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理系すぎるお料理レシピ:第2回「茶碗蒸し」

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私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。

今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「茶碗蒸し」。おいしくなめらかに仕上げるためには、調理に隠された科学現象を理解することが大切です。どこまでついてこられるかで、あなたの理系度も診断できるかも!?

 


なめらかな「茶碗蒸し」の再現方法とその考察

 

目的

舌触りなめらかな茶碗蒸しを作る。

 

方法

〈材料〉(2人分)

・たまご 大1個
・だし汁 180ml
・塩 2g
・薄口しょうゆ 2.5g
・みりん 5ml
・鶏ささみ 30g(そぎ切りにする)
・芝えび 2尾(背わたをとりのぞき、酒小さじ1をふっておく)
・ぎんなん(水煮) 4個(水気を切っておく)
・みつば 2本(1~2cmに切る)
・しいたけ 小1枚(薄切りにする)
※具材は好みのものでよい。火が通りにくいものはあらかじめゆでておくと良い。

〈調理法〉

  1. だし汁を冷ましておく。
  2. たまごをボウルに割り入れ泡立てないよう撹拌し、ほぐす。
  3. ほぐしたたまごに、だし汁と塩、薄口しょうゆ、みりんを加え混合する。
  4. できあがった卵液をこし器でこす。
  5. 器(蒸し茶碗)に具材を投入し、卵液を静かに注ぐ。(表面に泡が浮いている場合は取り除く)
  6. 水蒸気の上がった蒸し器内に、5.の茶碗を置く。
  7. ふたを少しずらし、蒸し器内の温度を85〜90℃に保ちながら弱火で15〜20分ほど蒸す。
  8. 竹串をさし、澄んだ液体が出ることを確認する。
  9. 蒸し器から茶碗を取り出し受け皿に盛り付ける。

 

結果

つるんとなめらかなおいしい茶碗蒸しが完成した。

考察

茶碗蒸しは、卵の熱凝固性と希釈性を活用した料理である。卵をだし汁や調味料で希釈したものを加熱することで、柔らかく凝固させる。凝固後の固さは卵液の濃度によるため、加える液体の割合が多いほど柔らかくなる(=あまり凝固しなくなる)。

今回の調理では、卵のおよそ3倍の体積のだし汁で希釈した。通常、汁に対する卵液濃度(体積濃度)が20〜25%を下回ると凝固しなくなるが、調味料に含まれるNaCl(塩化ナトリウム)がタンパク質の凝固を促進するため茶碗蒸しに適した柔らかさに凝固した。これは、陽電荷であるNaイオンが負電荷を打ち消し、表面電荷をなくすためである。よって、凝固する最低限の体積濃度に近い卵液を用いることで柔らかな舌触りの茶碗蒸しに仕上がった。

 

図:卵の希釈性を活用した料理とその濃度(数値はリケラボ調べ)

 

また、なめらかな茶碗蒸しを再現するためには“す”(=気泡がそのまま空洞になりできる隙間)の発生を抑える必要がある。“す”は水分が蒸発した痕跡で、高温で加熱した際に卵が急激に凝固し、その後卵液に含まれる水分が蒸発することによってできるものである。そのため、蒸し器内の温度を85〜90℃に保ち、卵液の沸騰を防ぐことによって、“す”の発生を最小限に抑えることができる。今回蒸し器のふたをずらしたのは、蒸気を適度に排出し蒸し器内の温度を調節しやすくするためである。

 

結論として、つるんとなめらかなおいしい茶碗蒸しを再現するには

  1. 卵液の体積濃度を約25%にすることで、柔らかく凝固させること
  2. 蒸し器内の温度を85〜90℃に保ち“す”の発生を防ぐこと

が重要である。

 


理系・文系を問わずレシピに潜む科学現象を理解することで、料理の腕もさらに上達するかもしれません。前回に引き続き、今回もたまご料理にピックアップしました。たまごというひとつの食材をとっても、あらゆる特性が料理に活かされているのですね。では、第3回もお楽しみに!

 

フローチャート作成参考:
『応用自在な調理の基礎 フローチャートによる系統的実習書 日本料理編』
河内一行ほか/家政教育社

(記事監修/管理栄養士 棚橋伸子)

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著者プロフィール:

リケラボ編集部

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