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リポフェクション法による遺伝子導入のプロトコル | リケラボ

リポフェクション法による遺伝子導入のプロトコル

リケラボ実験レシピシリーズ トランスフェクション(2/2)

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前項では、トランスフェクションの基礎知識や一般的注意点を復習しました。

ここでは、世界で最も用いられているトランスフェクション試薬であるLipofectamine試薬の中から、最新改良品であるLipofectamine 3000試薬を参考例として、リポフェクションの手順を概説していきます。

事前確認 〜トランスフェクションを成功させるために〜

  • 細胞培養実験で必要となる一連の無菌操作について、十分な技量を持ち合わせているか?
  • 顕微鏡観察で調子・状態を大まかに判別できるくらい、使用する細胞の特徴・特性に習熟しているか?

実験準備

細胞培養設備・機器
Lipofectamine 3000試薬
P3000試薬
Opti-MEM(無血清培地)
細胞培養用培地(含血清, 抗生剤不添加)
培養細胞
高純度精製プラスミドDNA溶液

操作手順

(例:接着細胞へのプラスミドDNAの導入, サンプル数=nの場合)

  1. 抗生剤を添加していない培地中に、適当数の細胞を播種する[参照:下表 手順1,]
  2. 播種後24時間以上経過した時点でトランスフェクションを行う。細胞密度が65~85%であること、細胞がプレートに十分に接着していること、細胞が正常の形態を示していること、微生物コンタミネーションが無いことなどを確認する[参照:下表 手順1,]
  3. nサンプル分のリポフェクタミン希釈液を調製する。リポフェクタミン3000試薬をOpti-MEM培地で希釈する[参照:下表 手順3]
  4. 各サンプルのそれぞれに対応するDNA希釈液を調製する(n本)。プラスミドDNA溶液とP3000試薬をOpti-MEM培地中で混ぜ合わせる [参照:下表 手順4]
  5. 手順3・4で調製した2種の希釈液を等量ずつ混合して、DNA-リポソーム混合液を調製する[参照 下表 手順5]
  6. DNA-リポソーム混合液を室温で1015分間、静置する。DNA-リポソーム複合体を形成する。
  7. ここで培地交換を行なってもよい(抗生剤不添加培地を使用する!)。
  8. それぞれの培養細胞サンプルに、対応するDNA-リポソーム混合液を滴下し、混和する。トランスフェクション操作の完了。
  9. トランスフェクション後(12時間後など)に観察を行い、細胞へのダメージの程度を確認する。ダメージからのレスキューが必要な場合には、培地交換を行う(抗生剤不添加培地を使用する!)。
  10. 適当な時点(トランスフェクション後2496時間など)で細胞を回収し、解析に用いる。

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補足

  • 細胞へのダメージを抑えるためには、Lipofectamine 3000試薬を減らす、DNA量・P3000試薬量を減らす、トランスフェクション後の培地交換を早期に行うなどのプロトコル調整が必要となる。また、ダメージの影響を見越して、あらかじめ細胞培養密度を高める等の方策も考える。
  • 導入DNAの不添加や空ベクターを使用したトランスフェクションによる、“Mock”(実際手順は同じ対照実験)の並行が推奨される。 
→ 細胞死が生じた場合に、「①:トランスフェクションによって引き起こされた細胞ダメージが原因」なのか、それとも、「②:導入された遺伝子の発現が原因」なのかを判別するヒントとなる。

→ ①はトランスフェクション条件の最適化が必要となり、②はトランスフェクションの成功を示唆している。



一般的にリポフェクションは、導入効率と細胞ダメージのバランスが良く、操作も簡便なことが知られています。トランスフェクションの実施を計画する際には、細胞種にもよりますが、多種の方法の中から第1候補としてリポフェクションを選ぶことが推奨されます。



*監修
パーソルテンプスタッフ株式会社
研究開発事業本部(Chall-edge/チャレッジ)
研修講師(理学博士)

この記事は、理系研究職の方のキャリア支援を行うパーソルテンプスタッフ研究開発事業本部(Chall-edge/チャレッジ)がお届けする、実験ノウハウシリーズです。

過去の記事一覧:実験レシピシリーズ

リケラボ編集部

リケラボ編集部

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