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私の文理選択ヒストリー:カラクリンク代表取締役 森田浩史氏

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あらゆる業界で活躍する理系出身者。といっても、その一人ひとりの歩みを紐解けば、必ずしも”理系ひと筋”だった方ばかりとは限りません。文系と理系の選択に迷い、揺れ動いた経験のある方にフォーカスをし、最終的にどうして現在の道を選んだのか、その選択の背景と、選択がもたらした影響に迫ります。

今回お話を伺ったのは、時計やマウスといった身近な実用機械の工作を手軽に行えるサービス『ドットキット』を提供する株式会社カラクリンク代表取締役の森田浩史さん。
棚や机といったインテリアをDIYするように、家電も手作りできたら楽しいですよね? ドットキットが目指すのはまさにそんな“ものづくり”心をくすぐる世界。自身も家電メーカーのエンジニア出身であり「理系エンジニアの創作意欲を刺激する事業を展開していきたい」と語る森田さんですが、現在に至るまでには文系理系の選択に揺れ動いた時期が何度かあったそう。一度は文系の大学に進んだこともある森田さんのこれまでの”選択”の歴史、そして起業へとつながる“ものづくり”への想いについて、聞いてみました。

 

森田 浩史 氏 プロフィール

株式会社カラクリンク代表取締役。早稲田大学理工学研究科を卒業後、家電メーカーで機械系エンジニアとして従事。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやシステムを知るためにSler、フリーランスを経てチームラボに入社。数々のWebシステム開発や、デジタルファブリケーション関連のサービス開発を行い、2014年9月に退社、起業。

 

──森田さんは、現在どんなお仕事をされているのでしょうか?

僕が立ち上げた株式会社カラクリンクの事業は、システム開発と『ドットキット』というサービスの提供です。ドットキットは、パソコン用マウスや腕時計といった身近な実用アイテムを、自分で工作できるサービス。見た目をデコレーションしたり、フックを付けてみたり……ユーザーがweb上で選んだ好みのパーツの組み合わせを自分で組み立てられるキットにして、お届けします。プラモデルよりも自由度の高い「手作り」が楽しめて、でも基板から作るような手間はかからない、という位置づけを意識しています。2014年に個人事業としてスタート。2016年にサービスをリリースしました。

 

──どうしてこのようなサービスを始めようと思ったのか、森田さんのこれまでの歩みのなかにその答えがあるのだと思います。ぜひ聞かせてください!

 

一度は文系学部を選んだものの、半年で理系の道へ進みなおすことに

大学受験では理系の学部が3つに、あとひとつは中央大学の法学部と、合計4つの大学を受験しました。そのなかで合格したのは、理系のうちのひとつと、中大法学部。合格した理系大学のランクが少し下だったことや、法学にも興味があったこともあり、中大法学部に進むことにしました。

でも、入学後1ヵ月もすると早くも“違うかな”という思いが強くなりました……。周囲の多くは1年生から本気で司法試験を目指す人たち。その姿を目の当たりにしたときに、どうも自分にはしっくりこなくて…。法学自体は好きだったので、司法試験を目指すことも少しは考えたのですが、そこまでして弁護士になりたいかと言われると、微妙なところだった。それに、法律は人間が決めたルールだけど、理系の学問は自然を対象に実験を繰り返し事実を積み重ねていく、そちらのほうが当時の自分にはより普遍的に思えて、自分の本来の興味には近いなってあらためて感じたんです。そこでやっぱり理系の道に進もうと思い直し、半年で中央大学を辞めました。それからふたたび大学受験をして、早稲田大学理工学部の機械工学科に入学します。

大学3年生からは制御工学の研究室に入って、インパクトレンチという空気圧工具の研究をしていました。あえて厳しいことでちょっと有名な研究室に入りまして、目論見通り、鍛えられましたね(笑)。朝から晩まで研究室に入り浸って……厳しくも楽しい学生生活でした。そのまま「もうちょっと勉強を続けてもいいかな」と思えたので、大学院にも進むことにしました。

 

起業を志すきっかけになったインターンシップ体験

大学院1年目の時に、研究室の同級生から何気なく紹介されたインターンシップは、結果として僕が起業をしようと考えるきっかけになりました。インターン先は、教育系のベンチャー企業。そこで、主に小学生くらいの子どもを対象に教育プログラムとしての起業家体験を提供する事業に携わりました。小学生に事業計画を作成させて、その計画に基づいて、たとえば自分で開発したストラップなどの商品をお祭りで販売する体験をしてもらうんです。開発・製作にかかる費用は、運営側で用意した銀行から実際に現金を借入します。販売後の売上で利子まで含めて借入金を返して、利益が出たらお小遣いとして持ち帰れるという、ビジネスの一連の流れを体験できる教育プログラムでした。

こうした事業の内容もさることながら、新しいビジネスモデルを立ち上げ収益化していくというベンチャーの経験そのものが非常におもしろく、また、自分に合っているかなと感じたことから、将来は自分も起業してみたいと思うようになりました。

とはいえ、学生時代には起業できるだけのビジョンも土台もありませんでしたから、まずは就職活動を始めます。始めてしばらくは、理系・文系どちらの企業もまわっていました。文系職種では具体的にいうと、メディア系や広告系の企業を中心にいくつか受けました。広い意味で“ものづくり”には関わりたいと思っていたので、広告の制作なんかにも興味があったんです。ただ、就活を通して多くの企業を見るうちに、自分にとっていちばん心動かされる “ものづくり”というのは、やはりリアルなモノをつくる「エンジニアリング」だということにも気づきました。そこからはメーカーのエンジニア職に絞って就職先を考えるようになり、最終的には大学の推薦枠である家電メーカーに就職することに。身近な民生品をつくっていることや、勤務地が東京に近いことが応募の決め手になりましたね。当時はすでに、将来的には起業したいという考えがあったので。東京に近いほうがやはり活きた情報を得やすいし、交流会やセミナーなどの起業関連イベントにも参加しやすいと思ったんです。

 

より自分らしい”ものづくり”への関わりを模索し転職、そして起業

家電メーカーに就職してからは、カーナビの機構設計を主に担当しました。ただ、実際の業務は他の技術部門や、調達や製造、品質管理部門、部品メーカーとの調整業務や、事務的な業務が多く、気づけば、「ほとんどものづくりしてないじゃん」という状態に……。もちろんそのような業務も必要だと思うものの、業務全体の2割ほどしかものづくりの仕事ができていない状況に、だんだん気持ちのズレも出てきてしまって。それで2年半ほど働いたころ、転職することを決めました。リーマンショックの影響で新規開発がストップして、新たなスキルを伸ばしづらい環境になってしまったこともきっかけになりましたね。

でも、メーカーで働いたこと自体に後悔はありません。そのときどきでベストの選択をした結果、進んできた道なので。調整ごとが大部分だったとはいえ、今思えばやはり一流のメーカーで得られた技術的な学びはもちろん多かったし、設計という比較的上流工程に携われたことで、業務や会社を広く見渡す経験にもなったと思います。

家電メーカー退職後は、起業に向けて、web制作会社などを2、3社転々としながら、ウェブ系エンジニアの実務経験を積みました。その後、ぐんぐん成長していた時期のチームラボに入社し、さまざまなウェブサービスの開発に携わりました。その時、個人的な興味から当時一般にほとんど認知されていなかった3Dプリンターを個人輸入・研究していたことが縁となって、『DMM 3Dプリント』サービスの立ち上げにも携わります。

チームラボでは3年ほど働き、起業のために退職。起業家のサポートをしてくれるコワーキングスペースの『44田寮』に入って、本格的に起業の準備を始めました。始めは事業のコンセプトもあまり固まっていませんでしたが、44田寮を運営し、起業家のサポートをしている赤木優理さんに相談に乗ってもらいながら、以前から漠然と考えていた、“ものづくり”にかかわる人たちの本来的な創造性を刺激するような事業のイメージを少しずつ具体化。それが現在の「ドットキット」につながります。個人事業としてスタートしたのち、2015年に法人化しました。

 

「自分に問いかけてみれば、何を選ぶべきかわかるはず」

──進学や就職を通して悩み迷った経験があったからこそ、自分らしい“ものづくり”への関わり方にたどり着けたというようにもお見受けします。

そうかもしれません。ドットキットのターゲットユーザーは、“メーカーにいたころの自分”のような人だと考えています。当時の僕のように、普段なかなか思うようにものづくりができない人に刺激を与えて、モチベーションを高められたらいいですね。いまは初心者から中級者くらいの人たちに向けてサービスを提供したいと思っており、提供しているキットも比較的簡単に組み立てられるものになっています。きっと、本職でバリバリものづくりをしている上級者には、助けがなくても自分でなんとかできてしまう人が多いと思うので。楽しみながらも実用的なものをつくる体験を通して、“ものづくり”の喜びを改めて感じてもらえたらうれしいです。

 

──最後に、いま進路や職業選択の岐路に立っているみなさんに向けてメッセージをお願いします。

月並みかもしれませんが、自分がやりたいことを選ぶのがベストじゃないでしょうか。仮にやりたいことが具体的に決まっていなかったとしても、選択肢を前にしたときそれが好きか嫌いかは、サッカーの本田選手のいう「リトル本田」じゃないですけど、自分の心に問いかけてみれば絶対にわかるはず。僕にとってエンジニアリングが“しっくりきた”ように、自分がしっくりくると感じるほうを選ぶのが重要だと思います。得意科目や苦手科目で将来を決める必要はないんです。理系の仕事でバリバリ活躍している人のなかでも、実は高校や大学で学ぶような数学は苦手だったという人を何人も知っています。

それと、僕は大学院1年目でのインターンがきっかけで、起業家を目指すようになりました。だからこそですが、たとえばもっと早く、高校生のうちから世の中にどんな仕事があるのか知ったり、大学1〜2年生のうちからアルバイトやインターンを経験したりすればさらに違う世界が見えていたかもしれない、と考えることはあります。いま目の前に学生時代の自分がいたら、「早いうちから、どんな道があるのか、広く目を向けておいたほうがいいよ」って伝えたいですね。まぁ当時の自分には「うっせーよ」なんて言われそうですけど(笑)。

 

著者プロフィール:

リケラボ編集部

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