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親子で楽しもう、身の回りのサイエンス 第3話「緑色って何色?~光と色のおはなし~」

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私たちの生活の中には、「科学」で説明できることが多くあります。

見慣れている身の回りの自然を改めて科学的な視点で眺めてみると新しい発見や感動を知ることができます。毎日少しずつ変わる四季の変化から、いろんなサイエンスを親子で楽しんでみませんか。

 

第3話「緑色って何色?~光と色のおはなし~」

 
「色」って何だろう?

春になるといろいろなものが色鮮やかに見えるようになります。
新緑の淡い緑色はとてもきれいです。
5月になると藤やアヤメなど青い花も見られるようになります。

いろんな色があってきれいだけど、色はどうやってできているのかな?

それぞれ違った色に見えるのは、光が大きく関係しているよ。

太陽の光は地球上のいろんなものを照らし、跳ね返った光を私たちは見て色を感じています。
葉っぱは緑色に見え、空は青く見え、チューリップは赤や黄色や白に見えたりします。

チューリップは赤色も青色の色素も含まれているので、大変多くの色が出せる植物です。チューリップの花弁を敷き詰めて絵を描く「インフォラータ」が行われます。

葉にあたった太陽光は、その葉が持っている色素によりある波長が吸収され、吸収されなかった波長の光が跳ね返されて、私たちの目に入ってきます。

葉が緑色に見えるのは、葉に吸収されずに跳ね返された光全体が緑色に見えるからです。

第2話では花の色についてお話ししました。今回は、色が見えるもとになる光について、手作りの実験器具を用いて調べてみましょう。

 

「光」とは何だろう?

「光」というのは「フォトン」と呼ばれる小さな粒子であると言われています。世の中の物質は細かく分けていくと分子(ぶんし)に分けることができます。分子は原子(げんし)からできています。原子には陽子(ようし)と中性子(ちゅうせいし)と電子(でんし)に分けることができます。

電子が動いたり、分子の中で原子の位置が変わったりすると「光」という波が生まれます。その状態によって周波数の低い「電波」のような光であったり、エネルギーの高い紫外線であったり、波長の長い赤外線であったり光の種類が変わります。

光は「粒子(物質)」と「波」の両方の性質を持っています。粒子(フォトン)が多いほど光は明るさを増し、波(周波数)が短いほどそのエネルギーが大きくなることを意味しています。

光は直進し、その速度は秒速約30万㎞と言われています。なんと1秒間で地球(赤道上)を7周半してしまう速さです。

一年だと光はおよそ94.6兆kmも進むことになります。この距離を「1光年(こうねん)」といい、宇宙を測る距離として使われています※1。

「光」はものを通り抜けたり(透過)、吸収されたり、跳ね返ったり(反射)、分けられたり(散乱)する性質があります。また光は曲げられたり(屈折)、弱められたり強められたり(干渉)します。

コップに挿したストローが水面で折れ曲がって見えることがあります。水にこぼれた油は水面に薄い膜となって浮かびますが、この油膜がいろんな色に光って見えることがあります。

太陽から届いた光は、大気圏中を通り抜け(透過)私たちの頭上に降り注ぎます。水中の中でも明るいのは、光は水を透過しているからです。水の中では遠近感が異なって見えるのは、光が屈折しているからです。池の中を泳ぐ魚が見えるのは、太陽の光が魚にあたって跳ね返って私たちの目に入ってきているからです。

雨上がりの空に虹が見られることがあります。虹が七色に見えるのは、雨上がりの大気に漂っている水蒸気(空気中に浮遊している水分子)に光が当たって、様々な波長に分けられている(屈折、分散)からです。波長の長い光は赤っぽく、波長の短い光は青色や紫色に見えます。

余談ですが、この写真には外側にもうひとつ虹が見えています。ふたつめの虹は「副虹(ふくにじ)」と呼ばれる現象で、一つ目の虹(正虹)とは空気中の水滴に光が当たる角度が異なることで生じるものです。正虹と副虹では、見えている色の順番が逆になっているのが観察できます。

つまり「光」には、

・反射
・散乱
・屈折
・干渉
・分散

という性質があります。これらの光の性質によって、私たちはいろんな興味深い現象を見る事ができます。

 

人が見える「光」と「色」

私たちは太陽や照明器具などの光源がなければ色を見ることができません。太陽の光は透明に見えます。
なぜ透明な光から色が生まれるのでしょうか。

私たち人間が見ることができるのは可視光線と呼ばれる、波長がおおよそ200~800nm(ナノメートル)付近の光ですが、太陽光には200nmよりも短い波長の光も、800nmよりも長い波長の光も含まれています。波長の短い光は紫や青系統の色に、波長の長い光は赤系統の色に見えます。

200nmより短い波長の光は、紫外線やX線などと呼ばれ、可視光線よりも大きなエネルギーを持っています。日光に長時間当たると日焼けして肌が茶色くなるのは、紫外線と関係があります。健康診断でレントゲン撮影すると肺や胃など体の内部の健康状態を知ることができるのはX線の働きによるものです。

800nmより長い波長の光には赤外線や遠赤外線、電波などがあります。冬に使うこたつや暖房器具には遠赤外線ヒーターを利用したものがあります。赤外線や遠赤外線は体を温めます。

人間は赤、青、緑の光を感じる感覚器(錐体=すいたい)を持っていて、この3色の光の強さのバランスによって橙色や黄色などの中間の色を感じることが出来ます。人は赤色に対する感受性が強いので、赤いものにはよく注意できるという特徴があります。消防車、赤信号、消化器など注意を促すものには赤い色が用いられることが多くなっています。

 

「分光器」をつくろう

雨上がりの空のほかに、簡単な工作でも虹が見えるよ。

えー!?おもしろそう!

「光」はいろんな長さの波(波長)でできています。光をそれぞれの波長に分けることを「分光=ぶんこう」といい、身近にあるCDを利用して分光することができます。

自分で「分光器」をつくっていろんな光を調べてみましょう。

 
【用意するもの】

・厚めのボール紙(食品やお菓子の空き箱やティッシュペーパーの箱も利用できます)
・CDの切れ端
・はさみ
・のり、またはテープ

 
【分光器の作り方】

①方眼ボール紙(100円ショップや文房具店で売られています)に図のような比率で展開図を書きましょう。必要に応じてのりしろなども書き足すと作りやすいかもしれません。

赤い部分は丁寧に切り抜きます。スリットは極々細くします(1㎜幅くらい)。切り抜くのが難しい場合は少し広めに切り抜いてポイントカードなどカード式回数券などの不要な磁気カード2片を使って1mmの隙間を開けて貼り合わせてスリットを作成する方法もあります。上部の赤い正方形はのぞき穴になります。

磁気カードを使ったスリットのつくりかた。
左:この場合は使い終わった鉄道会社のお得な磁気カード「垂水・舞子1dayチケット」を利用しています。
左から2枚目:磁気カードの一部をはさみできりとり、二つにわけます。磁気カード片は、切り抜いた穴よりも少し大きめにします。
左から3枚目:カード片模様がつながる向きにならべ、間をほんの少し(ミシン糸が通るくらい)開けて、木工用ボンドで張り合わせます。セロテープだと隙間ができるので、密着するボンドや接着剤を使用した方がうまくできます。スリット部分にはみ出さないように注意しましょう。磁気カードは外側からでも内側からでもどちら側から貼ってもかまいません。
一番右:裏側から見ると細いきれいなスリットが出来ています。

②ハサミを使って不要になったCD-RあるいはCD-RWを30度くらい切り取ります。鋭利な角でけがをしないように注意してください。DVDやBDではなくCDを使用してください※2。

③展開図を切り抜き組み立てます。

CD片を貼る台紙は直角三角形になるように両端を折り曲げ、スリットとのぞき穴が直角に交わる位置にCD片を貼りつけます。CDは扇形の外側が上になるように貼り付けます。CDは逆向きでも問題ありませんが、見える光の順番が逆になります。

④箱を組み立て、内部に光が入らないように隙間をテープで貼ります。セロテープではなく、ビニールテープかガムテープなどを使用した方が光がきれいに見えることが多いようです。この説明図ではのりしろを含む展開図からの組み立てをイメージしています。

⑤分光器は、お菓子や食品の空き箱や、ティッシュペーパーの空き箱などを使っても作ることができます。大きさが異なるので、中に設置するCD片を貼る台紙のサイズも変わってきますが、箱を組み立てる必要がないので利点もあります。

また、インターネット上では、ほかにも様々な方法で「手作り分光器」の作り方が出ています。CD片の作成が危ないと思われる場合は、CD1枚そのものを使用した分光器の設計図も公開されています。作りやすいものを選ぶと良いと思います。

 

太陽光は何色に見えるかな?

作った分光器を使って、いろんな「光」を観察してみましょう。

太陽の光を直接見ると目を傷めるので、間接的に反射した光を利用するようにします。特によく晴れた明るい昼間は注意してください。

明るい窓辺に分光器を置いて、のぞき窓から覗いてみましょう。Yumiは隣家の白っぽい壁に跳ね返って来た太陽の光を観察しています。

太陽の光はどんな色に見えるでしょうか。紙と色鉛筆を用意して、その色を記録しましょう。きっと、分光器の中には、写真のような連続したきれいな虹が見えているでしょう。

私たちの身の周りには、太陽以外にも「光」を出すものがたくさんあります。家の中にある照明器具もその一つです。蛍光灯、白熱電球、LEDなどいろんな種類の照明器具があります。

それらの光には「昼光色」「暖色系」「寒色系」などいろんなボタンがあります。

昼光色は日光の光と同じような明るさがあります。暖色系になると赤味が強くなり暖かな感じがしますし、寒色系の光は青っぽくなりお部屋の中が冷たく見えます。一般的に、暖色系の光はリラックスできるとされ、夜や就寝前の照明に適していると言われています。寒色系の光は勉強をしたり活発に過ごす昼間に多く用いられ、集中力を高めるのに効果的であるという人もいます。

 

照明器具の光は何色に見えるかな?

これらの照明器具の光を、手作り分光器で観察してみましょう。強い光を直接見ないように注意して観察しましょう。太陽の光と同じように無色透明に見える電球の光は、太陽の光と同じ色で出来ているでしょうか。

写真はYumiの家にあるLED照明器具です。リモコンがついていて、暖色系と寒色系に切り替えることが出来ます。左側が暖色系の光、右側が寒色系の光にしたときに撮影したものを1枚に合成したものです。随分と色合いが違って見えるのがわかります。

暖色系の光を分光器で観察してみましょう。

YumiのLED照明器具ではこのように見えました。赤色や黄色の光が強く、緑色の光もすこしだけ含まれています。

次に、同じようにして寒色系の光を分光器で観察してみました。

赤色や黄色の光も見えますが、暖色系の光に比べると緑色の光が強くなっていることがわかります。

Yumiの家には、「自然光タイプ」と呼ばれるLED照明器具があります。太陽の光と同じような光を再現したLED電球です。この光を分光器でのぞくと以下のような虹が見られました。

暖色系や寒色系の照明の光とは違い、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫という虹の7色が確認できます。

これらのLEDの光が自然光(太陽光)と大きく異なるのは、それぞれの色が独立した単色に見えることです。もっとよく見ると、暖色系や寒色系のLED照明器具でも赤、黄、緑の光はそれぞれが独立した帯になっており、太陽光のような連続した光ではないことがわかります。

分光器の中の虹の写真を撮ることは大変難しいので、色鉛筆を用意しておいて、見えた色をノートに記録しておくのがよいと思います。

写真は太陽光のスケッチです。筆者の画才はイマイチですが、観察した光の差があとで見返しても分かるような記録をするとよいと思います。

みなさんのお家には他にどのような光源があるでしょうか。蛍光灯や白熱電球をお使いの家もあるでしょうか。
赤や青などの色のついた電球をお持ちでしょうか。もっと多くの光が出せるLED照明をお持ちでしょうか。

いろんな光を観察してみましょう。太陽の光と同じ光を再現するということがいかに難しいか、よくわかるのではないかと思います。

太陽の光にはいろんな色が混じっていることがわかります。しかし、日光には色がないように見えます。自然光タイプの光も色がないように見えますが、その光に含まれている色は太陽の光とは違うことがわかります。是非お家の照明器具で確かめてみましょう。

 

植物は何色に見えるかな?

分光器を使って、今度は植物の色の違いも分かると楽しいですね。分光器を使って植物の色も観察してみましょう。

Yumiはお庭から3種類の植物を摘んできました。紫色のお花は初夏のころに咲くシラン(紫蘭)、葉っぱはハーブのフェンネル(ウイキョウ)の若葉とセルバチコ(ワイルドルッコラ)の若葉です※4。

シラン(紫蘭、学名Bletilla striata)

フェンネル(茴香、学名Foeniculum vulgare)

セルバチコ(ワイルドルッコラ、学名Diplotaxis tenuifoliaBletilla striata)

これらを細かく手でちぎってガラス瓶にいれ、局方無水エタノール10mLに浸して(抽出=ちゅうしゅつ)、半日~ひと晩くらい待ちました。色素が抽出されてアルコールに色がついてきました※3。

抽出操作には、条件により溶液に含まれる色素の量に違いが生じます。比べたい植物があれば、同時に摘み取り、アルコールに浸してから取り出すまで同時に行い、置いておく場所も同じにすることで、これらの違いが分かりやすくなります。

アルコールが植物の色で染まり、緑色や紫色になっています。植物からは色素が抜けて色がうすくなっています。

色素が十分に抽出できたら、花や葉を取り除けば観察試料の出来上がりです。色素が含まれるアルコール溶液を、分光器のスリット部分にぴったりとくっつけて、同様に光を観察してみましょう。

左からフェンネル(葉)、セルバチコ(葉)、シラン(花)の抽出色素の、分光器を通して見えた虹。

フェンネル(葉)とセルバチコ(葉)は緑の光が大部分を占めています。ふたつはあまり差がないように見えるが、フェンネルの方が赤い光が多く見られます。

シランの花は、実物は明るい紫色をしていますが、これは主に赤い光と青い光で出来ていることがわかります。
そして、花にも緑色が含まれていることがわかります。

 

さらに調べてみたい人へ

植物の採集から抽出の時の様々な条件の違いによって、いろんな色素の違いを調べることが出来ます。

 
【サンプリング時期・サンプリング部位による違い】

同じ植物でも、芽吹いたばかりの黄緑色の若葉を摘んだか、大きく育った濃い緑色の葉っぱを摘んだか(サンプリング時期)、あるいは紅葉(黄葉)した葉っぱを摘んだか、あるいは色鮮やかな花を摘んだか、採集した部位(サンプリング部位)などによっても含まれている色素に違いが見られます。

同じ植物の違う部分(花、若葉、大きく成長した固い葉、根など)でどのように色が違うか調べてみるのも興味深いでしょう。春だと芽吹いたばかりの若葉と大きく成長して緑色の濃くなった大きな葉っぱ、秋だと紅葉して真っ赤になったモミジとまだ紅葉していない青いモミジで色素を抽出して比べてみるのも面白いのではないでしょうか。

 
【抽出溶剤による違い】

本実験では、局方無水エタノール(抽出溶剤)で行っていますが、消毒用アルコールや燃料用アルコールなどでも色素の抽出が可能です。実験室ではヘキサンなどの有機溶剤も使われることもあります。
同じ植物でも抽出溶剤に何を使用したかによって溶けだす色素に違いが見られます。

お家にある身近なもの(焼酎やスピリッツなど)でも色素が抽出できます。同じ植物を用いても抽出溶剤によってどのように分光器での虹の見え方が変わるか調べてみるのも面白いと思います。

 
【色素成分の溶解度(ようかいど)による違い】
【抽出時間による違い】
【サンプリング量・抽出溶剤の量による違い】

植物には何種類もの色素が含まれており、その種類によってアルコール(抽出する溶剤)への溶け方(溶解度)が違います。同じ植物でも、新緑の若葉と夏の青々とした元気な葉っぱと、秋の黄葉した葉っぱとでは含まれている色素の量が違います(詳しくは第1話を参照してください)。

アルコールに何時間浸していたかによって抽出される色素の量が異なります。たくさんの植物を使って少量の溶剤に浸した時は早く着色するでしょう。逆に溶剤を多めにしたときは観察できるくらいの色が着くまで少し時間がかかるかもしれません。これらの場合、同じ濃さの色味に見えても、抽出されている色素の成分には違いが見られることがあります。

例えば、同じ植物でひとつめは5g、ふたつめは10g使って、同じ量の無水エタノールでひと晩静かに置いて(静置して)抽出した色素を、分光器で比べてみるというアイデアも生まれそうです。

また、使用する植物の量を同じ5gにして、無水エタノールの量を変えてみると、抽出される成分の種類や量に違いが見られ虹の様子が変わることがあります。用いる植物によっては、色のない成分や香りのもとになる成分が抽出されてくることがあります。いろいろ試して虹の変化を調べてみることは、夏休みの自由研究のテーマなどに良いかもしれません。

 
【抽出日の気温、明るさによる違い】

色素の抽出(色素成分の溶剤への溶解度)は、一般的に温度が高いほど早くたくさん溶けだします。同じ条件で植物の量と無水アルコールの量を入れ、室温と冷蔵庫で同じ時間抽出したものを分光器で見てみると違いが見られることがあります。冬に実験した場合と、夏に実験した場合でも、結果に違いが見られそうですね。いろいろ試してみるのも面白い発見が見つかると思います。

第1話でもお話したように、植物の葉っぱは光合成をしています。葉っぱに光が当たると光合成が進み葉緑素が生み出され、緑色が濃くなります。

植物の葉っぱを色素観察サンプルに選んだのであれば、ふたつを太陽光の当たる窓辺に置き、もう一つは抽出溶液に光が当たらないようにアルミホイルで包み込んでしまいましょう。抽出時間を同じにしたとき、それらの抽出液は分光器の虹で違いが見られるでしょうか。

今回のYumiの実験は、同じ緑色に見えても、含まれている色素に違いがあること、花の色は葉っぱに含まれている色素と違いがあることを大雑把に調べた実験でした。

みなさんのアイデア次第で、いろんな自由研究テーマにできる分野であると思いますので、興味を持たれた方は是非さらに調べて色の不思議を楽しんでいただきたいと思っております。

 

さらに詳しく知りたい方へ

※1 
2020年12月、惑星イトカワの岩石を採取した小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に帰還しました。惑星イトカワは地球からおおよそ3億㎞離れた場所にある小惑星で、光でも15分かかる距離ということになります。地球からはやぶさ2に指令を送る人たちは15分後のはやぶさ2の位置と状況を予測して電波を発信しています。そしてはやぶさ2がその指令を正しく実行できたかどうか分かるのはさらに15分後、つまり指令を発信してから30分たたないと結果がわからないのです。宇宙の広さが想像できるでしょうか。

参照)
3億キロの小窓「はやぶさ運用室」からの報告、第3話「3億キロかなたのはやぶさに手書きのコマンド(命令文)で語りかける(JAXA)

※2
私たちが普段使用しているディスク媒体にはCDやDVD、BDなどがあります。どれも直径12㎝の同じようなディスクに見えますが、その記録データの容量が全く異なります。ディスクは、「保護層」「反射層」「樹脂層」の三層で出来ており、反射層に凹凸をつけることでデータを記録していきます。この凹凸にレーダー光線を当てた時、平らな部分(ランド)と凸部分(ピット)でレーザー光の反射の状態が異なることによりデータを読み取っていく仕組みになっています。DVDはCDより刻み込む溝の幅が狭く何重にも記録できます。さらに記録層が2層あるので、より多くのデータを記録することが出来るのです。

CDとDVDに光を当てた時、刻まれた溝の幅が異なることにより光の屈折と反射の角度が異なります。可視光域を観察するのに見やすいのはDVDよりCDであることから、手作り分光器にはCD片の使用をお勧めしています。レーザーポインターを利用してCDやDVDの溝の間隔を測る実験方法が、三重大学工学部によって紹介されています。ご関心のある方は試してみられてはいかがでしょうか。

参照)
メカライフ編修委員編「知って納得!メカランド・ブルーレイディスク編」、日本機械学会誌(2009.3 Vol.112 No.1084)
三重大学工学部編「レーザーポインターで測るCDの溝間隔」、おもしろ科学実験室、三重大学工学部(2016年)

※3
局方無水エタノールは薬局で買うことが出来ます。消毒用アルコール(75~80%エタノール、イソプロパノール)などでも構いません。アルコールランプ用の燃料用メタノールも使えますが、エタノールより毒性が強いので決して目や口に入れないよう取り扱いには気を付けてください。

透明な容器は、ここではマルエム製のスクリュー菅を使用しています(ホームセンターや100円ショップや通販などで1個単位で買うことが出来ます)が、ジャム瓶やコップなど透明なガラス容器であれば何でも使えます。プラスティック製を使うなら、アルコール対応のものを選んでください。アルコール対応のプラスティックにはPE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)などが知られていますが、重合度やその構造などによりアルコール使用に適しているものと適していないものがあります。「アルコール対応」という表示があるかどうか確認して買うとよいと思われます。

※4
フェンネルについて
学名:Foeniculum vulgare
923年に編纂された現存する最古の医薬品事典「本草和名」のなかに登場する植物のひとつで、日本古来の薬草として知られています。

3世紀に中国の呉(ご)から日本に入ってきたため「呉の御物」という意味合いで「久礼乃淤毛(くれのおも)」と呼ばれることもあります。

セリ科の特徴でもある「唐傘花(からかさはな)」と呼ばれる傘のように放射状に開いた形の花が咲き、その果実は生薬「茴香(ういきょう)」として胸やけや神経性胃炎など胃腸の調子を整えるのに利用されています。漢方薬の「安中散」や、「仁丹」や「太田胃散」などの医薬品にも用いられている身近な植物です。

フェンネルは九州以東では高級食材のハーブとして魚介類の料理に用いられることが多いですが、沖縄地方では「イーチョーバー(胃腸に良い薬の意味)」として魚の水煮や天ぷらなど一般家庭料理に頻繁に使われているようです。

フェンネルのオムレツ

ハーブ料理としては、果実(茴香)だけでなく、みずみずしい葉がいろんな料理に利用することが出来ます。

葉はやわらかな甘味と植物の青臭い香りがあります。花と種子は葉よりもその味覚が強く感じます。刻んでオムレツに、他のお野菜とあわせてかき揚げに、魚と一緒にソテーして臭み抜きに、他のハーブと混ぜてハーブティーとして飲み物に、ドライハーブ粉末にして粉砕したミネラルソルトと混ぜてふりかけや付け塩など試して見られてはいかがでしょうか。

甘酸っぱい香りはアネトールという化合物で、アニスやトウシキミなどにも含まれています。女性ホルモンの一種である「エストロゲン」様の働きをすることが知られているため、精油はPMS(月経前症候群)や更年期障害など女性特有の症状に利用される場合もあります。

Anethole (trans-1-methoxy-4-(prop-1-en-1-yl)benzene ) CAS No. 104-46-1

参考文献)
古谷暢基ら著「和ハーブ図鑑」、一般社団法人ハーブ協会、株式会社素材図書(2017年)
石井義昭著「料理に役立つハーブ図鑑」、株式会社柴田書店(2012年)
佐々木薫監修「アロマテラピーポケット図鑑」、主婦の友社(2011年)

著者プロフィール:

Yumi

理学修士(ペプチド化学)。環境分析、バイオ細胞実験、マルチスケールの有機合成、HPLCでのキラル分離など幅広い業務を経験。2018年10月よりパーソルテンプスタッフ研究開発事業本部の社員。現在、高分子合成の研究職として勤務。
甲種危険物取扱者、有機溶剤作業主任者、毒物劇物取扱者などの専門資格の他、花火鑑賞士、温泉分析書マスター、京都検定、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、ハーブコーディネーターなどの民間資格を所持し、児童対象の科学実験教室ボランティアなどで活かしている。
趣味はバイオリン、旅行、写真、散策、アロマクラフトなど。

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