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伝わる!ビジネスメールの書き方 理系のためのビジネスマナー講座(1) | リケラボ

伝わる!ビジネスメールの書き方 理系のためのビジネスマナー講座(1)

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自分のメールに対して何らかの不安を抱いている人は7割を超える。
最多の不安は「正しく伝わるか」(68.36%

※社)日本ビジネスメール協会調べ

メールはビジネスにおいて大切な連絡手段のひとつにも関わらず、理系の学生さんや若手社会人の方の多くが苦手意識を持っているビジネスマナーのひとつです。リケラボ編集部でもよく、新入社員の研究職(理系)の方から、「不安だ」という声を聴きます。もともと文章を書くことに苦手意識を持っている人が多いうえに、色々な用件で使うことや表現に沢山のバリエーションがありそうなところ、基本的な型や形式を良く知らないために、漠然とした不安感につながっている方が多いようですね。そこで今回は、「誤解なく伝わるビジネスメール作成の基本」と「感じの良い文章を書くコツ」をご紹介していきます。

ビジネスに欠かせないEメール
まずは特徴を正しく理解しよう!

社)日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2017」によると、メールは今や「仕事で使っている主なコミュニケーション手段」の堂々第1位(99.08%)となっています。便利な反面、顔の見えない、文字情報だけのコミュニケーションのため、使い方・書き方次第では、誤解が生じ、信頼関係にヒビが入ってしまうこともあります。ビジネスで上手にメールを活用するためには、まずは特徴を正しく理解することが大切。以下にメールのメリットとデメリットを挙げてみました。

<メリット>
・お互いに都合のよいタイミングでやりとりができる。
・複数名の相手に同時に連絡することができる。
・ファイルを添付すれば、資料や画像データをすぐに共有できる。
・送受信の記録が残るため、あとからやりとりを確認できる。

<デメリット>
・相手の表情や声のトーンを察知することができないため、感情や細かいニュアンスを伝えることが難しい。
・返事をすぐにもらえないことがあるので、急ぎの連絡には不向き。緊急の場合は電話と合わせて使う必要がある。
・相手の受信環境によっては、うまく送れないことがある。(IT環境に左右される)

マナーは時代とともに変化するもので、特にメールマナーはIT技術の進歩に伴ってこれからもまだまだ変わっていく可能性もありますが、特徴を理解し、デメリットを理解したうえで、効果的に使いたいものですね。

それでは、次からは実際にメールを作成する際のポイントを順を追って解説していきます。

ビジネスメール作成のポイント
-分かりやすいメールを書くために-

以下の文例の構成に沿って、メール作成のポイントを解説していきます。

①件名(タイトル)

・的確かつ具体的な表現を
ポイントは、タイトルを見ただけで用件が伝わるよう、具体的な表現をすることです。また、受信ボックスの一覧画面できちんと全体が表示されるよう、長くなりすぎないよう簡潔に書きましょう。文字数は、全角20文字以内が目安です。

避けたいタイトルの例 わかりやすいタイトルの例

「提案書の件」

「日程の確認」

「明日について」

「◯◯企画提案書 内容についてのご相談」

「◯◯会議の日程調整につきまして」

「明日お持ちいただく資料に関するお願い」


・タイトル内に見出しをつける方法も

用件に応じて【重要】【緊急】など明記しておくと、忙しい相手にも確認してもらいやすくなります。上から目線の印象を与えないよう、相手によって【緊急です】【至急ご確認ください】など表現を適宜調整してください。・社名や名前も入れておくとわかりやすい
タイトルのあとに差出人側の社名や名前を記載しておくと、誰から届いたメールかわかりやすくなります。受信ボックス内に似たような件名のメールがあった場合も、見つけてもらいやすくなるのです。

②宛名

・社名や部署、氏名までていねいに記載する
会社名・部署名・(役職名)・フルネーム+敬称を略さずに書きましょう。
“(株)”などは使用せず、きちんと“株式会社”と記載します。

例)

◯◯株式会社 △△部 □□課
☆☆☆☆ 様

◯◯株式会社 △△部
ご担当者様

面識のある人や、何度も連絡を取り合っている相手の場合は、「◯◯様」といったように名前だけの記載になることも。相手との関係性によって書き方は柔軟に変化しますが、上に挙げた例のようにすべてきちんと記載しておけばまず間違いありません。

③本文

いよいよ用件を文章で記します。

重要なのは2点。

  • 情報の構造が把握しやすいようにまとめる
  • 結論やポイントを明確にする

話し言葉で、長い文章を書き連ねても、視覚情報としてはなかなか頭に入っていきません。そのため、一文50文字以内、ひとつの段落は6行を目安に作成していきます。

番号や小見出しで区切り、箇条書きを活用するなど、情報を構造化してまとめていきます。

また、メールを読んだ後に、読み手が「次に何をすればいいのか」がはっきりとわかる状態を作りましょう。読んで理解しておくだけでいいのか、何らかの意見を求められているのか、判断を求められているのか、返信の要不要、期限があるのか…etc。 結論をはっきりと書いて、「相手に望んでいることは何か」「相手はどうすればよいのか」相手にとって重要な情報を明確に書きましょう。

次に、順を追って、基本の形式を確認していきます。

・まずは簡単な挨拶から
メールの場合、時候の挨拶などは必要ありませんが、まずは簡単な挨拶から入りましょう。

例)

「いつもお世話になっております」

「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」

「先日はお忙しいなか弊社までお越しいただき誠にありがとうございました」

「初めまして、突然のご連絡失礼いたします」

・自分の氏名をしっかりと名乗る
挨拶のあとは、自分の組織名や名前を書きましょう。丁寧な印象を与えるために、基本的にフルネームで記載します。

例)

「◯◯株式会社の☆☆☆☆です」

「◯◯株式会社 △△部 □□課 ☆☆☆☆と申します」

・予告文を入れて話の主旨を先に伝える
詳細に入る前に主旨を明確にしておくことで、相手に情報を受け取る準備をしてもらいます。そうすることで、内容を理解してもらいやすく、スムーズなコミュニケーションにつながります。

例)

「次回お打ち合わせの日程についてご連絡申し上げます」

「◯◯の件で、ご相談がございます」

「◯◯について、2点確認をさせていただきたいことがございます」

・文章は簡潔に
この章の冒頭でも述べましたが、相手が何をすればよいのかが分かるように、口頭でのコミュニケーションでは用いられることもある曖昧な表現は避けて、明確に書きます。

何かをしてほしい時ははっきりと、相手に何か断る際にもはっきりと、誤解されない文面を心掛けます。単なる報告のためのメールでも、読み手からの質問が極力出ないように、5W1Hを意識して書きます。(文章だけだと強いニュアンスや、怒っているような印象を与えることがあるので、感じの良い文章表現についても、追ってご紹介します。)

④署名

・署名が挿入されるよう設定しておく
メールの最後には、署名を入れます。署名に記載するのは、発信者側の会社の情報や氏名、電話番号などです。長くなりすぎるのは好ましくないので、8行以内を目安にしましょう。相手が電話で問い合わせをしたいときや郵送物を送る際に、いちいち名刺やアドレス帳をあけずに済むための思いやりです。

必ず記載したい情報 できれば記載したい情報
・会社名

・会社住所

・部署名

・氏名

・電話番号

・Eメールアドレス

・FAX番号

・会社ホームページのURL

・組織やサービスのPR文

署名は事前にメールソフトに登録しておき、自動的にメールの文末に挿入されるよう設定しておくと便利です。

⑤その他の注意点

・レイアウトにメリハリをつける
見出しやインデントなどを適宜活用して、レイアウトにメリハリをつけていきましょう。レイアウトのポイントは以下の通りです。

1. 文頭は1文字空けずに、原則左詰めにする。

2. 全角35字以内を目安に、区切りのよいところで改行する。

3. 段落のあいだは空白行を1~2行入れる。

4. 話題や確認事項が複数ある場合は、見出しをつける。

5. 箇条書きをする際や、視覚的にメリハリをつけたいときは1~2文字程度のインデントをつけるとよい。

メールのレイアウトに決まりはありませんが、相手の読みやすさを第一に考えて、わかりやすく伝えることを常に心がけましょう。
・環境依存文字の使用は避ける
メールを受信する端末やOSによって文字化けしてしまうことを防ぐため、◯で囲まれた数字や、特殊記号、ローマ数字、半角カタカナといった環境依存文字はできるだけ使用しないよう気をつけましょう。テキスト形式が基本です。

感じのよい文章を書くコツ

4割を超える人が、仕事でメールを受け取り、不快に感じたことがある。
※社)日本ビジネスメール協会調べ

文字だけのやりとりでは表情や声のトーンを感じ取ることができないぶん、淡々として冷たい印象を与えてしまいがちです。どんなに内容がわかりやすくても、悪い印象を与えてしまえばその後の関係に支障がでてしまう危険性も。そのため、メールを書く際は相手に気持ちよく読んでもらうために表現に気をつかう必要があります。

具体的な注意ポイントは以下の通りです。

1. 肯定的な表現を心がける

できないことや、マイナスな要素を伝える場合でも、ネガティブな印象を与えないように言い回しを工夫しましょう。ネガティブワードを言い換えるコツは、「不可能」は「可能」な言い方に、「否定」を「肯定に」、「きつい言い方」は「やわらかい言い方」に心掛けることです。また、助詞・助動詞の使い方によって受け取る印象が変わってしまうことがあるので注意しましょう。

避けたい表現 望ましい表現
本日は対応いたしかねます 明日の午前中でしたら対応可能です
◯◯はありません ◯◯はございませんが、代わりに△△はいかがでしょうか
◯◯が不安です ◯◯という不安はありますが、△△といった利点がございます
ご本人以外のご利用はお断りします ご本人だけがご利用になれます
お気に召さないかもしれませんが 気に入っていただければ幸いです
しないほうがいいです するといいです
~してください ~していただけないでしょうか
それで(も)いいです それいいです
納品が遅れたことについては、申し訳ありませんでした 納品が遅れ申し訳ありません

参考書籍『言いたいことが確実に伝わるメールの書き方』小田順子著/明日香出版社

2. クッション言葉を活用する

クッション言葉をうまく取り入れられると、言葉の印象をやわらげたり、相手を配慮する姿勢を表したりすることができます。

例)

「恐れ入りますが」

「もしよろしければ」

「お手数をおかけしますが」

「お忙しいところ恐縮ですが」

「せっかくではございますが」

3. 語尾の表現を工夫する

相手にお願いごとをする際は、謙虚な姿勢での表現を心がけましょう。クッション言葉と併用すると、より効果的です。

例)

「恐れ入りますが、少々お待ちいただけますでしょうか

「ご検討いただければ幸いです

「◯日までにご連絡をいただけると助かります

4. 返信の際は元の文章を読み返そう

また、意外に多いのが「質問に答えていない」という失敗。不快に感じるメールとして答えた人が最多でした。返信する際には、相手から受け取った元のメールを必ず読み返すようにしましょう。その時点で回答ができない質問については、事情の説明や後日改めて回答する旨を一言添えると、相手を不快にさせずに済みますね。

その他メールを使いこなすために
気を付けたいことや失敗例

1. 送信先アドレスの登録名は相手から見える

メールアドレスをアドレス帳に登録した場合は、相手側にも登録名が表示されます。そのため、アドレス帳に登録する際はきちんと敬称をつけておきましょう。

2. 添付ファイルの形式や容量に注意

ファイルを閲覧・編集するソフトのバージョンが違うと正しく表示できない可能性があるため、互換性のあるファイルを送るように心がけましょう。また、ファイルのサイズによっては受信できないこともあります。そのため、3MBを超えるファイルを送信する場合は事前に連絡をとり、送信方法を確認しておくと安心です。また、添付ファイルがあるときは本文にその旨をひとこと添えておくようにします。

3. 転送や引用は慎重に

メールを第三者に転送する場合は、個人情報や機密事項など、削除すべき部分がないか確認しましょう。また、メールの文章には書いた人に著作権があります。引用する際は勝手に内容を編集しないよう注意してください。

4.誤字脱字、ファイルの添付忘れ、誤った相手に送ってしまう

ケアレスミスですが、本当によく起きています。特にメールアドレスや宛先を間違えて、誤った相手に送ってしまうことは、意図せずとも情報漏えいになりますので、十分に気をつけましょう。合言葉は、「送信前に、再確認」です。

まとめ

以上、正しく伝わるビジネスメールの書き方の基本と、感じの良い文章を書くコツをご紹介してきました。
ここでお伝えした基本的なルールにしたがって書いていけば、誰にでも、誤解なく伝わるビジネスメールが書けるようになります。

また、ビジネスにおける文章は、文学的な表現や凝った文章を書く才能は特に必要ありません。理系出身だからと言って、必要以上に苦手意識を持たずに取り組んでみてください。一日5本、3か月も続ければ、この記事を参照しなくても、たいていの連絡用のビジネスメールは書けるようになっていることでしょう(トラブルやお詫びといった複雑な状況の場合を除く)。

Eメールはとても便利なツールです。うまく活用できれば、スムーズなコミュニケーションを実現でき、仕事の効率化にもつながります。そのためにも、表現や使い方には常に配慮しながら、わかりやすく気持ちのいいやりとりができるといいですね。

次回の「理系のためのビジネスマナー講座」もお楽しみに!

-参考文献-

『わかりやすいビジネスeメールの作り方』
パーソルテンプスタッフ株式会社 登録者向けe-learning 教材

『イラストでまるわかり! 入社1年目 ビジネスマナーの教科書』
金森たかこ著/株式会社プレジデント社

『ビジネスメール実態調査2017』
一般社団法人日本ビジネスメール協会

『言いたいことが確実に伝わるメールの書き方』
小田順子著/明日香出版社

リケラボ編集部

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