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実験レシピ プラスミドDNAの精製 1/2 (実験手順 編)

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「特定の遺伝子・DNAだけを大量に得る。」 まるで魔法のようなこの「DNAクローニング」と呼ばれる技術は、プラスミドDNAを作業場(ベクター)として、たくさんの革新(遺伝子組換え・ゲノム編集など)を生み出し続けています。ここでは、DNAクローニングに欠かせない「プラスミドDNAの精製」について、おさらいしてみましょう。

 

アルカリ-SDS法によるプラスミド溶液の調製

「アルカリ-SDS法(別呼称: スモールスケール、アルカリミニプレップ法)」をベースに、RNAの分解やタンパク質除去操作を加えた、プラスミド調製法をご紹介します。比較的純度の高いプラスミドDNAが得られるため、PCRや制限酵素反応のサンプル調製などに広く用いることができます。培養液や試薬の使用量を元の菌体量に比例して増やすことで、必要に応じて容易にスケールアップできる点も便利です。

 

試薬の準備

●再懸濁バッファー:
50 mM Tris-Cl (pH 8.0), 10 mM EDTA, 100 µg/ml RNase A

滅菌後にRNase Aを加えて、2〜8℃で使用・保管する。
※RNase Aは酵素活性を失活させないように低温で扱う。DNase(DNA分解酵素)をコンタミさせないように注意する。

●溶菌バッファー:200 mM NaOH, 1% SDS (w/v)
NaOHは空気中のCO2と反応して規定度が低下するため、密栓したプラスチック容器に保存する。(※ガラス容器はアルカリと反応するので不可)滅菌する。氷冷するとSDSが析出するので、15〜25℃で使用・保管する。

●中和バッファー:3.0 M 酢酸カリウム (pH 5.5)
滅菌する。2〜8℃または15〜25℃のどちらでも保管できる。

●フェノ・クロ混液:(Tris飽和フェノール (pH 8.0):クロロホルム:イソアミルアルコール=25 : 24 : 1 (vol/vol))
事前にTris飽和フェノール(=平衡化中性フェノール)を作製し、上記2種の試薬を加えて混和する。2〜8℃で保管する。

●99.5 %エタノール(無水エタノール)

●70% エタノール (vol/vol)
100 ml作製する場合:70 mlの無水エタノールに超純水を加えて、100 mlにメスアップする。(※30 ml以上の超純水が必要になる)

●凍結保存液:28 % グリセリン(グリセロール)(vol/vol)
超純水に溶解して、オートクレーブ滅菌する。

●TEバッファー

 

実験の手順

1.プラスミドDNAを取り込んで形質転換した大腸菌の孤立コロニー(シングルコロニー)を、適切な抗生物質(選択マーカー)を含むLBプレート培地上に形成させる。

2.シングルコロニーを適切な抗生物質(選択マーカー)を含むLB液体培地(1.5 ml)に植え継ぎ、振とう培養(37℃, 〜18時間)する。容器はフタ付きの試験管などを使う。

3.培養液を1.5 mlのマイクロチューブに移して、遠心分離(20,000 g, 4℃, 1分)し、大腸菌のぺレッ卜を得る。

※余った培養液に等量の凍結保存液を加えて混和すると、大腸菌クローンを冷凍保管(-80℃)することができる。

4.培養上清を吸引除去して、菌体ペレットの状態にする。

5.大腸菌の再懸濁: 氷冷した再懸濁バッファー(150 µl)を加え、ボルテックスミキサーなどで菌体ペレッ卜を完全に懸濁する。

6.大腸菌の溶菌: 溶菌バッファー(150 µl)を加えて、転倒混和を数回行い、室温に静置する(〜5分)。

※溶菌すると懸濁液が半透明になり、粘性が増す。激しい混和操作や長時間の溶菌処理はプラスミドにニックを入れてしまい、収量低下の原因となる。

中和:氷冷した中和バッファー(150 µl)を加えて、ボルテックスミキサーでよく混合し、氷上に静置する(〜5分)。

※乳白色の沈殿が生成する。

8.遠心分離(20,000 g,4℃, 5分)をする。

9.マイクロピペッターで上清(〜450 µl)を新しいマイクロチューブに回収する。

※沈殿を吸引しないように注意する。

10.タンパク質除去: 等量のフェノ・クロ混液(〜450 µl)を加え、蓋を閉めて激しくチューブを振り、内容物を完全に混和する。

11.遠心分離(12,000 g, 4℃, 5分)をして、水層(上清, 400 µl)を新しいマイクロチューブに回収する。

※水層と油層の界面にある膜状の変性タンパク質を回収しないように気をつける。

12.エタノール沈殿: 99.5% エタノール(水層の2.5倍量, 1 ml)を加えて混和し、室温で静置する(〜5分)。

13.遠心分離(20,000 g, 4℃, 10分)して、核酸(DNA)のぺレッ卜を得る。

※収量が少ない場合は、肉眼で核酸(DNA)ペレットを確認できない。マイクロチューブの底部(遠心分離をした際の円周側の内壁)に微量のペレットがあるとみなして操作を行う。

14.上清を吸引除去する。

15.脱塩処理:70 % 工タノール(1 ml)を加えて混和し、遠心分離(20,000 g, 4℃, 5分)をする。

16.上清を可能な限り吸引除去し、フタを開けて室温でぺレッ卜を風乾する。

※脱塩後のぺレッ卜はチューブ内壁から剥がれやすい。ペレットがないと予想される側(遠心分離をした際の中心側内壁)が上側(天の方向)となるようにチューブを持ち、上側の内壁に吸引ピペットの先端を沿わせながら上清を吸引除去する。誤ってペレットを吸引しないように注意する。完全にペレットを乾燥させてしまうと、TEバッファーに再溶解できなくなる。

17.TEバッファー(30〜100 µl)を加えてペレットを再溶解し、プラスミドDNA溶液とする。

次回は「プラスミドDNAの精製2/2(原理・解説編)」をお届けします!

*監修
パーソルテンプスタッフ株式会社
研究開発事業本部(Chall-edge/チャレッジ)
研修講師(理学博士)

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著者プロフィール:

リケラボ編集部

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