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実験器具のかわいいキャラクターが大人気! 理系のツボをおさえまくった『ビーカーくんとそのなかまたち』作者のうえたに夫婦さんの仕事場にお邪魔してみた

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毎日使っている実験器具が、意志をもってしゃべったら? 性格もそれぞれ個性豊かだったら??

そんな楽しい世界が詰まった書籍が『ビーカーくんとそのなかまたち』です。ビーカーのようなメジャーな実験器具から、特定の実験でしか使わないようなマニアックなものまで、かわいくて個性的なキャラクターとしてたくさん登場します。なんといっても魅力的なのが、理系なら思わず「あるある!」と共感してしまうポイントが散りばめられているところ! 理系にしかわからないであろうネタが満載で、実験器具への愛を感じます!

初めて目にした印象をひとことで表すなら、それは「萌」です。

ということで、今回は編集部が一目ぼれしたカワイイ実験器具キャラクターたちを紹介させてください!

 

メジャーな器具からマニアックなあんなものまで…!?あるあるが詰まったキャラクターを一部ご紹介!

■ビーカーくんビーカーくん

まずは、主人公の「ビーカーくん」。得意技は「液体を中に入れること」。特徴は、少しとがった注ぎ口と、あまり正確ではない目盛。実験仲間は、「ろうとちゃん」や「ガラス棒くん」、そして「スターラーバーくんたち」。

マニアック度 ☆
壊れやすさ ☆☆☆☆
目盛の正確さ ☆☆
洗いやすさ ☆☆☆☆☆
価格 ☆

 

■電子天秤に付いてる水準器の中の気泡くん

得意技は「水平かどうかを確認すること」。落ち着きがなくいつもちょろちょろ動いてしまう。中心に合わせているつもりが、いつのまにか動いている……なんていう経験をしたことがある人も多いはず。

マニアック度 ☆☆☆
壊れやすさ ☆
思い通りに動かない度 ☆☆☆☆☆
中心に合わせてもいつのまにか動いている度 ☆☆☆☆☆

 

■2又試験管にいさん

得意技は「個体と液体を反応させること」。“2又”と名前についているが、恋愛には一途。片方に粉末などの個体を、もう片方に液体を入れて、少しずつ傾けて反対側に加えることで反応を見られる。個体が液体側に行かないようにできるくびれ部分は、これがないと器具としての機能が成り立たないくらい重要。

マニアック度 ☆☆☆☆
壊れやすさ ☆☆☆☆
洗いにくさ ☆☆☆☆☆
立てた状態での保管のしにくさ ☆☆☆☆☆
価格 ☆☆

 

■分液ろうとマダムと分液ろうとのフタくん

ザマス口調のマダムといつも自信なさげなフタくん。得意技は「液体を分離して取り出すこと」。マダムには空気抜き用の穴が、フタくんには空気穴に合わせるための溝がそれぞれついている。実験仲間は「ろうと台くん」と「ろうと用活栓くん」。

マニアック度 ☆☆☆☆
壊れやすさ ☆☆☆
洗いにくさ ☆☆☆☆☆
実験で振るときはフタ部分を押さえないといけない度 ☆☆☆☆☆
価格 ☆☆☆☆☆

 

どのキャラクターもかわいいだけでなく、器具としての役割や大切な特徴、そしてちょっと困ったポイントまで……器具の特徴をしっかり押さえたキャラ設定が、いたるところで「あるある!」と共感させてくれますよね! 「ビーカーくん」の仲間たちは、現在150種類以上。書籍には今回ご紹介した以外にもまだまだたくさんのキャラクターが紹介されています。書籍「ビーカーくん」シリーズは要チェックです!

 

作者の「うえたに夫婦」とは何者? ビーカーくん誕生の背景は?


マニアックすぎる作風に、「絶対に作者は理系のはず!」とさっそく調べてみました。そして巡り会えたのは、とっても素敵なご夫婦「うえたに夫婦」! ペンネームの通り、本当のご夫婦です!

うえたに夫婦
理系の夫と理系じゃない妻の夫婦によるイラストレーターユニット。奈良県出身・神奈川在住。もともとは中学時代の同級生。2017年に長男が誕生。
〈夫・祐樹さん〉京都工芸繊維大大学院卒。小学生から高校生まで野球に明け暮れる少年時代を過ごす。資生堂での研究員を経てイラストレーターに。ユニット活動ではイラスト制作や新キャラクターの考案を担当。
〈妻・千尋さん〉高校生まで陸上を頑張っていた体育会系。元観光バスガイド。ユニット活動ではイラストの着色と、SNSの更新、グッズ制作などを担当。

 

──ビーカーくんが生まれたきっかけを教えてください!

祐樹さん: もともと奥さんが、趣味で羊毛フェルトを使った雑貨やアクセサリーを作っていて、ハンドメイドのイベントに出店したりしていたんです。僕はその販売を手伝っていたのですが、自分も何か作ってみたいと思うようになりました。手始めに、自分にとって仕事道具であり身近な存在だった実験器具──なかでも特に使用頻度が高くバリエーションも豊富なビーカーをキャラクターにしてみようと思い立ったのがきっかけです。最初はステッカーやクリアファイルなどのグッズを作って販売していました。

千尋さん: じわじわと人気が出てきて、気づけば販売スペースの半分くらいはビーカーくんグッズに侵食されていました(笑)。

 

──どんなふうに人気が広がっていったのですか?

祐樹さん: やっぱり、手に取ってくださるのは理系の人が多かったと思いますね。「この実験器具、今使ってる!」とか「学生時代に使っていた、なつかしい」とか。理系と文系の二人組で来てくれると、理系の人が文系の人に「この実験器具はこういうふうに使うんだよ、昔私はこんなミスをしてさ……」なんていう感じで力説してくれたりするのもうれしくて。理系の方は、みなさん実験器具を見るだけでいろいろな思いが浮かんでくるみたいですね。

千尋さん: 最初のころは、ビーカーくん、三角フラスコくん、アルコールランプくん、試験管ブラザーズなど、誰もが知っているメジャーな実験器具のキャラクターのみの展開でした。でも次第にお客さんから「もっとマニアックな実験器具も描いてほしい」っていうリクエストをもらうようになったんです。

祐樹さん: リクエストに応えるかたちで徐々にキャラクターも増えてきた頃、ある書店さんで出していたイベントブースを見てくれた出版社の方から、書籍化のお話をいただいて。2016年7月に『ビーカーくんとそのなかまたち この形にはワケがある! ゆかいな実験器具図』(誠文堂新光社)を出版することになりました。このときまでイラスト活動は会社勤めをしながらの副業的位置づけでしたが、書籍化をきっかけのひとつとして会社を辞め、現在は夫婦で力を合わせてのイラストのお仕事一本で活動中です。お仕事の内容としては、「ビーカーくん」のグッズ・書籍の展開のほか、理系の書籍や雑誌で挿絵を描いたり漫画を連載したりもしています。夫婦での仕事の分担は、キャラクターの考案やイラストを描くのは僕がやっていて、着色やグッズの制作・発注などは奥さんの担当です。

▲ご夫婦でのお仕事風景。作業場所や机の配置はその日の気分で変えているそう。

 

正しくきちんと。でも、文系の人にも楽しんでもらえる絶妙なバランス

──こんなにたくさんのキャラクターたちは、どんな想いで考案されているのですか?

祐樹さん: 基本的には学生さんや研究職の人など、理系の方に“あるある”と思ってもらえるものにできたらいいなと考えています。たとえば「電子天秤に付いてる水準器の中の気泡くん」は、「なぜかいつも水平にならない……」という自分自身の体験をもとにしています。想像以上に共感してくれる人が多くてうれしかったです。

 

──「2又の試験管にいさん」のくぼみや、「分液ろうとマダム」の空気穴など、小さくても大切な役割を果たしている特徴まで、きちんと描かれていて感動しました。

千尋さん: 理系の人から、「そこまでちゃんと描いてるんだ」っていう声をもらうことが多いです。

祐樹さん: 器具の特徴にはそれぞれ大切な意味があることが多いので、キャラクターの個性として描くことで、あらためて意味を確認してもらえたり、大切さを共感してもらえると嬉しいです。
ほかには、漫画でも実験の“あるある”を描くことが多いです。たとえば最近描いたものだと、中和滴定のミスなんかはわかるひとにはわかってもらえるのではないでしょうか。試薬を入れるのを忘れたり、逆に試薬を入れすぎて色が濃くなりすぎてしまったり……(笑)。

 

──著書などを見せてもらうと、“マニアックさ”と“わかりやすさ”が絶妙に共存していると感じます。子どもから大人まで誰でも楽しめるような魅力的なキャラクターがたくさんいますよね。このバランスはどのように意識されていますか?

祐樹さん: 自分では特にこれといったバランスは意識していなくて。純粋に自分が読んで楽しそうと思うものを描いています。それを奥さんに見てもらって、「難しすぎる」と指摘が入ったら表現を調整していく感じです。

千尋さん: 理系の人の間ではあたりまえに使われている専門用語などもありますが、難しくなりすぎてしまいそうなときがあるので。理系ではない私の目線で見て、わからないと思ったところは伝えるようにしています。

 

──器具への愛着は、学生時代や会社員のころから自覚されていましたか?

祐樹さん: どうでしょうね〜。でも、実験に携わる人であればみんな器具のことは愛しているんじゃないですかね。実験器具がないと実験できませんし。理系の学部に進んだ人たちが研究室に入ってまず最初に習うのは、実験器具の扱い方や洗い方だと思います。器具をていねいに、大切に扱うという心がけは身に染み付いている人が多いのではないでしょうか。

 

──ずばり、実験器具のどんなところが好きですか?

祐樹さん: 僕は、単純に「いっぱいあること」が好きなんです。いろいろな種類があるから見ていて楽しいし、描き甲斐もある。それと、複数の器具を組み合わせて使ったり、“合体ロボ感”があるのも好きですね。

 

会社員時代に磨いた“わかりやすく伝える”テクニック

──ところで、祐樹さんがサイエンスに興味を持ち始めたのはいつごろだったのですか?

祐樹さん: 小学生のころから理数系の科目が好きだったので、高校で進路を選択するときは自然と理系の道に進むことを決めていました。

 

──大学ではどんなことを学ばれていたのですか?

祐樹さん: 染色化学といって、ヘアカラー剤が髪を染める仕組みについて研究していました。就職活動でも、大学での研究を活かして身近な商品の開発に携われたらと、化粧品や日用品のメーカーを志望しました。会社に入ってからは、ワックスなどの整髪料や、女性用の化粧品開発を担当していました。

 

──研究職時代に学んだことや会社員としての経験から、イラストのお仕事にも活きていることなどはありますか?

祐樹さん: “わかりやすく伝えること”の大切さでしょうか。メーカーの研究職は、ひたすら研究に没頭していればいいというものではなく、商品の特徴などがお客さんにもきちんと伝わるよう、社内のマーケティング担当者などにわかりやすく説明する必要があります。私自身も、プレゼンの機会の多さと難しさに最初はずいぶんと戸惑い、挫折も味わいました。それでも、先輩から多くの心がけやテクニックを学び、少しずつ克服していったように思います。たとえば──まずは結論から伝えて、その後詳細を話すという基本的なことだったり、スライドには最低限の情報だけを書いてごちゃごちゃと細かくなりすぎないようにすることだったり。こうしたコツは、イラストにおいて器具の特徴や使い方、実験のポイントなどをわかりやすく伝えるうえでも共通しています。プレゼンでもイラストでも、削ぎ落とせるものは削ぎ落としてデフォルメしつつ、外せない要素は見極めてしっかりと描くことが大切ですね。

 

独立を決意したのは「どちらの未来を見てみたいか」自分自身に問いかけた結果

──大手化粧品メーカーでの研究開発職という、花形ともいえる仕事からイラストの道へ転職されることに、迷いや不安はありませんでしたか?

祐樹さん: もちろんありました。会社での仕事がとても楽しくて充実していたので、本当に辞めてしまってもいいのか、ずいぶん悩みました。でも、奥さんに「いけるいける、大丈夫」と背中を押されて決心できました。

千尋さん: 会社員のころは、本業に配慮して顔出しはNGで活動していました。でもグッズの人気が徐々に広がっていることに手ごたえを感じていたし、せっかく本を出せることになったので、このチャンスにイラストレーターとしてきちんと顔と名前を売り出していくべきだろうと思ったんです。

祐樹さん: 物心ついたときから絵を描くのが好きで、中学生ごろまでは、漠然と「これが仕事になればいいな」と考えたこともありました。だけど、高校生になったころからは部活の忙しさなどもあってほとんど描いていなくて……。まさか自分が本当にイラストを仕事にできるようになるなんて、想像していませんでしたね。結果的に、研究の経験を活かしながらイラストを描くこと自体もそうだし、時間の融通が効きやすいから子育てにも多く関われることもすごく楽しいです。子どものころの夢を思い出させてくれて、背中を押してくれた奥さんに感謝ですね。

 

──祐樹さんと同じように、自分が「やりたい!」と思えることに出会ったけれど、環境を大きく変えてチャレンジするのか、現状を維持しつつ両立できる方法を模索するのか悩んでいる人がいたら、どんなアドバイスを贈りますか?

祐樹さん: 「自分自身がどちらの未来を見たいのか」と問いかけてみるのがおすすめです。僕自身、会社員のままでいるのか独立してイラストレーターになるのか迷っていたときは、どちらの道も捨てがたいというのが本音でした。でも「どちらの未来を見たいか」と問いかけた結果、会社員としての自分の未来よりも、絵で食べていく自分の未来を見てみたいなと、より強く感じたんです。思うようにいかないこともひっくるめて、「見てみたい景色」があると思えたら、その時はぜひ一歩踏み出してみるべきだと思います。

 

理系の人の共感を得ながらいずれは子ども向け作品も

──今後はどんなキャラクターを増やしていきたいですか? また、ビーカーくんの展開について期待されていることやイメージされていることがあれば教えてください!

祐樹さん: 機械系の実験器具はまだまだ描いていないものもあるので、キャラクターにしていけたらと考えています。それと、「キムワイプ」など、おなじみの商品のキャラクターも描いてみたいなと思っています。いつかコラボさせてもらえたらうれしいですね。
ビーカーくんシリーズでは、引き続き理系の人たちに共感してもらえるようなキャラターや漫画、書籍などを作っていくことを目指しながら、いずれは子ども向けの教育番組などにも進出できたらと考えています。実際に小中学校の図書館でも僕たちの書籍を読んでくれている子どもたちが多いみたいなので、これからはさらに、子どもたちが理科に興味をもつきっかけも作っていけたらうれしいです。

 

──お二人の今後の夢を教えてください!

祐樹さん: 僕は、奥さんとずっと仕事ができればいいなと。それだけですね。楽しく仕事ができればいいなと思っています。

千尋さん: 私の目標は……いつか“ビーカーくん御殿”を建てることです!!(笑)

──祐樹さん、千尋さん、素敵なお話とメッセージをありがとうございました!

 

うえたに夫婦さんの著書情報

・『その形にはワケがある!ビーカーくんとそのなかまたち ゆかいな実験器具図鑑』(誠文堂新光社)
・絵本『ビーカーくんと放課後の理科室』(仮説社)
・『その手順にはワケがある!ビーカーくんとゆかいな化学実験』(誠文堂新光社)
・『中学理科がちゃっかり学べる ゆる4コマ教室』(学研プラス)
・『ザ☆単位のマンガ 〜メートルくんたちが教える単位の話〜』(大和書房)

著者プロフィール:

リケラボ編集部

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