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電気は何からできているの? キッズ向け科学│リケラボ

電気は何からできているの?

キッズの不思議vol.4

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家や学校、公園などどこにいても、不思議なことがいっぱい!

「なぜ?」「どうして?」が科学でわかると、いろいろなことを観察するのが楽しくなるよ。

今回は「電気は何でできているのか」を考えてみよう!

電気とは「電子」が飛び出すこと

みんなは、私たちの生活を便利にしてくれる電気の正体が何か考えたことはあるかな?

それは、物の中にある「電子」という小さなつぶが飛び出すことで発生する力(エネルギー)なんだ。

でも、電子ってなんだろう?この後、詳しく説明していくよ。

箱の中から火花が飛び散っている写真
画像:Adobe Stock

電子って何?

電子の解説図
(リケラボ編集部作成)

つくえ、水、体など、どんな物でもとても細かくしていくと、原子っていう小さなつぶが集まってできているんだ。

さらに、その原子の中には「電子」っていうもっと小さいつぶがある

この電子が、ある原子から飛び出して別の原子へいどうしたり、ある場所にたくさんたまりすぎて飛び出したりすると、それが電気になるんだ。

どうして電子が動くの?電気にはどんな種類があるの?

原子から電子が飛び出すのは、何かの力がはたらくからなんだ。

その力って何だろう?それは電圧、まさつ、光などだよ。 じゃあ電圧、まさつ、光などの力をもらうと、どんな電気が発生するんだろう?

1)「電圧」があると金ぞくの中に「電流」がうまれる

坂道を転がるボールのイラスト。坂道を電圧、ボールを電子に置き換えて想像してみよう。
画像:illust AC(リケラボ編集部追記)

まず、電子が「電圧」という「電子を流そうとする力」をもらうと
・たくさんあるところ(マイナス極)から少ないところ(プラス極)へいどうしようとする
・流れやすい道(金属)を通ろうとする
動きをするよ。

こういう電子の流れを「電流」って言うんだ。


<電子がマイナス極からプラス極へ動く例は?>

電池のしくみの解説図
(リケラボ編集部作成)

電池は電圧をくれる装置(そうち)なんだ。

この電圧をうけると、電子がマイナス極からプラス極へ流れる。こうして、電流が生まれるよ。

でも、ここで注意しなきゃいけないのは、電流の向きは電子の流れる向きとは逆だと言うこと。つまり、電流の向きはプラス極からマイナス極なんだ。

電子が流れることが電流なのに、どうして電子と電流は逆向きになるんだろう?

それは実は昔の人が間違えちゃったから!

昔の人は、電子がマイナス極からプラス極へ流れることを知らなかったんだ。 でも「どうやら、電流っていうものはあるらしいぞ!」ということだけ、わかっていた。 その時「電流の流れは、プラス極からマイナス極って決めちゃおう」ってなったんだ。

その後「電子はマイナス極からプラス極に流れる」っていうことがわかった。けれど、「前に、電流の向きをプラス極からマイナス極って決めちゃってたけど、電子の流れる向きと逆だから良い!ってことにしちゃおう。」って決めたんだ


<電子が金ぞくを流れる例は?>

コンセントにプラグを差し込んでいる写真
画像:photo AC

発電所はみんなの家へ、「電圧」という電子を流す力をくれている。

そんな家の中で、タブレットのじゅう電器をコンセントの穴にさした時のことを考えてみよう。

タブレットのじゅう電をはじめると、タブレット、じゅう電器、コンセント、家のかべの中にある金ぞくの線がつながる。

その金ぞくの中には、「自由電子」っていう自由に動きやすい電子があるんだ。

だから、発電所からもらった電圧が、家の中でつながれた金属の線の中(どう線)にある電子を、ドンドン流してくれるんだ。

こうやって、テレビや冷ぞう庫などの家電せい品は動いてるんだよ。

2)「まさつ」が起きると「静電気」になる

プラスチックの下敷きを髪にこすりつけたあと持ち上げて、静電気によって髪が下敷きに吸い上げられている様子
(リケラボ編集部作成)

みんなは、パチっと静電気を感じたことはあるかな?

静電気がおきるときは、電圧や金ぞくはあまり関係ないんだ。 じゃあどうして静電気はおきるんだろう?

例えば、かみのと下じきなど、電気を通しにくいもの同士をこすり合わせた時を考えよう。この時、かみのから下じきに電子いどうするんだ。

ものによって「電子を失いやすいか、もらいやすいか」は決まっているんだけど、この場合にはかみのは電子を失い、下じきには電子がたまる

ういう電子にかたよりができた状態のことを、静電気(帯電)っていうんだ

また、電子がたまりすぎるとかたよりをもとに戻そうとして、空気中れたものに電子が飛び出す。

これがパチっと感じる正体で、静電気放電って言うよ。

実は、カミナリが落ちる理由もこの静電気放電ににていて、火花放電っていうんだ。

雲の中で氷同士がこすれてたくさん電子がたまると、空気中に電子が飛び出し、 空気の中を電子が流れていく。これがカミナリの正体なんだ 。

3)「光」をうけると「太陽光発電」になる

太陽光発電のしくみの解説図
(リケラボ編集部作成)

電圧で電流が起きているわけでもなく、まさつで静電気が起きているわけでもないのに、電気が発生するときがあるよ。

それは、電子がたくさん光をうけたとき。

例えば、ソーラーパネルがたくさん太陽の光をあびると、ソーラーパネルにある電子が飛び出して電気を作るよ。

これを太陽光発電って言うんだ。

身のまわりの電気について考えてみよう

電化製品のリモコンに乾電池を入れている様子
画像:photo AC

いつもなにげなく使っている電気にも、流れる理由、種類などがあったね。 これからは、生活する中で「この電気はどういう電気かな?」と考えてみて。

例えば、部屋のライトやスマートフォン、電車などの乗り物も電気が使われているよ。 これらは、どんな電気が流れているのかな?今回紹介した中だと、どの種類の電気かな?

でも、電気を使っている物の中にはあぶない物もあるので、勝手にさわらないように注意してね!

電気の話だけじゃなく、生活の中のなにげないことを調べてみると、そこには科学がかくれているはず

「なぜ?」と思ったら、ドンドン考えるようになると、それは科学博士がやっていることと同じことだよ!

山﨑実香

山﨑実香

1991年 東京都 日野市生まれ。
東京大学 大学院 農学生命科学研究科 修士課程 修了後、大手学習塾が運営する科学実験教室の教室長などを務める。
その後、専門である生物学を中心に科学の解説記事を執筆するサイエンスライター、大学職員、フリースクール理科実験講師などとして活動。
歌うことが好きで、運動が苦手。
HPはこちら https://mikayamazaki.crayonsite.com/

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