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蛍光シャボン玉でバブルカーテンを作る!│ヘルドクターくられの1万円実験室

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科学を愛する読者のみなさま、ごきげんよう。くられです。

使える予算は1万円以内。「高価な実験機器は使えない」という制約のなかで知恵と工夫を凝らして実行可能なおもしろ実験を紹介する本企画。

第8回目の今回のお題は「蛍光シャボン玉」です。

蛍光といえば、以前、蛍光うどんの作り方を解説しましたが、今回はさらに幻想的なものを。シャボン玉に色をつけるというのはけっこう昔からなされているんですが、一方で実はなかなかの難事業です。

 

意外と知らない?シャボン玉の模様の原理

シャボン玉というのは、わずか数ナノメートルという極めて薄い膜構造をしており、そこに入射した光がまず表面、次いで膜中、そして中面とそれぞれの箇所で反射することで複雑な分光が生まれ、あの独特の虹模様が現れることが知られています。

▲シャボン玉の構造。実際はこの構造が所々重なっており、その重なり具合で反射光が変わる。光の反射が均一でないために外からは虹色に見える。

そのシャボン玉に色を付けるというのは、すなわちわずか数〜10nmの薄い薄い水層に染料を入れるということであり、並大抵の染料では無理です。

こんな微量の水分に例えば疎水性や両性の大型分子を入れてしまうとバランスが崩壊しやすくなり、シャボン玉は到底まともに膨らみません。

特に、スーパーなどに売られている青色1号などの着色料は、強すぎる染色性から食塩により10〜20倍に分散されており、シャボン玉に色が付くくらいの添加を行うとその余分な塩分によって界面活性作用が悪くなることがあります。

ちなみに実際に青色のシャボン玉を青色1号などで作ってみると、膨らみにくいながらも非常に綺麗に発色はします。しかし、当然そのシャボン玉が当たったものは青く染まり、顔や手につくと相当よく洗わないと色が落ちない上に衣類に着いても大変なことになるので、そういう意味でもあまりオススメしません(笑)。

海外では、フェノールフタレインやチモールブルーといったアルカリ指示薬を入れ、シャボン液にアンモニアを添加した色つきシャボン玉が売られ、色が衣類などについても酸化分解することで落とせますよ…という商品が一時的に売られていましたが、極めて安定性が悪かった他、目に入ると危ないといった理由から現在は販売されていません。

今回は、そこまで危険なものは使わない前提で、またブラックライトの性能を活かすこととの合わせ技によって、シャボン玉の薄い膜でも十分に膨らみ綺麗なバブルカーテンが作れる方法を模索してみます。

 

蛍光シャボン玉の作り方

シャボン玉に入れる染料に求められる条件は、極めて少量で水溶性、かつ、高い蛍光強度を持つ蛍光剤であることです。

今回は、クマリン系の蛍光色素であるウンベリフェロン、フルオレセイン、ローダミン6Gを用いることにしました。

これらは極めて強い蛍光強度をもつ一方で、食品添加物としても使われることがある成分です。

また、シャボン玉の膜構造を補強するために、グリセリンとガムシロップを用意します。さらに、市販の中性食器用液体洗剤を添加することで、青のシャボン玉はより発光し、大きさもシャボン玉のサイズがしっかり維持できることがわかりましたのでそれも使います。

 

・青いシャボン液の作り方

まずウンベリフェロンを少量の水にしっかり溶かします。溶け残りがあるとシャボン玉が割れやすくなるため、気をつけましょう。クマリン系色素が入手できない場合、市販の液体洗剤で代用が可能です。今回の実験では、ドラッグストアで買ってきた衣料用洗剤(成分表記に「蛍光増白剤」や「蛍光色素」「色素」などと書かれているもの)と食器用洗剤(というと中性のものが多いですが、今回は後述する黄色のシャボン玉づくりでも使うために「弱アルカリ性」のものを選定)を1:1で混合したものを使います。

▲シャボン液と、2種混合した特製液体洗剤を用意。

つづいて液体洗剤と市販のシャボン液を1:1で混合し、そこにグリセリンを体積比で10%程度添加していきます。その日の温度や湿度によってシャボン玉の出来は変わるので、グリセリンは実際に添加しつつ最適量を見つけていきましょう(必要ない場合もあります)。

▲青いシャボン液。

 

・赤いシャボン液の作り方

こちらは青色に比べてそれほど難しくなく、市販のシャボン液に、ローダミンを入れるだけです。ローダミンは極めて染色性が高いので、必ず濡れタオルなどの上で開封し、無風に近い環境を整えて中の粉が舞い散らないように気をつけて取り出しましょう。シャボン液はそのままでも使えますが、ガムシロップを少量加えるとシャボン玉の膜を分厚くすることができ、蛍光強度が上がります。

▲赤いシャボン液。

 

・黄色いシャボン液の作り方

黄色は黄緑と赤の混合によって作ることが可能です。ちょうどフルオレセインが極めて強い黄緑色の蛍光なのでそこに上で作った赤蛍光のシャボン液を微量入れることにより、黄色の見た目を作ることが可能です。

▲黄緑+赤で黄色を作る。

フルオレセインは塩基性環境でのみ蛍光を発するので、シャボン液のベースには弱アルカリ性の家庭用洗剤を使います。青色のシャボン玉づくりで使った弱アルカリ性の食器用洗剤がここでも活躍してくれます。今回選定した商品には青色蛍光を発する蛍光剤が既に入っているので干渉が気になりましたが、結論的には問題なく使えました。食器用洗剤にフルオレセインを溶かし、そこにほんの少しだけ赤色のシャボン液を入れることで、鮮烈な黄色を作ることができます。

ただ実際には、ローダミンのシャボン玉が赤というより黄色っぽくなってしまうので、今回はフルオレセインだけでシャボン液を作ってみました。

ちなみに3色の蛍光色素をバランス良く混ぜると、白蛍光もできますが、シャボン玉になったときに極めて観察しにくく、絵的には微妙でした。

▲白いシャボン液。

 

綺麗な発光のためのおすすめブラックライト

現在、ブラックライトはLED化が進み、特定の波長に特化した非常に優秀なブラックライトを個人でも手に入れることが可能になっています。

オススメのものは5~10Wのブラックライトで、18650というリチウム電池で動くモデルで、充電器と共に売られていることが多いです。

ブラックライトを当てることでより美しく蛍光。

5W以上あれば、2,3m離れたところからシャボン玉を暗い部屋で光らせることが可能です。この時に、蛍光増白剤を使っている衣類などを着ているとそちらが蛍光してしまい、光がかき消されてしまうので、黒い吸光生の衣類を着用するのが望ましいです。

市販のブラックライトの波長は395nmのものや365nmのモデルが特に一般的です。395は蛍光強度は高い反面、可視光の紫色が見えてしまうことが多いです。一方、365だと可視光がほとんど見えないためシャボン玉だけがきれいに光って見えます。今回の実験では365nmのモデルがオススメです。

 

いざ、実践! 幻想的な世界へ

いよいよシャボン玉を飛ばしてみましょう! 蛍光剤+ブラックライト効果で色とりどりの美しいバブルカーテンが完成しました。

以上、今回は蛍光シャボン玉を作ってみました。シャボン玉に色をつける…というだけですが、それを蛍光剤にすることでかなり幻想的な風景を作ることができることがわかりました。

 

●今回の実験にかかった費用

・シャボン玉液:数百円
・衣料用洗剤:数百円
・食器用洗剤:数百円
・ガムシロップ:数百円
・グリセリン:500ml入りで1,000円くらい。
・クマリン系色素(ウンベリフェロン):試薬25gで数千円程度(必要量は数mg以下)。
・フルオレセイン:試薬25gで数千円程度(必要量は数mg以下)。
・ローダミン6G:試薬25gで数千円程度(必要量は数mg以下)。
・ブラックライト(365nm、LEDタイプ):3,000円くらい

やってから気づきましたが蛍光色素の入手経路によっては総額1万円を超えてしまうかも…汗。
今回はやや玄人向けの実験ということで、ご容赦ください!

 
掲載写真,図全て著者提供

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著者プロフィール:

くられ

自称、不良科学者。作家/科学監修、大学講師なども兼任する。近著では「アリエナクナイ科学ノ教科書」で2018年第49回 SF大会にて星雲賞ノンフィクション部門を受賞(続きの連載をDiscoveryチャンネル公式WEBにて掲載、好評を博し終了。現在単行本化作業中)。週刊少年ジャンプで連載中の人気漫画『Dr.STONE』の科学監修を務める。人気Youtuber動画チーム「〜の主役は我々だ!」とのコラボによる「科学はすべてを解決する」はコミック化されるなど好評を博している。
公式サイトはこちら

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