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基礎研究の成果を臨床につなぎ、未来の医療をつくる  京都大学「次世代医療・iPS細胞治療研究センター(Ki-CONNECT)」(募集要項あり)

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2020年4月、京都大学医学部附属病院の新施設「次世代医療・iPS細胞治療研究センター(Ki-CONNECT)」が設立される。その目的は、iPS細胞をはじめ京都大学が持つ優れた研究資産を活用し、日本の早期臨床開発を牽引することだ。同センターの全体像と主な活動方針についてセンター長の武藤学教授に、具体的な業務内容と求める人材像について副センター長の髙倉昭治特任教授と老本名津子治験管理室長に伺った。

 

■基礎研究と臨床研究をつなぐ

―センターの概要は「次世代医療・iPS細胞治療研究センター(Ki-CONNECT)」という名称に象徴されていると伺いました。

武藤 「名は体を表す」という言葉どおり、センターでは次世代医療の研究とiPS細胞を用いた治療の医療開発を行います。しかも単なる研究部門ではなく、病院機能を併せ持つ研究センターでもあります。略称のKi-CONNECTは「京都におけるイノベーションをつなぐ」施設を意味しています。基礎研究と臨床研究をつなぐ、研究者と臨床医、さらには患者さんをつなぐなどの意味に加えて、今の医療と未来の医療をつなぐのも、我々に与えられた重要な役割と心得ています

 

―基礎研究と臨床研究をつなぐのですか。

武藤 もともとは、iPS細胞を用いた治療に関する臨床研究センターが必要というところから話が始まり、iPS細胞以外の幅広い領域においても、臨床試験の極めて初期段階である並行臨床試験や早期探索的臨床試験、第Ⅰ相試験も行う施設となりました。当施設で実施予定の臨床研究は、がんや難治性疾患などの領域を対象にした早期臨床開発やiPS細胞を用いた治療開発が中心になります。

 

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▲基礎研究で有望とされたシーズを、これまで以上にスムーズかつ的確に臨床試験に移行させるための体制が求められている。

 

―そもそも第Ⅰ相試験の目的は安全性の確認ですね。

武藤 そのとおりで、人に投与して安全であることを確認するのが、第Ⅰ相試験です。毒性の出る危険性があるため、第Ⅰ相試験では極めて慎重な対応が求められます。特に我々の施設で実施予定の第Ⅰ相試験は有疾患被験者を対象とする領域です。患者さんの安全を守るため、院内に万全の体制を構築する必要があります。健常人を対象とした第Ⅰ相試験に比べ、こうした難易度の高い早期臨床開発を行える専門医療機関は、日本では極度に少なく、そしてこのことが、新薬開発のスピードやコスト面に多大な影響を及ぼしています。

次世代医療・iPS細胞治療研究センター センター長 武藤 学 教授

 

■死の谷を超え、未来の医療をつくる

―新薬開発では非臨床と臨床の間に立ちふさがる「死の谷」が問題とされます。

武藤 基礎研究(動物実験)の段階では有望とされた医薬品候補物質も、臨床試験に移行して実際にヒトに投与するとまったく違った結果になることがよくあります。ここで実用化研究から脱落してしまうシーズが非常に多い。これが新薬や新治療開発の「死の谷」と呼ばれる現象で、ここを乗り越える役目が我々に期待されています。臨床試験の成功確率を高める戦略を練るとともに、効果的な実施体制を組みます。

 

―武藤先生がリーダーを務めるクリニカルバイオリソースセンターも重要な役割を果たしますね。

武藤 クリニカルバイオリソースセンターには、患者さんからのご厚意でいただいた血液や組織を保存するバイオバンクがあります。このバイオバンクに保存されたヒト由来の高品質な生体試料を用いて評価を行うことで、臨床開発への橋渡しが適切かつ迅速に行えるようになり、新薬開発の成功確率向上につながります。

 

―生体試料での評価が高ければ研究に弾みがつきますね。

武藤 まさに万全の体制で、将来の患者さんの治療につながる研究を行うわけです。第Ⅰ相試験はもとより、基礎研究で想定される概念をより早期に臨床で実証するいわゆるProof of concept(POC)試験をサポートする施設は、世界的にもあまり例がないと思います。当センターのように専用の施設を備えているところは、おそらく国内では初めてではないでしょうか。

 

―だから、めざすところは未来の医療開発だと。

武藤 次世代医療・iPS細胞治療研究センター(Ki-CONNECT)は、まさに未来の医療づくりを担う研究施設であり、病院としての機能も併せ持つ施設です。Ki-CONNECTで見いだされた未来の医療の芽が大きく発展できるよう、基礎研究と臨床研究の双方の力が結集した施設であり、そういう意味では前例のないことに挑戦する施設です。

 

―スタッフにもそれなりの覚悟が求められそうですね。

武藤  特殊な能力が必要というわけではありませんが、サイエンスのわかる医療者であることに加えて、未来の医療を一緒につくっていくんだという意気込みは持ってほしいですね。新しい医療つくりに貢献できるのは、大きなやりがいとなるのではないでしょうか。

 

■最先端の医療を、できるだけ早く、一人でも多くの患者さんに

(左)老本名津子 治験管理室長 (右)次世代医療・iPS細胞治療研究センター 副センター長 髙倉 昭治 特任教授

―髙倉先生、老本先生のお二人が担われる役割を教えてください。

髙倉 私は渉外担当です。つまり研究者とコミュニケーションを取りながら、彼らの研究成果を活かせる新たな試験を企業から受注してくる仕事になります。

老本 私の担当はCRC(Clinical Research Coordinator)で、医療機関で臨床試験が安全にそして適切に行われるようコーディネート(調整)する仕事です。試験を行う際には、研究者や医師はもとより患者さん、院内の他部門のスタッフ、企業の担当者など、多くの人と関わります。患者さんへの説明と同意における医師の支援、試験のスケジュール管理、患者さんのケアや相談など多岐にわたります。また、院内の他部門と調整を行い、スケジュール通りに試験を進めるコントロール役を務めます。

 

―お二人からみたセンターの意義はどのようなものでしょうか。

髙倉 武藤先生もお話されているように『未来の医療をつくる』ことです。現時点では不治とされている病気を治す医療開発であり、治療法はすでに開発されているものの非常に高価な薬や治療法などのコストを下げて、広く一般的に使えるようにすることにも取り組みたいと思います。

老本 最先端の治療、つまり京都大学の先生方が研究された成果を、できる限り早く臨床の場に届けることです。京都大学には、本庶佑先生や山中伸弥先生を筆頭に優れた研究者が多くおられます。特に基礎研究に関しては多様性に富んだ先端的な研究が数多く行われているので、それらを迅速に臨床の現場につなげるのが重要な課題です。

 

■研究志向のスタッフには最高の環境

―通常の研究施設ではなく、もちろん普通の病棟でもないのがセンターの特長だと思います。ここで仕事をする魅力は何でしょうか。

髙倉 まだ使われていない、新しい医療をつくりだす。これは医療従事者にとっては、大きな魅力ではないでしょうか。今までにないものをつくり出す点が、研究志向のある方には何よりのモチベーションにつながると思います。略称のKi-CONNECTには「つなぐ」という意味がありますが、ここで働くスタッフにとっては「現在の」自分と「将来の」自分をつなぐ意味もあると思います。

老本 CRCを例にあげるなら、この仕事自体は臨床試験を行う病院であればどこでも体験できます。しかし、新しい医療の芽となる研究やiPS細胞関連の最先端研究等に関わることのできる施設は、日本でもごく限られます。その意味でKi-CONNECTでの経験は、その後のキャリアにとって大きなプラスとなるはずです。また、新たな研究センターの立ち上げに関わる機会は、滅多にないため貴重な職歴となると思います。

 

―研究施設と病棟を兼ね備えたセンターならではの特長は何でしょうか。

髙倉 特長の一つとして個室の大きさがあります。最先端の研究成果に基づく薬物やiPS細胞を試すわけですから、常時モニタリングする必要があります。さまざまな設備を入れて患者さんの状態を測定しながら治療を行うため、部屋が大きいのです。パーソナライズされた試験ができることを強く意識した構造になっています。

老本 基本的に希少疾患や難治性疾患を対象としているので、病床数は限られています。患者さんの安全面に配慮された構造で、中病棟の4階にあるICUとは、渡り廊下でつながっています。ですからICUの医師やスタッフと連携を密にし、試験実施中は安全性に十分配慮して患者さんの管理ができるようになっています。

 

―特長ある施設で働くとなると、スタッフにも特別な能力が求められるのでしょうか。

老本 各職種で求められる業務を問題なく実施できることは前提で、臨床試験に関する知識も必要です。さらに、自分の業務だけを行うという姿勢ではなく、他のスタッフ(医師、看護師、薬剤師、検査技師、CRC等)とコミュニケーションを取ることができることが一番重要です。

髙倉 各職種に通常求められる業務をこなせるのは大前提であり、その上で研究を進める意識を持つこと、効率的に動けるように院内の事情なども理解しておくことが求められます。臨床研究は研究者をはじめとして複数のスタッフが一緒に動くことで成立します。だからコミュニケーション能力は必須といえるでしょう。

 

―共に新しい医療をつくりあげていくんだと、そんな意欲が求められるのですね。

髙倉 技術的には「当たり前のことを当たり前にできる」こと。加えてコミュニケーションを意識して、自分の仕事は「ここまで」と決めるのではなく、そこから常に半歩ぐらい踏み出す姿勢がほしい。

老本 現場では、さまざまな問題やこれまでに経験したことのない事態が起こるかもしれません。そのような場合でも、コミュニケーション能力を駆使して、関係者と協議しながら、患者さんに迅速かつベストな対応をとるという気持ちが必要です。試験を安全かつ円滑に進める観点からは、自分の担当業務に加えて、院内事情にも常に目配りする姿勢が重要だと思います。

▼Ki-CONNECT Webサイト
www.ki-connect.kuhp.kyoto-u.ac.jp

 


<編集部まとめ>
再生医療をはじめとする最先端の医療研究拠点となる、Ki-CONNECT。
多くの先端技術が基礎研究の段階から臨床研究へと移行していく日本有数の中核的な施設となることは間違いないでしょう。
現在、来年4月の開設に向け、先端臨床研究に携わる各職種を公募しています。
治験・臨床研究の経験者だけでなく、必要な医療資格を持った方で「先端医療に貢献したい!」という気概のある方は、大歓迎とのこと。
少しでも興味を持った方は、まずは求人をチェックしてみてください。
説明会も開催予定です!

【募集要項】

臨床検査技師 検体管理・各種臨床検査の実施 募集終了
薬剤師 試験薬管理・調剤 募集終了
治験・臨床研究コーディネーター(CRC) 試験進行管理・調整
要資格(薬剤師 看護師 臨床検査技師)募集終了
スタディマネージャー 試験計画のマネジメント
要臨床試験経験 募集終了

著者プロフィール:

リケラボ編集部

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