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研究者がもっと気軽に企業と出会えるプラットフォーム「A-Co-Labo」始動! | リケラボ

みんなで研究環境を変えていこう!研究者がもっと気軽に企業と出会えるプラットフォーム「A-Co-Labo」始動!

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「研究をずっと続けていきたいけれど、将来が不安…。安心して研究に集中できる環境が欲しい」

多くのアカデミア研究者(特に若手)の切実な気持ちだと思います。

でも、日本の研究環境には大きく立ちはだかる構造的な問題があり、個々の研究者にできることは限られているように感じている人も少なくないのではないでしょうか。

そんな中、この問題に果敢に立ち向かおうとしている研究者たちがいます!

Make Questionsを合言葉に学びと地域をつなげる活動を展開してきた、MQ LABO主宰で私立大学研究員の原田久美子さんと、サイエンスプロモーター、大学の非常勤講師等、多彩な分野で活躍している早船真広さんです。

原田 久美子(はらだ くみこ)
鳥取大学大学院工学研究科修了。半導体材料メーカーの研究員を経て、理科支援員として公立小学校で勤務。現在は慶應義塾大学政策・メディア研究科研究員として活動を行う傍ら、子どもの学びを支援するMQ LABOを立ち上げ、地域と学びをキーワードに活動をしている。大学で感じた若手研究者のキャリア問題の深刻さを感じ、研究者向けキャリア支援サービスA-Co-Laboの立ち上げに向けて奮闘中。

早船 真広(はやふね まさひろ)
明治大学大学院農学研究科修了。博士(農学)取得後、コンサルティング会社に就職し、人事関連の仕事に携わる。その後サイエンスコミュニケーションに関する活動を開始。サイエンスプロモーター、国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ、科博SCA副代表、国立大学非常勤講師など、多彩な分野で活躍。

(※所属などはすべて掲載当時の情報です。)

2人が今まさに立ち上げようとしているのは、研究者と企業をダイレクトにつなぎ、研究者の力をもっともっと社会に還元していくためのプラットフォーム。その名も「A-Co-Labo(エコラボ)」。このプラットフォームを使って、研究者は今よりももっと少ない労力で適切な研究パートナー(企業)と出会うことができ、さらには研究能力を生かした副業的な収入を得ることもできます。とても期待大なサービスですよね。

研究者の活躍の場を広げ、将来の不安を取り除き、研究業界を元気にしたい!

そんな2人の熱い想いと事業構想をじっくりと聞いてきました。

研究者と企業がこれまで以上に気軽に、スムーズにつながれるA-Co-Labo

A-Co-Laboサービスの概要と立ちあげの背景について教えてください。

原田:A-Co-Laboは研究者と企業とをダイレクトにつなぐ、新しい形のプラットフォームです。若手研究者が直面するキャリア問題は、私が学生だった頃から今も変わらずにあり、研究者が明るい未来を描きにくい現状があります。博士課程を修了しても就職先がなく、またポスドクとなっても高い給料は望めず、任期が来れば次のポストや資金探しに奔走しなくてはなりません。中には給料や保障もなく、アルバイトをしながら研究を続けている人もいます。私は育児がひと段落し、改めて大学に研究員として入りました。しかし研究者を取り巻く環境が以前と何も変わっていないことを目の当たりにして、愕然としました。これをなんとかしなければいけない、研究者が安心して研究を続けられる、研究に関わる全ての人の幸せをデザインすることが必要だと、切実に感じました。

一方企業側にもニーズがあります。これまで、企業と研究者のつながりは産学連携という形が主でした。企業は投資リスクを重視するので慎重にならざるを得ない。そうすると信頼のおける、長年の付き合いのある研究室や紹介に頼るなど、アナログで効率的とは言えない出会い方しか手段がなかったわけです。間に必ず大学が入るという点でもプロセスが複雑です。また産学連携というほどでなくても、企業の中には使い方読み方がわからないデータや、ちょっとしたディスカッション相手として、自社には抱えていない分野の専門人材や研究者を求めていることがあります。そういう場合もツテを頼ったり、なければ相談先を検索する訳ですが、出会うことが難しかったり、時間がかかるといった課題がありました。ならば、研究者と企業がもっと簡単に出会うことができ、付き合える場を作ればいいのではないか?というのが、A-Co-Labo起案の着想です。

早船:私は博士課程修了後、企業で働いたこともあるのですが、その後はフリーランスとしてサイエンスコミュニケーションに取り組んできました。この分野は主に一般の人にサイエンスの面白さを伝えることに重きを置いているところがあります。しかし、今の日本の科学界の課題に、競争力の下落があります。また論文の投稿数も減っています。私は日本の科学界を復活させたいんです。そのためにいろんな活動をしていますが、日本の科学界を再興するには、研究者に対しても何かしなければならない。研究者が自立して食べていける環境を整えなければ、と常々考えていました。縁あって原田と出会い、一緒に事業を立ち上げることにしたのです。

当事者である研究者自身が立ちあげる、真に研究者のニーズを満たすサービスと感じます。どういう仕組みか詳しく教えてください。

原田:A-Co-Laboには研究者、企業ともに無料で登録していただけます。まずは、オンライン上で研究者の募集から始めようと考えています。学会よりライトで、かつ大学の枠を超えた研究者コミュニティが形成されるように運営します。他分野交流、情報収集・発信の場として活用してもらうイメージです。そこに、研究者との協業ニーズを持つ企業に参加してもらいます。これまでは専門分野別に研究者にアクセスする必要がありましたが、A-Co-Laboでは1つのプラットフォームでさまざまな専門分野の研究者検索が可能です。

早船:企業と研究者、出会っただけではうまくいかないので、A-Co-Laboもサポートをします。企業側の課題の洗い出しからプロジェクト終了までの進捗の管理、時にはお互いの目線のすり合わせなど、間に我々が入ります。第三者に任せることで企業と研究者はプロジェクトに集中でき、成果につながりやすくなります。単なるマッチングプラットフォームではなく、併走型のサポートが入る点が、A-Co-Laboの大きな特徴です。

原田:雇用形態に関しても、企業や研究者のニーズに合わせて、複数パターン準備しています。企業の課題感の程度や条件に合わせ、柔軟に対応が可能です。これらは、雇用形態に拘らない、新たな採用のルート(研究者にとっては新たなキャリアのルート)になると期待できます。

研究者と企業が雇用形態にこだわらず直接つながれること、またA-Co-Laboのプラットフォームを通じてスムーズにつながれること、そして契約内容によっては我々が研究進捗のサポートを行い、企業の負担を減らすことが可能になるという3点が大きな特徴です。

研究者のサポートをしたいという企業は、実は多数あるんです。それを産学連携とは異なる形や小規模連携のものでも気軽につながれるようにすることで、研究業界が盛り上がるのではないかと考えています。

事業化のために参加したプログラムで、これまでにない学びと視野を得る

A-Co-Laboの起案にあたっては、いくつかのプログラムに参加してビジネススキルを磨いたとのことですが、参加してみていかがでしたか?

原田:2つのプログラムに参加しましたが、研究者としてそれまで遠い世界であった、ビジネスというものについて学んだのが大きな収穫です。

まずは経済産業省、JETRO主催の「始動Next Innovator2019」に私が参加し、半年間学びました。主な参加者は起業を目指す人や、企業で新規事業立ち上げを担うような人たち。大学の研究者は私だけで、それまでいたところとは別世界でした。知人に勧められ、説明会にも参加し、もしかしたらできるかもしれないと思ったんですが、甘かったです。ここは事業計画の作り方とか、資料の作り方といった具体的なことを学ぶ場ではありませんでした。もっと先、世の中にインパクトのある事業の生み出し方や、次の一歩をどうやったら出せるかといった、今ある枠から一歩飛び出したイノベーションを生み出すためのプログラム。未来を描くという意味ではとても刺激の大きなものでした。ただ、私はビジネス初心者で用語もわからず、質問できないこともしばしば。悔しい思いもたくさんしました。行政の方などとお話する機会もありましたが、「一社でどうこうできる問題じゃない」と言われるなど、イメージをうまく共有できずにもどかしい思いをしたこともあります。でも、ビジネスに対して熱意を持った多くの参加者たちと一緒に学べたことは大きな財産になりました。

この経験から、基礎がないのに家を建てようとするのは無理がある、と痛感しました。まだ私はビジネスを知らない…と思ったのが正直なところです。そこでもう少しビジネスの基本を学べるものを、と考えて参加したのが、パーソルが立ち上げた個人向け事業創出プログラム「Drit(ドリット)」です。これには途中から早船さんも合流してくれました。Dritは並走するメンターやアドバイスしてくれる審査員もいる中で、事業の作り方について具体的に学ぶことができました。求めていたことがここにあったという感じです。そしてこの2つのプログラムを終えたことで、ようやくA-Co-Laboをスタートさせる準備が整ったといえます。

研究者がビジネスを学ぶと最強の人材になる!

プログラムを通じて事業立案やビジネスに必要なスキル以外に、学べたことはありますか?

原田研究者にビジネス視点があれば、大きな武器になるということです。研究ができて、ビジネス要素を持っている人こそ最強じゃないかなと、Dritや始動を通じて感じました。それはものすごく大きな収穫でした。プログラムに参加して、私は世の中を少しは知っているつもりで、実は何も知らなかったんだということに気づかされました。これについては私自身A-Co-Laboを通じて声を上げ、世の中に発信していかなければと思っています。

早船:ビジネスの視点があるかないかは重要だと思います。私はサイエンスコミュニケーションの活動のためにはまず社会を知ろうと、博士課程を修了後、サラリーマンとして就職しました。すると、研究室での考え方や仕事の進め方とビジネスでのそれの違いを感じることが多く、目からウロコでした。きちんとPDCAを体型的に理解するとか本当にちょっとしたことなんですよ。もっと早く知っていれば違ったのに!と思うことがいくつもありました(笑)。研究者が社会に出るということは、そこで必要とされているものが何かを知ることです。そして社会を知ることで研究者自身も大きく変わることができるんじゃないかと思います。

原田:A-Co-Laboで作ろうとしている研究者のコミュニティは、研究者が社会を知る場として活用してもらい、武器を身につける場になっていってもらえたらと思っています。そして育った研究者が世の中に役立つことを発信できる場としても発展していけるといいですね。


Dritのファイナルプレゼン直後のショット。一番右はメンターのパーソルグループ社員

研究者も変わらなければならない。5年、10年先を見据えて自立を目指せ!

今まさにサービスを始動しようとしているところだと思いますが、具体的にはどのような形でスタートされるのでしょう。

原田:まずは今年中に法人化し、実績を作っていくことを目指します。まずは情報通信分野のようなDRYの研究から、その後ライフサイエンス分野などWETの研究分野に広げていく予定です。

早船:運営では研究者をつなげていくことを意識したいです。いろんな分野の研究者がつながりの中で力を発揮し、また専門を広げるようなことも可能になっていくプラットフォームになれば理想的です。

研究者の方々にはどのようなことを伝えたいですか。

原田:研究者って、子どもたちの人気の職業ランキングでは常にトップ10に入る職種なんです。研究者はいろんな可能性のあるワクワクする魅力的な職業だと思って、若い研究者には臆さず挑むことを考えて欲しいですね。そのためには研究者自身も変わらないといけないと思っています。研究室の狭い世界を当たり前と思うのではなく、自立のために必要なことを意識し、5年先、10年先にどうなっていたいのかイメージを持つことが必要です。今のスタンダードは5年後にはスタンダードではないと思って、挑戦をして欲しいですね。私自身、ヒト・モノ・金のいずれもない中、アイデアだけでこのサービスを立ち上げました。何も知らなかった研究員でも1年でここまでのことができます。「今の研究者の皆さんに、できないことはない」、それはすごく伝えたいです。

早船: 今の時代、研究の世界も他の職種のようにプロジェクト単位で動き、研究者もフリーランスのような働き方へと変わっていっていいはずですよね。でも日本の研究の世界はガラパゴス状態になって、最終目標を聞くと教授になることで止まっていたりする。それを変えなければなりません。

研究者に伝えたいのは、シンプルにいうと自分で考えて動いてほしい、ということです。研究者に限った話ではありませんが、閉鎖空間にいることで周囲に流されてしまうことが多いと思います。原田が言うとおり、自分がこの先どうなりたいかを考えた上で今必要なことは何なのか、考えて行動できるような研究者が増えて欲しいと思います。目指すものに対して行動に移せるか、どうなったら成功なのか、また失敗したからといってそれで終わりではないはず。自立して自分で考えて、お金を稼げる研究者になっていくべきだし、A-Co-Laboのサービスでそれを可能にできると思います。

原田:A-Co-Laboを使って若手研究者がうまく社会につながることで、これまでの働き方の形もキャリアも変わっていけばいいと思っています。今のように受け皿のない状態では研究をやりたい人も減ってきてしまう。目指すのは教授だとしても、大学に居続けなければなれないというのはおかしな話です。研究者が必要に応じて学外で研究し、また戻ってくることも可能だというような、循環することで研究業界を盛り上げる、そんな起爆剤にA-Co-Laboがなっていくことを目指します。こうした考えに共感してもらえる方には、ぜひともA-Co-Laboに登録して欲しいと思います。一緒に研究業界を盛り上げていきましょう!

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株式会社A-Co-Labo(A-Co-Labo Inc.)

リケラボ編集部

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