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面白さが判断基準!ものづくりの根源的な喜びを味わうため、 “世界一のブラック企業”を目指す事業部長の正体とは!? この人のもとで働きたいvol.01 光陽オリエントジャパン株式会社・プロダクト事業部 清藤鉄平さん

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WEBページに堂々と書かれた『ブラック企業』の文字。
しかも世界一のブラック企業を目指していると中期経営計画にまで掲げている…。

企業ブログでは、世界一の黒さを目指したクルマを乗り回したり、黒い塗料についての超マニアックな研究報告を掲載したりと、黒に対する異様なまでのこだわりが独自の世界観を放って迫力満点。(しかもプラモデルを真っ黒に塗って黒さ比較をしていたり、細かいところまでマニアックで、書いているブログ主自身がとても楽しそうにしている)

この人はいったい何者なのか…。半端ない熱量に圧倒されて、ブログ主の鉄平さんに取材を申し込むと、自らが立ち上げた事業部で製品開発、販売宣伝までこなすマルチマンということが判明。ものづくりが持っている本来の面白さを追い求めたらこうなったとのこと。

この人絶対すごい人!

というわけで、世界一のブラック企業の仕掛人、その名も「内面反射と戦う会社!」光吸収素材メーカー光陽オリエントジャパン株式会社プロダクト事業部のブログの中の人、鉄平さんこと清藤鉄平さんに突撃してきました!

光陽オリエントジャパン株式会社
光吸収素材のメーカーであり、また商社機能も備えた会社として、国内外への光学機器メーカーに光学機能素材の加工販売、精密ゴムやプラスチック部品の調達販売などを行っている。代表的な商品に光吸収素材の「ファインシャット」シリーズがある。プロダクト事業部では、「ファインシャット」をはじめとする無反射処理や黒色素材を軸に独自のものづくりに取り組むことで、新たな市場開拓を果たしている。
会社HPhttp://www.koyo-orient.co.jp/
事業部HP http://www.ko-pro.tech/

 

ものづくりの楽しさを余すことなく伝えたい!

 
――本日は取材の時間をいただきありがとうございます。ブログがあまりに面白くて来てしまいました。黒にかける想いや製品のお話、そして鉄平さんご自身のことを色々教えてください!

 
――まずですが、そもそも御社は何をされている会社なのですか?

弊社は元々は、カメラ内部などに使う、光吸収素材のメーカーです。極細発砲のポリウレタンシートで、厚さ0.22㎜と驚異的な薄さながら、可視光から赤外領域まで安定した光吸収効果を得られることから、光学機器やカメラの内部に反射予防として貼ったり、暗室壁面の反射抑制などに使われています。

 
――プロダクト事業部として会社HPから独立したWEBページはとてもインパクト大ですね。

はい、2018年に事業部として立ち上げ、黒に特化したビジネスとして尖らせるために「世界一のブラック企業になる」という目標を掲げて今日に至ります。立ち上げ当初は、とにかく自分が思う「面白いモノづくり」がしたい一心でした。

 
――どんなものを創ってこられたのですか?

もともと会社が持っていた内面反射を抑える黒いシート、「ファインシャット」シリーズの「SP」をさらに改良して黒くした「極(きわみ)」は渾身の出来です。また、「真っ黒」を追求して生まれた塗料「黒色無双」も2020年5月に発表し、おかげさまでかなりの話題となりました。その他、素材として売るだけではなく用途提案も行っていて、カメラのレンズフードに「ファインシャット」を使用した、レンズフードの機能改善キットといったものなんかもあります。

 
――本当に黒一色ですね!その道の人にとても重宝されそうなものばかりです!

黒色無双を使って塗装されたフィギュア。黒の違いは一目瞭然。

可視光だけではなく、近赤外光を吸収するという特性をもつ、ファインシャットシリーズ。モデルはもちろん、鉄平さん。

光陽オリエントジャパンの製品カタログ。当然、全部黒。

 
――ところで、鉄平さんは、開発から宣伝までいろいろこなされているそうですね?

なんでも屋ですね(笑)なにせ自分が立ち上げたもので。開発、営業、広告宣伝、そして出荷作業もメンバーと一緒にやっています。ブログの執筆はもちろん、チラシのデザインも自分でやっています。

 
――ブログの執筆だけでも大変なのに、YouTubeの動画も実験動画みたいで面白いし、その上チラシのデザインもされているとは、多才ですね!

広告も製品開発と同じで、ものづくりです。開発担当者が広告も作ることで、リアルに伝えられると思うんです。デザインは素人ですが、レイアウトが多少変であっても自分で面白がって作っているものの方が、見てくれた人に伝わると思って作成しています。そこが楽しくもありますね。

 
――確かに我々も、ブログから発せられる何とも言えないオモシロオーラに引き寄せられて取材を申し込みました。

プロダクト事業部は「ものづくりを通した喜びをお客様に伝えたい」それが一番の想いです。製品自体の面白さだけでなく、製造・販売までのすべての過程にものづくりの面白さがあるんですよね。なのでとにかくそれを表現したいと思っていて。伝わってこうしてきてくださっているのはうれしいです。

おっさんずボレロ:おっさんでも、黒い技術に刺激されて、ついついクリエイターになってしまうというテーマで作られた動画。

 

ブラック企業事業部長の波乱万丈人生

 
――鉄平さんがKoProを立ち上げられる前のお話も伺っていいですか?

※KoPro…光陽オリエントジャパン㈱プロダクト事業部 約してコプロ

私は、大学で理系専攻だったものの、中退しています。というのも、学生時代から将来の展望みたいなものがぜんぜんなかったんです。大学は行けるところでいいやと、偏差値だけで決めて有機材料化学を専攻しましたが、なぜそれを選んだのか、今や理由さえ覚えていません(笑)。それがギャップの始まりでしたね。

 
――そうすると、大学生活にそこまで充実感はなかったということですか?

残念ながら、学業では興味があることは見いだせなかったですね。でも学生寮での生活が自分を変えました。古びた昔ながらの学生寮に住んで、たくさんの個性的な人に出会いました。身の回りの人たちに刺激を受けていくうちに、「自分は何をしよう?」と考えるようになったんです。そして決めたのが、「どうせ何かやるなら、自分が楽しいと思うところに就職しよう!」ということでした。

私は楽器が好きで、高校時代はバンドを組んで学祭で演奏などをしていました。好きなものといえば楽器か、あとはバイクがあったので、働くならばどちらかに関われる仕事がしたいと思いました。そこで3年のときに大学を中退し、専門学校に入り直してエレキギターの修理工になります。楽器店専属の修理担当として3年間勤めました。好きな世界で働くのはとても楽しかったですね。

 
――大学中退して好きなことを追究するって…、すごいですね!

あんまり考えてなかったんでしょうね(笑)。せっかく自分の好きな世界で思い切り働いていたのですが、その後、病を患って2ヶ月ほど入院になってしまいました。回復したあとは体力も落ち、薬の副作用で手先も震えてしまって、元の仕事を続けるのは困難な状況でした。そんなときに父親(現光陽オリエント会長)の助言もあって、この会社に入ることになったんです。

 

ものづくりをもっと面白くしたい!社長の反対を押し切りコプロを設立

 
――そんな事情があったのですね…。入社後はどのようなことを経験されましたか?

入社から2年ほど品質管理を担当した後、タイの拠点でゴム成形品の国際調達事業を行うために6年間駐在しました。でもここにもギャップがありました。生産拠点を海外に移すのはどこの企業もやっていますが、日本の産業をそうやってどんどん海外に移していくことは、本当にいいことなのか?と感じました。それに、国際調達事業は最終的には価格勝負なので、お客様との関係がとても希薄なんです。扱っていたのが汎用品ということもあって、調達できて当たり前の上、最終的には価格で決まってしまう。数字でしか相手とつながりが持てない仕事って「面白くないな」というのが正直な感想でした。

 
――楽器を修理するというのとは、まったく違う世界ですよね…。

楽器を買う方って思い入れを大事にされる方が多いんです。スペックではなく、ストーリーで買おうとする。だから大事にするし、修理して使い続ける。産業部品とはまったく異なる価値観でお金が動いているんですね。人間味があって、そこが楽しかった。だから、たとえBtoBでも数字ではなく面白みを追求したい!と切実に思ったことが、事業部の立ち上げにつながりました。さらに日本で行うことで産業に貢献できればいいなと。帰国後、社長には反対されましたが無理やり工場を借り、製造担当者の2人で2018年にコプロをスタートさせました。

 
――新しい事業部で具体的に何をするか、最初から展望があったのでしょうか。

「工場は借りて場所はある。というか後に引けない。さあ、何をしようかな」というところからでした(笑)。

ただ、今までの会社のやり方とは違う方向で大きくなってやろうと考えていましたね。それまでの弊社はほとんどカメラメーカーとの取引しかしていなかったんですが、光を極限まで吸収して究極の黒を実現する素材には他分野にも用途があるはずだと思ったし、黒を追求し、今以上に黒に特化することで、もっと面白みもあるものを作っていこう!という意気込みだけは強かったです。

 

これまで以上に黒い超低反射素材や、想像力を刺激する塗料の開発に成功

 
――結構崖っぷちのスタートだったんですね。いまの勢いからは想像がつかないです。

「ファインシャット」シリーズで最高峰の黒さを誇る、「極」の開発が一つの活路を開くことになりました。極はそれまで一番黒かったSPという商品が薄く見えるほど、真っ黒です。

これ、実はSPの加工を間違ってしまうという、失敗から生まれたものなんですよ(笑)。

黒って、ご存じの通り、正確には色というより光を発していない状態のことを指していて、表面の形状が鍵なんです。例えば華道に使う剣山は上から見ると黒く見えます。これは針の間で光が反射と減衰を繰り返して戻ってこないから。だから黒さを追求するには、素材の形状を工夫し、表面積を増やして光を捕まえるような形状にすることが重要です。「極」もそうで、間違った加工のせいで偶然光の反射を抑制する形状になり、より黒く見えたのがきっかけです。この失敗作からより黒く見える立体構造のヒントを得て改良していき、「極」が生まれました。

 
――どこにヒントが転がっているかわからないですね。「黒色無双」という黒い塗料も驚くほど黒いです。

「極」で立体構造が重要だということがわかったので、今度は塗料ではどうだろうということになりました。スプレー塗工でミストが半乾燥した状態で積み重なり立体構造を得られるような配合にしたのが「黒色無双」です。

 
――黒色無双で塗装したフィギュアの画像がSNSにたくさん上がっていましたね!

開発段階の塗装動画をアップしたところ、10万再生ほどを記録したので、SNSではユーザーに製品を提供し、ハッシュタグをつけて投稿してもらうことを考えました。この商品のコンセプトは「ひらめきを刺激する塗料」。用途は使ってもらう人に委ねようと。そのおかげで面白いPRになったと思います。

 

最優先で考えているのは、面白いかどうかということ

 
――事業部立ち上げから3年目にしてこの成功。大切にしているのはどういうことですか?

企業でのものづくりって、どうしてもスペックやコストにフォーカスされた思考に陥りがちで、ものづくりの根源的な喜びを見失いがちなんです。ものづくりが好きでメーカーに入ったものの、ものづくりの面白さを味わえてない人は多いのではないでしょうか。

うちの事業部の判断軸は“儲かるかどうか”よりも“面白いかどうか”。儲かるかどうかは大企業だってわからないことなので、そこはあまり考えません。人は「面白い」や「満足」にお金を払う存在だし、買う以前の憧れや期待を抱くことそれ自体が幸せになっていたりしますよね。むしろ、そちらのほうが大きいのではないかと思います。

 
―――確かにスペックや価格ではほかのほうが良くても、好きなブランドのPCやスマホを買ってしまいます。

スペックよりも感性に訴えたもののほうが結果としてビジネスとして成り立つ可能性が高く、他との差別化にもなりますよね。

とはいえ、実際のところ何を面白いと思うかは人によっても違うのでなかなか難しいです。以前、世界一黒い車を作ろうとしたときは社内では白い目で見られました(笑)。常に試行錯誤です。でもアイデアが浮かんだとき、そしてそれが当たったときが何より嬉しい瞬間なので、部下たちにもそれを味わってほしくて、企画や提案については「面白いかどうか」を最重要指標にしています。

 
――「面白さ」が最重要! コプロで働いたら、ものづくりの楽しさを存分に味わえそうですね!

管理職や経営者って、いかに部下を管理するかを考えている人が多いように感じているのですが、「面白い」から始めるビジネスは、管理してしまうと生まれないんです。なので、開発会議から通販の発送まで一緒にこなしながら、何を作れば面白いのか日々みんなで考えています。そういう日常の中から尖った付加価値の高いものは生まれると思います。

 
――今後、事業部としてはどのような展開をお考えですか?

カメラ以外の用途がどんどん広がってきています。

これはファインシャットが赤外線吸収に優れていることがわかったことが大きいです。赤外線は、スマートフォンや赤外線カメラ、モーションキャプチャ、車の自動運転、さらには宇宙関連や軍事用途など、使われている分野は幅広く、市場が拡大しています。なかでも近赤外線はカメラ内部で乱反射しやすく、それを抑える素材のニーズは今後ますます高まると見ています。実は、近赤外線の反射を抑える素材が世の中にあまり販売されていないのですが、ファインシャットは近赤外線の反射対策に有効であることもわかりました。

 
――ものすごく巨大なマーケットが広がっていますね‥‥!すごすぎます…!

会社のこれまでの主力とは違うマーケットで成果を出そうとしてやってきた結果が出てきてうれしい反面、気付いたら会社全体がコプロの黒特化のコンセプトに傾きつつあるんです。それだとちょっとつまらないから、さらにその上をいかないといけないと思っているところです(笑)

素材メーカーとしては異色のAmazonでの販売を仕掛けたのも清藤さん。世界各国からサンプル品の注文が入るように。常識にとらわれないチャレンジが大成功の秘訣かも。

 

自分カブシキガイシャの経営者になろう。

 
――ここまでお話を聞いてきて、鉄平さんのような上司がもっともっと増えたらいいのに、と思いました。

世界一のブラック企業ですがいいですか?(笑)というのは冗談として、上司や会社に不満があるときのとっておきの方法があります。

 
――是非教えてください!

自分カブシキガイシャの社長になることです。

 
――自分カブシキガイシャ…?

企業にビジョンや理念があるように、自分が世の中をどうしたいのかとか、この会社でなにをやりたいのか、というビジョンを持って、そのために行動すると決めるのです。会社と自分自身のビジョンの類似点をよく探し、従属関係ではなく、会社と自分カブシキガイシャという対等な、同志的な関係として捉えましょう。会社というのはもともとビジョンの達成のために集められた組織。自分と会社のビジョンの共通点、類似点を理解していれば、積極的に会社を使っても良いはずです。会社に従順すぎると、自分の理想との食い違いに苦しみますし、専門性や付加価値の身につかないキャリアを歩んでしまう可能性もあります。それを避けるには、自分自身を自立した会社に見立てて、どうすれば差別化できるか、どうすれば将来にわたってお金を稼いでいくことができるか、社長になったつもりで考えて行動するといいと思います。

 
――社長になったつもりで考えて行動する…。社長になるには何が一番大切ですか?

社長の一番大事な仕事はビジョンを持ち、それを明確にすることだと思います。ビジョンは会社それぞれにあります。会社はビジョンがあるからこそ、それに基づいて専門性や他社との差別化を磨いていくことができ、結果世の中にとってなくてはならない会社になります。

 
――個人の専門性や差別化をしていくにも、ビジョンが必要ということですね。あまり考えたことなかったです…。

(笑)後付けでも構わないので、自分のビジョンと、今の環境で出来ることを考えてみてください。そしてそれが明確になったら言葉や行動にして、是非周囲の人に伝えてみてください。時には思い切って我を通すこともいいと思います。徐々に会社の方があなたのビジョンに引っ張られたり、近いビジョンを持つ仲間に出会えるようになり、会社からもやりたいことを任せてもらえるようになりますよ。

 
――そうなれるように頑張ります! 自分カブシキガイシャのビジョン、まずは考えてみます!! 自分も世界一のブラック企業で働きたくなりました!今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

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