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「就活の自己分析について、書き方が分かりません。自己分析を行うコツを教えてください。」:理系就活Q&A 第1回 | リケラボ

「就活の自己分析について、書き方が分かりません。自己分析を行うコツを教えてください。」:理系就活Q&A 第1回

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はじめまして。サインキャリアデザイン研究所の篠原です。フリーランスのキャリアコンサルタント(国家資格)として学生向けのキャリア支援を行っており、理系大学を含む複数の大学でキャリア科目・就職支援講師として活動しています。人材業界でも17年間、企業の新卒採用支援や自社の採用業務、新入社員の教育担当などを行っていましたので、採用企業が新入社員に求めているもの、新入社員が会社に求めているもの両方を知っていることを強みとしています。

ある理系大学では長年にわたって、多くの学生の皆さんの就職活動における迷い、悩み、頑張りに触れてきました。また企業の方たちと協力して理系向け就職セミナーや、技術職社員の方たちとの座談会などの運営経験もあります。そうした活動を通じて実感してきたのは、就職活動という場そのものが、学生さんそれぞれの気付きや見直し、成長のステージになり、いかにそこから逃げずに向き合っていくことが大切であるかということです。

このシリーズでは、そんなこれまでの実際の先輩たちの就職活動における成功や失敗の事例も多く取り上げながら、よりリアルに理系の就職活動の進め方をイメージしていただける記事を発信できればと考えています。

今回は、自己分析のコツがわからない、というお悩みについてお答えしていきましょう!

「就活の自己分析について、書き方が分かりません。自己分析を行うコツを教えてください。」

自己分析とは?

「就職活動は自己分析から。」就職活動時期になるとやたらと耳にする言葉です。大学でのキャリア科目や就職対策のセミナーでも自己分析をテーマにしたものが多く取り上げられますが、自己分析という言葉だけが一人歩きして、何のために行なうのか?何をすることが自己分析なのかはっきりと分からないまま、配布された自己分析シートに漠然と記入を続けている場面を見かけます。

少し専門的になりますが、キャリアデザイン(=自身のキャリアを考えていくこと)において、自己分析とは、自分の「興味」「能力」「価値観」という3つの要素を分析して整理するものだといわれています。この3つを整理することで、目指す進路や、その進路に対する自分の適性を考えることができます。そこで今日は、皆さんが取り組んでいる就職活動における自己分析に当てはめて考えていきますね。

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この図は、「興味」「能力」「価値観」の3つが実際の就職活動におけるどの部分とつながっているかを整理したものです。

それでは、3つの要素一つ一つについて解説していきます。

「興味」・・・「知らず嫌い」にならないように注意!

就職活動における興味とは、文字通り興味のある分野や志望する企業・機関、興味のある仕事を考えていくことですが、毎年、大手を中心に一部業界、企業に応募が集中する傾向にあります。もちろん、それらが会社規模も大きく、知名度もあり、安定しているイメージだからということもあると思いますが、実際に大学の現場にいて感じるのは、現時点でただ知っている企業のなかから志望先を考えていることが多いということです。

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株式会社学情 2023年卒 就職人気企業ランキング 理系ランキングより編集部作成


特に理系の場合、大学受験時から卒業の進路を意識して現在の学部、学科を専攻している方も多いと思いますが、逆にそれだけ志望先を最初からかなり絞り込んでいる傾向も見られるように思います。しかし、大手企業は全体の0.3%、私たち消費者向けの商品やサービスを提供する企業(BtoC企業)は全体の20%程度といわれています。TVやネットで宣伝されない企業の数のほうが圧倒的に多く、素晴らしい技術を持った会社や働きやすい会社が数えきれないほど存在します。自分を活かせる企業、自分がやりたいことをできる企業をできるだけ見逃さないようにしたいですね。いわゆる、現時点で知らないというだけで興味がないと決め込んでしまう、食わず嫌いならぬ「知らず嫌い」にならないようにしてください。

出会うから好きになるのは人も就職活動も同じ

例えば、私たちは誰かを好きになるときに、あらかじめこんな人を好きになりたいという「恋愛軸」を考えてから探し始めるでしょうか?おそらく多くの人は、学校や職場などどこかでの場所で偶然出会うことでいつしか恋心が芽生える感じではないでしょうか?就職活動では先に「就職軸」を考えてから、その軸に沿って応募先を考える流れが目立ちますが、その軸を考える材料が「その時点での自分の頭のなかにある知識の範囲に限られている」ことは否めません。このことは、多くの学生の応募先が一部に集中する背景の一つでもあります。

合同会社説明会でたまたま聞いた説明で、面白そうな事業をやっている会社だと初めて知って応募のきっかけになった、という体験談は非常多く、恋愛と一緒で、出会って話をすることで魅力を知っていくのが就職活動です

幸い、昨今はインターンシップが活発に行われています。そこで、インターンシップを、いろいろな相手と出会う場として活かしてみることをお勧めします。

一つ気をつけていただきたいのは、近年はインターンシップを選考のワンステップとする企業も増えているため、学生側もインターンシップ段階から就職応募先を絞り込む意識になってしまい、これまで以上に知っている企業に絞り込んだ就職活動になってしまうこともあります。ぜひ、企業エントリーや説明会だけでなく、インターンシップについても、まずは多くを知ることに活かしてみてください。

最近もある機械系の学生が「実はSEに興味があるのですが、自分に向いているかどうか確かめるためにプログラミング体験ができるインターンシップに参加します」と言っていました。そのように自分の向き・不向きを考える場にするのも、インターンシップの良い活用方法だと思います。

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社会の流れに関心を持つ

企業は「環境適応業」ともいわれます。社会の様々な変化に応じて、企業も柔軟かつ戦略的に変化を加えながら存続、成長を図っていくというものです。

「知る」という点では、いまの社会の流れや、今後の社会の動向などを知り、それらに対する各企業の取り組みを調べて新たな興味を見出すこともお勧めします。これを「大局観」を磨くといいます。三国志などの歴史物語でもよく大局という言葉が出てくるのですが、大局という社会の流れをつかみ勝機を見出すといった台詞などで登場してきます。

企業のHPなどでその沿革などを見てみると、その事業が何をきっかけに生まれ、社会の変化にどのように応じてきたかを知ることもできます。なかにはそのきっかけに社会のこんなニーズに応えるためにというその企業の尊い理念などが見えてくることもあります。きっと皆さんも自分の興味や進むべき道を考える際に、これから勝機のある将来性や発展性は無視できない視点ではないでしょうか?特に新型コロナが生み出すニューノーマル(新たな常態)、エイジテックなど高齢化社会に向けた技術、加速度を増すDX・AI・IoTなどに対して、それを担う企業とはどこか?そんな視点もこれまで知らなかった企業に興味を持つきっかけになるのではないかと思います。

「能力」・・・他者との関わりのなかで自分の能力を知る

次に「能力」についての自己分析についてお話しします。

自己分析は文字通り、自分で自分のことを分析することですが、こと能力については、自分が認識するものが正しいとはいえないということに注意しましょう。なぜなら、就活においてアピールすべき能力とは、仕事で必要とされる能力を指し、それはあくまで「他者」からの評価で成り立っているからです。それは一言でいえば、外に向けて「アウトプットできる力」であるといえます。

では、どうやったら他者から見た自分の能力を知ることができるでしょうか?それは、自分のアウトプットを普段から受けとっている身近な他者の目に、自分がどのように映っているかを聞くことです。家族や友達から自分がどのような力や強みを持っていると感じているか、ぜひ聞いてみましょう。(これを他己分析といいます。)

他己分析には、少し気をつけておきたいこともあります。それは家族や普段の友達関係のなかでの自分は、普段の関係性ゆえに、自分の立ち位置が固定化しているかもしれないということです。例えば、普段の友達グループのなかでいつも一人のリーダーシップ役の友達がいて、自分はそのなかではたまたま聞き役になっているとしたら、そのグループの仲間に聞けば、自分のことをきっと「人の話に耳を傾ける力」があると言うでしょう。もちろんそれもあなたの能力であることは間違いありませんが、果たしてあなたの持つ能力はそれがすべてだといいきれるでしょうか?

初対面は自分を知る大切な機会

以前、ある大学で実施した就職合宿というイベントで、普段のクラスのなかではもの静かでおとなしい学生が、その合宿で新たに組んだクラスの中で、いままで見たこともないような積極的なリーダーシップを発揮したことがありました。その学生の普段のクラスも担当していた私は、その見違える変化について本人と話してみました。すると、「普段のクラスではもう自分がおとなしい人だと思われているから、自分もそうだと思っていました。でも、今回のクラスでは意外にも自分から皆にこうしようとかいろいろ提案できたのです」との答えが返ってきたのです。

普段の仲間だと、その仲間のなかでの自分のキャラクターのイメージが邪魔して、なかなか普段の自分にはない関わり方などを皆の前ではできないかもしれません。しかし、初対面だと周りからの自分への事前のイメージなどもなく、こうしてみようという行動や関わり方をいろいろ試してみることができます。さらに、周りから見た自分の印象などのフィードバックがあれば、それは就職活動に向けて効果的な他己分析になると思います。

それに、初対面の人に対してどうふるまえるのか、を自分で知っておくことは実際の採用面接や仕事の場においても、とても重要です。「期待しているのは知らない人とのコミュニケーション能力」という採用責任者もいます。仕事は多くの場面で初対面でのやり取りが行われ、就職活動での面接もまた初対面での評価になります。前述のインターンシップや就職関連のイベントなども含め、積極的に初対面の場に身を投じて、自分の本当の能力を知ると共に自分磨きに努めてみてはいかがでしょうか?

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「価値観」・・・価値観が重視される理由とは

次に価値観についてみていきましょう。

自己分析における価値観とは自分の考え方やものの見方のものさしです。興味や能力と比べると非常に抽象的で漠然としたイメージを持つ人もいるかもしれませんが、価値観は能力以上に大切だ、とも言われます。

たとえば、故稲森和夫氏(京セラ創業者、日本航空名誉会長)は、その著書の中で「人生・仕事の成果=考え方×能力×熱意」と示されており、そのなかでも考え方が一番大切だとしています。なぜなら考え方にはマイナスというものがあり、マイナスの考え方に能力や熱意を掛けるなら、能力や熱意が高いほど大きなマイナスの成果となるからです。考え方次第で能力や熱意はプラスにもマイナスにも働くということであり、だからこそ、採用面接では、応募者の考え・価値観を知ろうといろいろな質問がされるというわけです。ですので、価値観の整理というのは就活の自己分析においてとても大切な要素となってきます。

仕事に対する価値観を明確にする方法

とはいえ、いきなり「あなたの価値観は何ですか?」と聞かれても目が点になるだけではないでしょうか?なぜなら価値観を知るには、考える対象が必要だからです。例えば応募企業を決めるうえで何を大切にしたいかという価値観は、考える対象となる企業側の情報がなければ分からないですね。また、自分にとって共感できる人、できない人などの価値観も、実際に人と関わってみないと分からないのではないでしょうか?

ではどうすれば、会社選びに必要な価値観を明確にできるでしょうか。例えば就職ナビなどでの企業の情報を見ていくなかで目に留まるキーワードに共通点があれば、それは一つの自分の価値観への気付きになると思います。また、OB・OGや企業の方との関り、学生同士での関りなどを通じて共感することや、反発することがあれば、それもまた自分の価値観への気付きになります。

興味や能力も考える以上に知ることの大切さに触れてきましたが、自分の価値観についても、まったく同じです。机の前で考えるよりも、いろいろな対象に触れることを通じて知ることができるので、ぜひ、考え込まずに、いろんな人、情報、体験に触れていってください。

そして、その体験をわすれずにメモしていくと、自己分析シートに書けることが増えていき、書いたことが面接や企業選びに役立つようになってきます。頑張ってください!

篠原功治

篠原功治

キャリアコンサルタント
サインキャリアデザイン研究所代表・国家資格キャリアコンサルタント・JCDA 日本キャリア開発協会会員
2009年に学生・若年者を対象としたキャリア支援活動を事業とするサインキャリアデザイン研究所を立ち上げる。理系向け就職セミナーや技術職社員との座談会・パネルディスカッションをはじめとする理系大学生向けのキャリア支援にも長年携わっており、現在は大学でのキャリアデザイン科目・就職支援プログラム講師、企業・就職支援機関とコラボレーションした学生向けキャリア・就職支援プログラムの企画・実施、企業における営業研修などを務める。

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