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理系すぎるお料理レシピ:第5回「とろりと濃厚カルボナーラ」

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私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。

今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「濃厚スパゲッティカルボナーラ」。とろりとクリーミーでコクがある仕上がりのためには、卵に隠された科学現象を理解することが大切です。どこまでついてこられるかで、あなたの理系度も診断できるかも!?

 


濃厚なカルボナーラの再現方法とその考察

 

目的

クリーミーでおいしいスパゲッティカルボナーラを作る。

 

方法

〈材料〉(2人前)
・卵(常温に戻しておく) 4個 ※内2つは卵黄のみ使用
・ベーコン 2枚
・生クリーム 大さじ4
・粉チーズ 大さじ3
・塩(茹で水に入れるもの) 大さじ1
・塩(味つけ用) 少々 迷ったら小さじ1/4(1.5g)
・こしょう(粗挽き) ソースと仕上げでそれぞれ0.2gずつ
・にんにく 1片
・オリーブオイル 大さじ1
・スパゲティ 180g

〈調理法〉

  1. 鍋に2ℓの湯を沸かし、大さじ1の塩を加え、スパゲッティを茹でる(湯の量に対して塩の量は0.5~1%が目安)。パッケージに記載されている表示時間よりも1分短く茹でる。
  2.  にんにくはみじん切りに、ベーコンは1cm幅に切る。
  3.  フライパンにオリーブオイルを熱し、にんにくとベーコンを加える。
  4.  ベーコンの表面がカリッと熱変性するまで2〜3分間中火で加熱したら火を止め、粗熱をとる。
  5.  ボウルに卵2個を割り入れ、生クリーム、粉チーズ、塩少々、こしょう少々を加え、軽く撹拌する。
  6.  スパゲティが茹で上がる直前に(5.)のボウルに(4.)で炒めたベーコンを油とにんにくごと加え撹拌し、乳化させる。
  7.  茹で上がったスパゲティをザル上げし、湯を切ったら(6.)の卵液に投入する。とろりとするまで手早く混合する。
  8.  器に盛り、こしょうをふりかけて、最後に卵黄を1人分につき1つずつ乗せる。



 

結果

クリーミーで濃厚なスパゲッティカルボナーラが完成した。

 

考察

とろりとクリーミーなカルボナーラを再現するには、卵の熱凝固性を理解することが重要になる。

卵の変性温度は、卵黄が65℃〜、卵白は58℃〜で、70℃で完全にゲル化、80℃で完全凝固する。そのため、とろりとクリーミーなカルボナーラを仕上げるには卵が凝固しきらない温度帯を保ち、調理することが求められる。

 

卵を完全凝固させないために考慮すべきなのが、他材料と混合する際の温度だ。ベーコンを加熱後すぐに卵液へ投入すると、80℃以上の状態で卵のタンパク質と接触することになる。すると高温部に触れた箇所から卵が凝固し、炒り卵のようにボソボソとしたソースに仕上がってしまう。そこで、手順(4.)でしっかりと粗熱をとることが重要になる。

卵が適度にとろりとした状態になるには、卵黄・卵白ともに熱変性が始まり、ゲル化しきる一歩手前の温度で混合する必要があることから、手順(6.)でベーコンを投入後、65〜70℃の状態で卵液を混合することが望ましい。撹拌時の温度の低下も考慮すると、ベーコン(オリーブオイルも含)の温度を70℃程度状態で投入すると成功の確率が高い。このとき卵が冷えていると、反対に温度が下がりすぎてしまい変性が進まず、さらにチーズも溶けずとろりとした食感が出せなくなるため、卵はしっかりと常温に戻しておくことが重要である。
ただし今回は失敗のリスクを軽減するために、卵液に生クリームを加えることで卵の凝固が緩やかになるようにした。(卵の希釈性による)そのため、ベーコンの温度が70℃を超えていた場合でも成功の確率が高いと予想できる。

結論として、とろりと濃厚なカルボナーラを再現するには

  1. 卵の温度を管理しやすいよう、調理前にしっかりと常温に戻しておくこと
  2. 卵を完全凝固させないために、ベーコンの温度を70℃程度にまで下げてから投入すること
  3. 65℃から70℃の状態を保ち卵液を撹拌することと

が重要である。

 


理系・文系を問わずレシピに潜む科学現象を理解することで、料理の腕もさらに上達するかもしれません。よく「卵がボソボソになってしまった」「サラサラしたままでクリーミーな食感に仕上がらなかった」など、失敗談も聞くカルボナーラですが、卵の変性温度を意識して調理すればうまくいく可能性がぐんと高まります。次回もお楽しみに!

 

フローチャート作成参考:
『応用自在な調理の基礎 フローチャートによる系統的実習書 日本料理編』
河内一行ほか/家政教育社

(記事監修/管理栄養士 棚橋伸子)

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著者プロフィール:

リケラボ編集部

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