆者作成

こちらもAですよね。研究指導してもらうなら研究が際立っている人に教えてもらいたいですよね。では最後の質問。研究職の面接官になった気持ちでお答えください。

筆者作成

どちらを選びましたか?採用担当の私としては、Bの方を採用したいです。Bの方は、「普通の」大学院生とはちょっと違いそうですね。研究に特化した強みが期待できそうです。

そう、「普通の方とはちょっと違いそう」と相手が感じてくれること、これが「自分らしさ」をもっている状態なんです。「自分らしさ」をもっているといろんな場面で、良いことが起こります。例えばこちら。

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筆者作成

いかがですか?「自分らしさ」をもつメリット、感じてもらえましたか?そして実は、「自分らしさ」をもつことは、昔より現代の方が高く評価されるようになっています。その理由について、解説していきましょう。

今の日本で求められる理系人材のキーワード「平均型<突出型」

早速ですがこのグラフを見てください。

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これは「世界競争力年鑑」の日本の総合順位の変化を表しています。つまり、世界における日本企業全体の順位とご理解ください。1990年代前半は、日本の競争力は世界1位。つまり「made in Japan なら何でも大人気(売れた)」時代となります。この時代では、「早く・安く・大量に」日本製品を作り出すことが良いこととされていました。そのために必要な人材は、言われたことをソツなくこなし、命令には背かず、日々同じように働ける人材。いわゆる「平均的な人材」です。

一方、2020年代を見てください。日本の競争力はどんどん下がって30位以下(23年度は過去最低の35位)。アジアでは韓国、タイよりも下です。このような時代では、「made in Japan」の看板は全く役に立ちません。生き残るためには、製品の「オリジナリティ・イノベーション」が必要な時代に変化しています。

さて皆さんに改めて質問です。このような時代にどんな理系人材が評価されて、求められるでしょうか?

そう、今は「他と違う考え」が求められています。すなわち、他の人と違う「自分らしさ」を強く持った「突出型」の人材が評価される世の中になっています。

さらに質問です。理系の「突出型」の人材はどこにいるでしょうか?

そう、それは大学院(研究室)です。理系一般の知識だけでなく、ある領域に特化した研究力・知識を有する人材(大学院生)。それが今の時代に求められる「突出型」理系人材です。実際、企業の採用では大学院生の採用比率が上がってきています。さらに言えば、博士の採用比率も上がってきています。その背景には、日本全体の変化があったんですね。なので、この記事をお読みの皆さんには、ぜひ「突出型」人材になれるよう、大学院生活をフル活用してほしいと思っています。

そこで次はこんなお話をしたいと思います。

「自分らしさ」を磨くには、研究室が最適の場!

人生の中で、自分のやりたいこと・興味あることにとことん向き合える時期というのは、間違いなく大学院(研究室)です。自分で選んだ研究室で、興味ある研究テーマを考え、好きな時間に実験し、同じことに興味を持つ仲間や専門家の先生とディスカッションする、、、大学院生はこの世で一番自由な人種だと思います(笑)。

そして自由だからこそ、「自分らしさ」が確立される最適な場所なんだと思います。一方、逆のことも言えます。「自由な環境だからこそ、何もしなくても許されてしまう環境」でもあります。自己責任をもって大学院生活を過ごすことが必要です。研究室の過ごし方によって研究成果はもちろん、就活の成功・失敗も決まってきます。なぜなら採用担当は、自分の会社で、「突出型」理系人材として活躍してくれる方を必死に探しているからです。

採用担当は、採用のプロです。学生のエントリーシートや面接の端々に、その学生の研究室での過ごし方が見えています。逆を言うと、にわか仕込みの就活知識だけで太刀打ちすることは到底無理です。自分のやりたい研究にどっぷり漬かって、深く考え、全力で研究に打ち込んでいる学生は、それだけで他の人とは異なる「自分らしさ」が自然と就活でも表れています。

結論として、皆さんにとって、研究・就活における最重要項目は極めてシンプルです。「研究室生活をいかに充実させるか」にかかっています。

では最後に、どのように研究室で過ごしていけばよいか、私なりのアドバイスをお伝えいたします。

勝ち組・理系学生となるための研究室の過ごし方【4つの極意】

  1. 「自分らしさ」を見つける
  2. 「自分らしさ」を磨く
  3. 「自分らしさ」を広げる
  4. 「実験」を極めるのではなく、「研究」を極める!

1.「自分らしさ」を見つける

これまで「自分らしさ」の重要性を伝えてきましたが、「自分らしさが分からない、、、、」、「自分らしさってどうやって見つけるの?」と思った方も多いと思います。研究室ではこれを見つけることが可能です。

学部の講義では聴講がメインで、自分からの発信は少ないですよね。しかも講義ごとに一緒にいるメンバーも変わります。 一方で、研究室は同じメンバーと長い時間を共に過ごし、様々なことを話し合う場です。しかも仲良しな友達同士ではなく「同じ研究に興味を持った人たち」という集団で、いうなれば「社会の縮図」でもあります。

長く研究室で過ごすことで、うわべや忖度も無くなってきます(いい意味ですよ(笑))。元々友達ではない方もいるので、様々な考え方、特徴を持っている人たちと本音で話し合う中で、「あ、自分ってこういう人間なのかも」「他の人と比べて、自分はこんな特徴(長所・短所)があるかも」と気づける場所になります。「自分らしさ」を見つけるために、研究室の中では「多くの人と本音で話し合うこと」が重要です。ぜひ試してくださいね。

2.「自分らしさ」を磨く

次は気づいた「自分らしさ」を磨くことを研究室でやっていきましょう。研究室はとても自由な環境で、自ら発案すればそれをさせてもらえることが多いです。企業研究職をして感じたことですが、企業の研究ではそうはいきません。会社の方針や予算、様々なルールの中で研究活動をする必要があります。

なので研究室では「自分の長所を活かせそう!」というチャンスがあれば、積極的に手を挙げたり、提案してみてください。先生もそのような主体性を認めてくれると思います。このことで研究室での評価や成果も上がりますし、就活でも「学チカ」のアピールポイントとなります。一石二鳥です!ぜひ研究室では「自分らしさ」を積極的に磨いていきましょう。

3.「自分らしさ」を広げる

ここまでは自分の中で完結できる話でした。次は「自分らしさ(長所)」を他の学生や先生の役に立てることを意識してみましょう。

お伝えした通り、研究室では様々な人がいるので、「自分らしさ(長所)」も様々です。きっとあなたの長所が、他の人の大きな助けになることがあります。ぜひ「自分らしさ」を自分の中だけに留めず、人のため、研究室のため、何かできないかな~と考え、発想し、提案してみましょう。これは、研究・就活で役立つ「人を巻き込む」経験に繋がっていきます。ぜひ一歩踏み出して、「自分らしさ」を広げて、波及させていきましょう!

4.「実験」を極めるのではなく、「研究」を極めよう!

最後は、企業研修者x採用担当として、どうしても伝えたいアドバイスです。

企業の研究職になって感じたことは、「大学での研究技術はそのまま使えなかったけど、「研究に対する考え方」は役に立ったなぁ」ということでした。また採用担当として感じていることは、「実験技術がいくら高いと言っても、他にもっと高い社員もいるし、技術だけなら将来ロボットとかAIで代替できるんだよなぁ」ということです。つまり就活では、「実験」のスキル・技術はそれほど重視されていません。そうではなく、「研究」に対する考え方、理解、戦略、進め方を主に見られています。

最初に述べた通り、今の日本では「オリジナリティ・イノベーション」が求められています。それを起こすためには、異分野との融合や今まで誰もやったことのない挑戦が必要となってきます。それができる「突出型」理系人材が、アカデミアでも企業でも求められています。その土台を築くためにも、ぜひ研究室では「実験」よりも「研究」を深く考えることを意識してほしいと思います。

具体的には、研究室の仲間や先生とよくディスカッションをしたり、研究の進め方はこれが最適なのか?と立ち止まって考えてみたり、自分の研究は世の中ではどのように役立つのか考えてみたり……同じように研究室にいても、やれることは無限大です。ぜひ研究を「自分ごと」として考え、「自分らしさ」を発揮して、より良いものにできないか、常に考えてみてください。

その経験は、研究成果、論文、学会発表、就活、将来の成功、すべてに繋がっていく貴重な経験になると思います。大学院生活・研究室生活を振り返ってみて、「あの時、がんばってよかったなぁ」と思える時期にしてもらえたら嬉しいです。

皆さんの大学生活・大学院生活が素晴らしいものになることを、心より祈っています!

※次回の記事では、

理系学生が、研究と就活の両方で成功するための過ごし方:記事2 『採用担当が教えます!あなたに最適な就活準備方法』

をお届けします。お楽しみに!

板倉朋宏

板倉朋宏

大学院まで薬学部で学び、東証一部上場の製薬会社に研究職として入社。
11年間の研究生活を経て、同社の人事部に異動し、理系・大学院生の採用を担当(博士採用も含む)。採用職種は、研究職、開発職、生産技術職、データサイエンス職等。
担当業務は、ES審査、GD審査、1次・最終面接の審査官など、すべての採用業務を担う。
5年半の採用担当を経て、大学に派遣され大学院生(主に博士)に特化したキャリア支援業務に従事。現在に至る。国家資格;キャリアコンサルタント、薬剤師。資格:データサイエンティスト(リテラシーレベル)

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